シナリオ傾向:シティ、現代、人外探索者
推奨人数:3人~
戦闘:有り
推定プレイ時間:3~4時間
難易度:ふつう
システム:クトゥルフ神話TRPG
ドゥンケルハイト・ブルーツフェアヴァンツシャフト(闇の血族)である探索者達の氏族に、コンフィレンシア・デ・カオス(混沌会議)のメッセンジャーが訪れる。
その内容は、ブルーツフェアヴァンツシャフトで最も強力な者――ディ・スタークスト・シュバルツ(最強の黒)をコンフィレンシア・デ・カオスに出席させよというもの。
ディ・シュバルツ・スタークスト(もしくはディ・スタークスト・ジェット・シュバルツ)である探索者は、イモーラリスト(背徳者)のエリミネイトを命じられる。
暗黒の守護者 - Abyss†Breaker -の続編です。
中二感を楽しもうというコンセプトで作成したシナリオです。
意味の分からない単語や中二チックなセリフを呟きつつ、笑いながらプレイしていただければと思います。
前作はあまり中二っぽくないという意見をPLから受けたので、今回は中二っぽいテーマとしてカンカータ「来たれ、甘き死の時よ」を扱ってみました。
ただし、あくまでにわか知識なので、詳しい方がいる場合はまわさないほうがよいような気もします。
バランスとしては、人外探索者が1種類ずつ計3人以上いることを想定していますが、そうじゃなくてもどうにでもなると思います。
とある吸血鬼は、ある時クトゥルフ神話の知識に触れました。彼はクトゥルフ神話の中でも、外なる神を総べる者、アザトースに強く心を惹かれます。
しかし、それは闇の血族として、触れることは許されない知識でした。彼は血族を追放されますが、それでもアザトースへの憧憬は収まりません。
研究をつづけた彼は、多くの闇の血族とは無縁となった物、"死"に目をつけます。
手順を踏んだ上で"死"を迎えることで、アザトースと一体化し、栄光と至福に至ると考えた彼は、儀式を決行します。
儀式に当たって彼が利用したのは、クトゥルフ神話の知識を深めるうえで知った神話生物達でした。
研究の過程で僅かながらにアザトースの力を宿し始めていた彼は、吸血鬼の魅了の能力で神話生物を難なく操り、己の目的のために従事させます。
食屍鬼(P180)
STR17 CON13 SIZ13 INT13 POW13 DEX13 HP13 DB+1D4 SANチェック0/1D6
武器
かぎ爪 30% 1D6+DB
噛みつき 30% 1D6+牙でいたぶる(1D4)
※1Rに2本の〈かぎ爪〉攻撃を行うことができる。
※〈噛みつき〉が命中した場合、1D4ダメージを与え続ける。STR対抗ロールに勝利すれば逃れられる。
装甲
火器と飛び道具はロールで出た値の半分のダメージを与える。
技能
穴掘り75% 登攀 85% 隠れる 60%
跳躍 75% 聞き耳 70% 腐臭を嗅ぎ取る 65%
忍び歩き80% 目星 50%
ヘビ人間(P189)
STR11 CON11 SIZ11 INT17 POW13 DEX13 HP11 DBなし SANチェック0/1D6
武器
噛みつき 35% 1D8+毒(POT11)
装甲
1ポイント
※本シナリオにおける蛇人間の毒は、抵抗失敗後1Rすると効果が現れるものとする。
※ただし、リビングデッドの探索者に効果は無い。
※効果が現れた場合、戦闘終了まで強い吐き気と眩暈で全ての技能が半減する。
※人間より強靭な肉体をもつ探索者達は、戦闘終了後には毒の効果から脱する。
ミ=ゴ(P191)
STR11 CON11 SIZ11 INT13 POW13 DEX14 HP11 DBなし SANチェック0/1D6
武器
ハサミ 30% 1D6+〈組みつき〉
※〈組みつき〉を受けた場合、STR対抗ロールを行う。
※成功した場合、ミ=ゴは1Rに1D10m飛び上がり6mを超えた時点で犠牲者を手放す。(3mにつき1D6のダメージ)
装甲
貫通する武器は最小限のダメージ
※探索者達の噛みつきやかぎ爪などが貫通するかどうかはKPに委ねられる。
※貫通するため最小限のダメージとするか、バイオ装甲(8ポイント)を装備させると戦闘に緊張感が出るだろう。
NPC
オスヴァルト・フォン・ グルムバッハ
クトゥルフ神話の知識に触れた吸血鬼。彼はクトゥルフ神話の中でも、外なる神を総べる者、アザトースに強く心を惹かれる。
闇の血族としての禁忌に触れた彼は一族を追放されるが、なおもアザトースに惹かれ研究を続ける。
研究の結果、手順を踏んだ上で"死"を迎えることで、アザトースと一体化し、栄光と至福に至ると考えた彼は、儀式を決行する。
儀式を実行する過程で半ばアザトースの化身となっている彼は、傷は即座に癒え、死亡することもない。
ただし、彼はそれがアザトースの力によるものだと気づいていない。
紅葉阿津賀志山臼負い天火長政之煙羅片脚狂骨
阿津賀志山の戦いで戦死したとある武士の妖怪。見た目は片足の無い黒い骸骨だが、長く生きた過程で強大な力を手に入れている。
妖怪としての格も高く、その力は"骨"として肉のあるものに取り込まれることでさらに強大になる。
MAP
PL用
KP用
探索者が人外種族であるという設定上、新規でのキャラメイクが望ましい。
既存のキャラクターを使用する場合は、種族に合わせてステータスを変更すること。
(オオカミ男のSTRは6D6で算出するため、3D6で算出したSTRを2倍にするなど)
今回使用を想定している種族は、オオカミ男(P230)、吸血鬼(P231)、ミイラ(P234)である。
オオカミ男とミイラは締りが悪いので、以降は人狼とリビングデッドとする。
探索者達は、人間社会に溶け込んで生活していても、隠れ里などで一族と生活していてもよい。
ステータス算出はルールブックに記載されている通りに行う。
記載されていない部分の算出方法や、本シナリオ独自の変更点は次の通りである。
・人狼(P230)
人狼は、感染した結果の後天的なものか、人狼の一族に生まれた先天的な物かを選択する。
満月の夜、後天的な場合は半人半獣に。先天的な場合は完全なオオカミへと変貌する。
本シナリオで登場する人狼は血族を形成しており、独自の文化による教育か、人間社会による教育を受けていることとする。
人狼は、人間の姿と獣の姿の2種類のステータスを持つ。
人間か獣の姿のステータスどちからを算出し、もう一方のステータスに変換することとする。
ただし、INTは2D6+6で算出し低下は発生しないこととする。
以下は人間の姿から変換する場合。CON、POW、DEXの上限は18まで。
STR→2倍、CON→+3、SIZ(先天的な場合のみ)→+2、POW→+3、DEX→+3
人狼は技能、装甲に以下の変更を加える。
追加技能
ラ・ムエルテ・デ・キス(噛みつき)、初期値30%、ダメージ1D8+DB(変身時のみ使用可能)
※噛みつきにはマーシャルアーツを適用できることとする
匂いによる追跡、初期値90%
初期値変更
隠れる、初期値60%
装甲(変身時のみ)
1ポイントの装甲と、1Rに1耐久力回復。
・吸血鬼(P231)
吸血鬼は、感染によって数を増やすものとする。そのため、探索者は後天的な吸血鬼となる。
探索者が古い吸血鬼であれば、その年齢は数百歳である可能性がある。
探索者は、実年齢と見た目の年齢を決定すること。
年齢に応じてEDUの増加ルールが適用されるが、上限は23とする。
また、老化による能力値の低下は外見年齢に合わせる。
吸血鬼は日中特別な能力を発揮できない。光を完全に遮れば外出はできるが、一時的にSTR、CON、DEXが半減する。
日光を浴びれば、1Rごとに1D6のダメージを受ける。
日に1度、人間の血を飲む必要がある。
人間のステータスを吸血鬼のものに変換する場合は、次のように処理する。CON、POWの上限は18まで。
STR→2倍、CON→+3、POW→+3
吸血鬼は追加の能力を持つほか、技能、装甲に以下の変更を加える。
追加技能
ラ・ムエルテ・デ・キス(噛みつき)、初期値50%、ダメージ1D4+吸血
※吸血を行う場合、各ラウンドに1D6のSTRを吸収じ自分のものにできる。このSTRは1時間で失われる
※噛みつきにはマーシャルアーツを適用できることとする
マルカ・グラバダ(かぎ爪)、初期値50%、ダメージ1D4+db
※MP吸収効果については、処理が面倒な場合使用しない
※かぎ爪にはマーシャルアーツを適用できることとする
血を嗅ぎつける、初期値75%
初期値変更
心理学、初期値60%
追加能力
インスタント・ラヴァー(見つめる)、MPを1D4消費しPOW対POWの対抗ロール
成功した場合、相手に単純な命令を聞かせることができる。
ただし、自己破壊的な命令だった場合、対象がアイデアに成功すれば正気に戻ってしまう。
煙かコウモリへの変身、MPを1D4消費
煙かコウモリへ姿を変化させる。身体的な能力は煙やコウモリと同等になる。
装甲
耐久力以上のダメージを受けた場合、1D4のMPを消費し姿が煙に変わり耐久力が1Rに1ポイントずつ回復してゆく
耐久力が最大値の半分を超えると復活する。ただし、耐久力が0になった場合は発動しない。
MPが支払えない場合、通常の死亡処理と同様に処理する。
・リビングデッド(P234)
リビングデッドは、何らかの儀式によるものか、偶発的に発生した存在であるものとする。
どのように生まれた存在によるかで、ミイラのような外見なのか、ゾンビのような外見なのかを決定する。
探索者は、実年齢と外見の年齢を設定すること。
年齢に応じてEDUの増加ルールが適用されるが、上限は23とする。
また、老化による能力値の低下は外見年齢に合わせる。
なお、リビングデッドは下限を3としてAPP-6する。
リビングデッドは睡眠をとらない。
人間のステータスをリビングデッドのものに変換する場合は、次のように処理する。POWの上限は18まで。
STR→2倍、CON→1.5倍、POW→+5、DEX→3分の2
リビングデッドは技能、装甲に以下の変更を加える。
初期値変更
アインラード・ゾム・トート(こぶし)、初期値70%、ダメージ1D6+db
※このこぶしにはマーシャルアーツが適用できることとする
忍び歩き、初期値50%
装甲
2ポイントの装甲、貫通する武器は1ポイントのダメージ
※STRとSIZの合計が41以上の場合、ダメージボーナスが2D6になります
探索者たちは、種族に合わせたそれぞれの一族やコミュニティの長から呼び出しを受ける。
呼び出される場所はそれぞれの種族にゆかりのある場所、時間は夜がよいだろう。
探索者たちが到着したとき、長の姿は見えない。これは、長が闇夜に身を潜めているためである。
〈目星〉〈聞き耳〉〈追跡〉など、隠れている長を発見できそうな技能を1つロールさせる。
長を発見できた場合でもできなかった場合でも、長は闇が溶け出したかのように現れる。
なお、長の姿はそれぞれの種族の典型的なものとする。
発見した場合の例
「流石だな、ドゥンケルハイト・ブルーツフェアヴァンツシャフトに相応しい反応だ。
お前をディ・スタークスト・シュバルツに選んだ私の眼は間違っていなかったという事だ」
発見できなかった場合のセリフの例
「どうした?ライカンの輝きに眼が眩んだか??ハハハ!これは傑作だな!
お前は我がブルーツフェアヴァンツシャフトのディ・スタークスト・シュバルツなのだ。しっかり頼むぞ」
※過去のシナリオでディ・スタークスト・ジェット・シュバルツになっていた場合はセリフを変更しましょう
その後、長はコンフィレンシア・デ・カオスについての説明を始める。
「早速だが、オストハウプトシュタット(東京)のサンクチュアリでコンフィレンシア・デ・カオスが開かれる。
コンフィレンシア・デ・カオスのメッセンジャーによれば、ディ・スタークト・シュバルツを連れてこいということだ。
他のドゥンケルハイト・ブルーツフェアヴァンツシャフトもディ・スタークスト・シュバルツ――抑止力を連れてくる。
セロトニントランスポーター遺伝子を持たぬ我らブルーツフェアヴァンツシャフトには無用な助言だが、決して臆するなよ。
コンフィレンシア・デ・カオスは螺旋を描く満月の日、メシア(救世主)が慟哭する時、金色の黄昏――ラグナロクが始まる前の刹那に行われる。
決して遅れぬようにな。それでは頼んだぞ」
※過去のシナリオでディ・スタークスト・ジェット・シュバルツになっていた場合はセリフを変更しましょう
※探索者たちはこの説明でコンフィレンシア・デ・カオスが開かれる場所、日時を完全に把握できます
※質問された場合、東京で5日後の22時15分に始まると答えましょう
コンフィレンシア・デ・カオスの会場となっているのは、とあるトンネルの奥である。
近くに探索者の種族の長がおり、時間通りだなと話すと隠された扉を開きさらに奥へと進んでゆく。
人間には発見されておらず、闇の血族のみがこの場所を知っている。
扉の奥は、巨大な地下世界である。底が見えないほど深く、探索者達の視界にはいる者は捻じ曲がった複数の尖塔だ。
最も近い尖塔まで続く橋が掛かっており、長はその橋を渡ってゆく。橋を渡っている間、死者の悲鳴のような、心地の良い音色が地の底を木霊し続ける。
尖塔に近づくと、この塔は人間の骨で作られていることが分かる。門には漆黒の鎧に身を包んだスケルトンのプフェルトナー(門番)がいる。
プフェルトナーに近づくと、大広間で狂骨公がお待ちですと告げられ、案内される。
大広間までの道には様々な骨の美術品がある。美しい彫刻や武器の数々のほか、ドゥンケルハイト・ブルーツフェアヴァンツシャフトの本能を刺激するようなものも飾られている。
大広間には○脚(参加する長の数+1)の人骨の椅子があり、奥には豪奢な装束の、爛々と輝く赤い瞳をした男がいる。ただし、瞳以外の部分は全て闇のように黒い骨である。
長たちが席に着くと、一際大きな死者の怨嗟の慟哭が塔に鳴り響く。音が鳴りやむと、豪奢な装束の男が口を開く。
この際、〈目星〉や〈聞き耳〉の他、〈匂いによる追跡〉などの中で最も高い技能1つで判定を行う。結果は後述の襲撃イベントに反映される。
「再び螺旋を描く満月の日、メシア(救世主)が慟哭する時、金色の黄昏――ラグナロクが始まる前の刹那を迎えられ喜ばしく思う。
今宵のコンフィレンシア・デ・カオス、プレセディンテ(議長)を務める紅葉阿津賀志山臼負い天火長政之煙羅片脚狂骨だ。皆には狂骨公と呼ばれている。
此度のディ・スタークスト・シュバルツはノビーチェ(新顔)が多いようだな。(ディ・スタークスト・ジェット・シュバルツがいる場合はその旨も付け足しましょう)
我らドゥンケルハイト・ブルーツフェアヴァンツシャフトの繁栄を心から祝福しよう。
さて、早速だが本題に入ろう。我々ドゥンケルハイト・ブルーツフェアヴァンツシャフトは闇に住まい、人間達にはいずれ終焉する仮初の楽園(昼)を与えている。
そして、世界の五分(夜)を支配しているのだが……この理をツェアシュテールング(破壊)しようとする愚かなドゥンケルハイト・ブルーツフェアヴァンツシャフトがいる。
更に、その者はドゥンケル・ヴェルト(闇の世界)とは相反する存在――"神話生物"の力にその手を染めている。諸君らにはこの存在を抹殺……」
ここまで話した時点で、先ほどの技能判定に成功した探索者は、何者かが紅葉阿津賀志山臼負い天火長政之煙羅片脚狂骨の背後に現れたことを察知できる。
察知できた探索者は、「背後に現れた何者か」が更に行動を起こす前に何らかの行動が1つとれる。(攻撃する、長を庇う、警告するなど)
背後に現れた者はアザトースを信奉する吸血鬼、オスヴァルト・フォン・ グルムバッハである。彼は狂骨公を殺害し、その後無意識にアザトースの力を伴った爆炎を発する。
この行動を阻止する場合、彼に35点以上のダメージを与える必要がある。全員が襲撃に気づき、即座に行動しなければ阻止することは難しいだろう。
35点以上のダメージを与えた場合、彼の身体は探索者達の攻撃によって引き裂かれ、赤黒いオーラを伴う爆発が部屋を包む。
察知できなかった探索者は、察知できた探索者の行動によって変化するが、紅葉阿津賀志山臼負い天火長政之煙羅片脚狂骨の胸のあたりから青白く、皮張った吸血鬼らしき手が生え、
赤黒いオーラを伴う爆発が部屋一帯を覆った瞬間を目撃する。なお、察知できた探索者が警告を発した場合、長を庇う行動のみは咄嗟に取ることができる。
赤黒いオーラを伴う爆発を受けた探索者は1D10のダメージを負い、しばらく身動きが取れない。庇っていなかった場合、長達も苦しげな声をだし膝をつく。
探索者達がこの爆炎を回避することは難しいだろう。爆炎を受けた者達は、体に奇妙な文様が現れ身動きが阻害される。
襲撃者、オスヴァルトはたとえ自分の身体が引き裂かれていたとしても、何事も無かったかのように口を開く。
さらに、彼の身体の傷は急速に治癒してゆく。
※これはアザトース降臨の儀式を行うにあたって彼がアザトースの化身へと変貌しつつあるためです
「コンフィレンシア・デ・カオスの面々に、ディ・スタークスト・シュバルツとは……ご紹介に預かったオスヴァルト・フォン・ グルムバッハだ。
この世で最も濃いドゥンケル(闇)よ……。この度は貴公らにポル・ファヴォーレ(お願い)がありこの場をお借りした。
どうか、私の甘美なる別れ、甘き死の時を妨げないで欲しい。とはいえ、この世は地獄。ならば死を望む私が死ぬことなどありはしない。
死の無い私を妨げることなどウンムグリッヒ(不可能)だろうが……。同じ地獄に住まうものの誼として警告しておこうと思ってね。
既に、カンカータの第1曲たるアリアは奏でられている。ああ、どうか、どうかドゥンケルハイト・ブルーツフェアヴァンツシャフト達よ。
私のコンツェルトの舞台であるゼクス・バーム(六本木)には立ち入らないでくれ給え。第2曲たるレチタティーヴォはゲネラールプローベ(最終リハーサル)を終え明日公演だ。
第3、第4曲も同時に行う……それでは、どうかわたしを引き留めないでくれ」
セリフを終えると、オスヴァルトはその体を熟成した血と同じ色の霧に変え消える。
オスヴァルトに35点以上のダメージを与えられなかった場合、紅葉阿津賀志山臼負い天火長政之煙羅片脚狂骨は死亡している。
長達がダメージを受けた場合、彼らは苦しげに膝をついている。探索者が長を庇っていた場合、探索者にねぎらいの言葉を掛ける。
狂骨公が生存していた場合は狂骨公が、狂骨公が死亡しダメージを受けていない長がいる場合は長が、狂骨公が死亡し長全員がダメージを受けている場合は適当な長が口を開く。
「奴の思惑通りにするわけにはいかん。お前達ディ・スタークスト・シュバルツは明日、日が沈み次第ゼクス・バームに向かえ。
奴は恐らく、明日、自壊する虚無の仮面の日、朱炎が終焉を迎える時、金色の黄昏――ラグナロクが始まる前の刹那に行われる冥府翻倒の儀に乗じてリトゥアル(儀式)を決行するつもりだろう。
日付が変われば儀式は成る。明日中にその企みを打ち砕くのだ」
そう話すと、紅葉阿津賀志山臼負い天火長政之煙羅片脚狂骨、あるいは長は紅葉阿津賀志山臼負い天火長政之煙羅片脚狂骨の身体から探索者達の人数分の肋骨を取り出す。
「これをお前たちに託す。狂骨公(あるいは私)と共に在る事でオスヴァルトから受けたデレトレア(呪縛)から逃れることができるだろう。
更に、"神話生物"が近づけば近づくほどにそれは熱を発する。その熱と、お前たちが感じる本能的な嫌悪感が奴らを見分けるシュルッセル(鍵)だ。
行け。今こそ紅蓮の因果が万物の概念を導く時。愚かな蛭を鏖殺しようぞ」
黒い肋骨を受け取ると、仄かな暖かさを感じるとともに、体に浮いた奇妙な文様が消え去る。
また、先ほど負った傷も急速に治療が始まる。明日の夜には完治しているだろう。
※自壊する虚無の仮面の日、朱炎が終焉を迎える時、金色の黄昏――ラグナロクが始まる前の刹那に行われる冥府翻倒の儀は10/31のハロウィンを指します
オスヴァルトの襲撃翌日の夜(10/31)、探索者達はゼクス・バームに向かうだろう。
10/31はもちろん満月である。
なお、襲撃当日(10/30の夜)に向かう場合、到着するころには翌日(10/31)の朝になっている。オスヴァルトの儀式は始まっていないため探索者が行えるのは情報収集のみである。
狂骨公の骨は反応せず、ハロウィンの仮装パーティも行われていないため神話生物を見つけることは難しいが、聞き込みで怪しい場所に目星をつける程度は行える。
探索者達が予定通り、襲撃翌日の夜(17時)に到着した場合、ゼクス・バーム入口に訪れると紅葉阿津賀志山臼負い天火長政之煙羅片脚狂骨の肋骨は僅かに熱を増しており、この場に神話生物がいることを探索者達に予感させる。
町の大通りには様々な種類のドゥンケルハイト・ブルーツフェアヴァンツシャフト(コスプレした人間)が溢れている。
吸血鬼、魔女、ゾンビ、フランケンシュタイン、人狼……中には探索者達も知らぬ謎の種族(お化け以外のコスプレ)もおり、人間の姿は殆ど見えない。
いつの間にか、闇の仲間たちが人間界に大きく進出しており、更には未知の種族も現れていることに気づいた探索者達は正気度を喪失する。
衝撃的な事実にSANチェック0/1D3
※適当なタイミングで人間のコスプレだったと気づかせましょう
今後、探索者達はオスヴァルトが行う儀式の現場、3か所を突き止め日付が変わるまでに全ての儀式を阻止し、オスヴァルトを殺さなければならない。
探索は10/31の24時をタイムリミットとする。探索者達が十分に行動できるようになる夜は17時のため、シナリオ内での探索時間は7時間になることが多いだろう。
なお、墓地、病院、ナイトクラブでは以下の儀式が行われている。詳細は後述のイベント部分を参照。
A.墓地
ドリームランドにある食屍鬼達の住処まで続く道が開き、現れた食屍鬼達が辺りにいる人間達を食している。ドリームランドへと続く道を閉じるか、食屍鬼達を全滅させる必要がある。
B.ナイトクラブ
ヘビ人間が独自の薬物を用いて人間達を洗脳している。洗脳された大量の人間達の中から、ヘビ人間を見つけ出し始末するか、人間の洗脳を解く必要がある。
C.病院
ミ=ゴ達が人間達の脳を摘出し、彼ら独自の容器に納めている。病院内に潜んだミ=ゴを見つけその行為を中断させるか、生贄として大量に集められた脳みそを処分する必要がある。
儀式の現場3か所を突き止める方法はいくつか存在する。本シナリオで想定しているのは、以下の3つである。
それぞれ、調査を行うごとに時間が経過する。また、とる手段によるが、墓地、ナイトクラブ、病院などで儀式を阻止するためにそれぞれ1時間程度要するものとする。
1.狂骨公の肋骨を頼りに探索する
2.人間達から情報を収集する
3.仮装した人間達の中から神話生物を見つける
それぞれ、MAP上のどの位置(道)で調査を行うか探索者に宣言させる必要がある。
1.狂骨公の肋骨を頼りに探索する
狂骨公の肋骨は、神話生物が近くにいればいるほど熱を発する。この性質を利用して、人ごみをかき分け町を虱潰しに歩くことで神話生物の根城を発見できるだろう。
それぞれの道を調査するために1時間を要し、指定した道にKP用MAPで赤線が引かれていれば、最寄りの施設(A、B、C)を発見することができる。
また、赤線のある道に接している道を調べた場合、赤線のある道が怪しいと感じる。つまり、もう1時間かけることで最寄りの施設を発見できることになる。
例:大通りを1時間かけて調査した場合、施設B、Cに続く道が怪しいと感じる。続けて施設Bに続く道を調査した場合、1時間後に施設Bである病院から神話生物の気配を見つける。
2.人間達から情報を収集する
神話生物達が行っている儀式は、程度の差はあれ人間を生贄として必要とする。
儀式は秘密裏に行われているものの、人間達は同族の失踪をある程度察知しており、彼らは僅かな噂を知っている。
そのような噂を聞き出すことで、儀式の現場を突き止めることができるだろう。
探索者達の容姿について、人間達はコスプレであると判断するため、問題なく情報収集を行うことができる。
入手できる情報は、聞き込みを行った場所から最も近い施設に関する情報とする。また、1人に対する聞き込みに要する時間は30分とする。
人間達から聞き出せる情報は以下の通りである。ただし、探索者が〈幸運〉に失敗すればその人間は何も知らないことになる。
A.墓地に関係する噂
・墓地の方にとてもクォリティの高いコスプレをした者たちがいる
・腐ったようなに臭い、鋭い爪と牙が印象的だった
B.ナイトクラブに関する噂
・ナイトクラブには近づかない方がいい
・怪しい薬を配っているらしい
C.病院に関する噂
・診療時間を過ぎているはずなのに、閉まらない
・先ほどから救急車などで病院に搬送されている人たちがいるが、出てくる者がいない気がする
3.仮装した人間達の中から神話生物を見つける
〈目星〉や人狼の〈匂いによる追跡〉で町中を闊歩する神話生物を発見できる可能性がある。
MAP上赤線の道で判定するのならそのままの値で、赤線に接した道で判定するのなら半分で、それ以外の場合は3分の1で判定する。この判定には1回で30分を要する。
成功した場合、最も近い施設に対応した神話生物が発見できる。発見した時点でSANチェックを行う。
神話生物を目撃してSANチェック0/1D6
紅葉阿津賀志山臼負い天火長政之煙羅片脚狂骨の骨が放つ熱と、探索者たちの感じる本能的な嫌悪感から彼らが神話生物であると判断できる。
発券したものを追跡するのなら、30分後には神話生物がそれぞれの施設に戻る場面まで目撃することができる。
発見した神話生物から何らかの方法で情報を聞き出せば、即座に対応する施設を突き止めることができる。
A.墓地付近
猫背で苔の生えた体に、犬のように突き出た口をした何者かが、ぶよぶよとした皮を揺らしながら、物陰でうずくまり、苦しげな表情の浮浪者に話しかけている。
〈聞き耳〉などで会話を聞いた場合、浮浪者が「今日は皆楽しそうだが、私はつらいだけだ」「この世の喜びは私にとって重荷だ」などど話し、化け物(食屍鬼)が「死こそがお前の救いだ」と答えていることが分かる。
しばらく会話した後、浮浪者はその何者かと共に墓地へと向かう。
B.ナイトクラブ付近
路地裏で2人の男が揉みあっている。片方の男の拳が相手を捉えた時、相手の姿が大きくゆがむ。次の瞬間、相手の男は蛇の頭部をした化け物に姿を変えていた。
四肢もまた、白く鱗のある爬虫類的な肌へと変貌したその男は、首を伸ばすとそのまま男に噛みつく。
噛みつかれた男は、その場に倒れ込むと痙攣をはじめ、口から大量の血と煙を吐きだし動かなくなる。
しばらくすると、ヘビの頭を持つ化け物はナイトクラブへと向かい始める。
※この場合、ナイトクラブにいる3体のうち1体は似姿の利用が解除されていることになります
C病院付近
この辺りでは、他と比べて救急車が非常に多くみられる。人間が転んだり、ぶつかったりと、少しでも傷を負った様子を見せると飛んできて、救急車から出てきた人間が強引に車へ連れ込んでいる。
探索者はふと、その中に薄赤色の翼の生えた甲殻類の姿を見つける。それは大きなはさみが付いた細い手を動かし、人間の頭を切開しているように見えた。
さらにその救急車の後をつけた場合、救急車は病院の駐車場に止まり、中にいた者達は近くの扉に入っていったことが分かる。
救急車の尾行に関しては、霧に姿を変えた吸血鬼や、DEXの高い人狼が行えるだろう。
なお、病院の職員は全てミ=ゴの機械によって操られているため、吸血鬼の魅了は効果がない。
墓地では、オスヴァルトが洗脳した食屍鬼達に命じて儀式が行われている。この墓地にはドリームランドにある食屍鬼の住処との通路が開いている。
そこから現れた5体の食屍鬼が、この世を嫌う人間を生きたまま食し、死した人間をドリームランドへと連れ去ることで儀式は完了する。
この儀式を止める方法は、5体の食屍鬼を全滅させるか、ドリームランドへと繋がる通路を封じることである。
基本的には、5体の食屍鬼を全滅させる方向に話が進むだろう。
墓地は時折手入れされている様子ではあるものの、長い年月が経過したせいか、ひどく古びた印象を与える。
探索者たちが墓地に到着した時に目撃するのは、浮浪者が食屍鬼に貪られている光景である。
「あなた達にとって安らぎの場所である墓地は、不快な腐臭にまみれていた。
そこにいたのは、鋭くも醜い爪と蹄のような足をもつ、猫背で、犬のように突き出た口をした人外の何かだ。
そいつは、救いを得たかのような恍惚とした表情を浮かべた、不味そうでみすぼらしい浮浪者のような男に覆いかぶさってぐちゃぐちゃと貪り付いている。
同じような光景が墓地の中でいくつか繰り広げられていたが、やがて、男の目から光が失われると、それに反して胴体から光が漏れ始める。
それを確認したそいつは、力を失った浮浪者の男を引きずると、墓石の下に開いた薄暗い穴の中へと引っ込んでいった」
食屍鬼を目撃してSANチェック0/1D6
描写の後、1体は通路の中に引っ込むため、墓地には4体の食屍鬼がいることになる。さらに時間をおけば、人間を連れてくるために1体が出かけ墓地にいる食屍鬼は3体にまで減る。
もちろん、しばらくすれば通路に引っ込んだ食屍鬼も出かけた食屍鬼も戻ってくる。
探索者たちは墓地から出た食屍鬼を1体ずつ倒してもよいし、一挙に襲い掛かってもよいだろう。
通路は墓石の下に開いており、人1人が身をかがめて通れる程度の広さをしている。数百年前のものと思われる墓石が入口を支えており、これを破壊すれば通路をふさぐことが出来る。
この墓石を破壊するためには、1度の攻撃で10ポイントのダメージを与える必要がある。
通路の中は徐々に暗く、細くなっていく。更に、通路の形は人型に変わってゆく。しばらく進むと、それは人から先ほどの化け物(食屍鬼)の輪郭へと変わってゆく。
進むにつれて自らの肉体が嫌にうずき、これ以上進むと体に異変が起こると感じる。更に進んだ場合、肉体が泡立ち、壁とこすれ合い酷く苦しみ1D3のダメージ。更に進むと食屍鬼になりロスト。
なお、食屍鬼達が不意打ちを受けず、探索者たちと向かい合った時、彼らは探索者たちを死に誘おうとしわがれた不快な声で説得を試みる。
「この醜い世に生きて何になる? この世の享楽は重く、摘まれた薔薇の棘は我々の魂を傷つける。
死こそが素晴らしき世界への門出なのだ。さあ、この世との別れを悦びと共に受けいるれるのだ!」
全ての食屍鬼を倒した場合、通路は崩壊し、紅葉阿津賀志山臼負い天火長政之煙羅片脚狂骨の肋骨の熱は小さくなる。
ナイトクラブには、3体のヘビ人間が似姿の利用の呪文を用いて潜んでいる。
ここではヘビ人間や、彼らに洗脳された人間たちが「ハイになる薬」を配っており、薬を飲まない人間には「ラズベリーのカクテル」を勧める。
これらにはどちらもヘビ人間の支配血清が含まれており、摂取した人間は洗脳される。どちらも摂取せずナイトクラブを出ようとする人間は殆どヘビ人間に始末されており、ナイトクラブ内の情報はあまり流れない。
ここでの儀式は、死と、アザトースと共にあることを切実に願うことである。オスヴァルトは洗脳したヘビ人間に命ずることで、ヘビ人間が洗脳した人間たちを儀式に利用している。
この儀式を止める方法は、3体のヘビ人間を皆殺しにして人間への命令を止めることか、人間の洗脳を解くことだろう。
ただし、ヘビ人間たちは人間たちの中に紛れており、見つけ出すには工夫が必要である。
最も簡単な方法は、ナイトクラブの天井に設置された水槽を破壊し、ガラスの雨を降らせることで人間全員にダメージを与えることだろう。
似姿の利用は1ポイントのダメージを受ければ解除されるため、ヘビ人間を見つけることができる。
もう1つは、人間たちを塵に変える赤紫色のガスの発生装置を破壊することである。
探索者たちにもダメージが及ぶが、ガスの中で平然と活動するヘビ人間を発見できるだろう。
また、リスクを伴う方法として、あえて支配血清を摂取し洗脳されるという方法がある。そうすれば、誰が命令を下しているのか判断することができる。
その他、観察や推理によって突き止められる可能性もある。
人間への洗脳を解く方法としては、ヘビ人間を吸血鬼の探索者が魅了し、洗脳を解くよう命じることが最も簡単だろう。
※吸血鬼はブラックライトの紫外線によりナイトクラブで力を発揮できない点に注意する必要があります
なお、3人のヘビ人間たちはそれぞれ、薬を摂取しない人間を始末する役、DJとして洗脳した人間に指示を出す役、祈りをささげる人間に混じり監視する役に分かれている。
このシーンにおいて重要なことは、ヘビ人間にダメージを与えると変装が解けるということと、ヘビ人間が人間を洗脳し命令を聞かせているということを探索者に理解させることにある。
「3.仮装した人間達の中から神話生物を見つける」でこのナイトクラブを突き止めた場合は、探索者たちはダメージを与えれば変装が解けることを理解しているだろう。
そうでない場合は、「ハイになる薬」や「ラズベリーのカクテル」を断ったり、帰ろうとした探索者に似姿の利用で変装しているヘビ人間を襲い掛からせるとよいだろう。
もしくは、闇の血族であることに気付いたヘビ人間が襲撃してくることにしてもよい。その場合、ヘビ人間は周囲の洗脳した人間何人かを従えていることにして、人間を洗脳していることも印象付けるとよいだろう。
ヘビ人間を目にした場合SANチェック0/1D6
ナイトクラブ内はブラックライトに照らされた落ち着いた雰囲気をしている。天井一面には巨大な水槽が設置されており、薄暗い明かりの中魚たちが泳ぐ姿は幻想的なものだ。
※水槽を破壊する場合、10ポイントのダメージを与える必要があります
※水槽が破壊されると、ガラスが降りそそぎクラブ内の人間すべてに1ポイントのダメージです
※ブラックライトも壊れます
かけられている曲は荘厳なクラシックである。人間たちは踊ったり酒を飲んだりしている。
ナイトクラブに吸血鬼の探索者が足を踏み入れた場合、ブラックライトの紫外線で強烈なダメージを受ける。
その場で1D6のダメージを受け、肌を隠すかナイトクラブから出なければさらにダメージを受ける。中に入る場合、全身を隠す必要があると感じる。また、ブラックライトが消えない限り吸血鬼としての力は発揮できない。
クラブ内に入ってあたりを見渡していると、スタッフが話しかけてくる。内容は「ハイになる薬」を勧めるもの。断れば、「ラズベリーのカクテル」を勧められる。
探索者がどちらかを摂取した場合、〈幸運〉で判定する。ただし、リビングデッドの探索者は毒が効かないため判定は必要ない。成功した場合、特に何も起こらない。
失敗した場合、ヘビ人間の命令を聞くようになってしまうが、人外である探索者は毒の効きが弱く、〈POW×5〉に成功することで命令に抵抗できる。
ヘビ人間の命令を聞くようになってしまった場合、命令を出したヘビ人間が誰なのか見分けることができる。
ナイトクラブの入口からしばらく進むと、数十名の人間たちが円形に並び跪いている光景を目撃する。彼らは目を閉じ、手を合わせ熱心に祈っているように見える。
彼らの中心には赤紫色のガスを発する装置のようなものが置かれており、彼らの足元にガスが漂っている。それに触れている体の部位は腐り、塵のようになってゆく。
しかし、彼らは痛みを感じていないのか、自らの身体が塵になっていることに気付いていないのか、騒ぐ様子はない。
やがて、徐々に体が崩れ落ちて行き、最後には塵以外何も残らなくなってしまう。そうすると、ナイトクラブのDJが「祈れ!」と叫ぶ。
その声を聴いた人間数十名が塵の上で円形に座り、再び祈りを捧げはじめる。
なお、これら祈りを捧げている人間たちの中に似姿の利用を用いたヘビ人間がいる。彼は毒の影響を受けず、常に祈り続けている。
祈りを捧げている人間たちを観察し、〈目星〉と〈アイデア〉に成功すれば、同じ人間が祈り続けていることに気付ける。
この場に漂っている赤紫色のガスは、人間にとって致命的なダメージを与えるが、ヘビ人間には全く効果がない。人外である探索者たちには、毎ラウンド1D3のダメージを与える。
ただし、リビングデッドの探索者はダメージを受けない。
ヘビ人間の命令により周りの殆どの人間と敵対する羽目になった場合、ガスの中に逃げ込んだり、発生装置を破壊しガスを充満させることが効果的だろう。
これは、人間たちはガスの中でまともに行動できないためである。
その他、人間達はヘビ人間の命令を聞きはするものの、自らの命が危険に晒されれば命令を聞かない。
襲い掛かってくる人間やヘビ人間を何人か始末すれば、人間隊は散り散りになり逃げるだろう。
なお、ヘビ人間達が不意打ちを受けず、探索者たちと向かい合った時、彼らは探索者たちを死に誘おうとしわがれた不快な声で説得を試みる。
「貴様らの願いは神と共にあることだろう! 今ここで死が訪れ、肉体が塵と土に変わろうと何の問題がある?
たとえ死しても、魂の輝きには何の陰りもないと言うのに!」
全てのヘビ人間を倒した場合、紅葉阿津賀志山臼負い天火長政之煙羅片脚狂骨の肋骨の熱は小さくなる。
オスヴァルトに洗脳されたミ=ゴは、病院を乗っ取り、人間を復活可能な形で死亡させ、脳に死後の夢を見せている。
それが病院で行われている儀式であり、探索者たちはこれらの脳を破壊するか、元の形に戻す必要がある。
優れた科学技術を持つミ=ゴは人間の脳を摘出し、脳缶と呼ばれる銀色の円錐形の筒に保存することができる。
ミ=ゴは脳缶に装置を取り付けることで外部との会話を実現することもできる他、脳を元の肉体に戻すことも容易に行える。
今回、ミ=ゴは病院中の職員の脳を摘出すると、その空洞となった脳に彼らの科学による特殊な装置を取り付け、自身の駒としている。
病院を手中に収めたミ=ゴは、脳缶と、空になった人間の肉体の量産に取り組む。そのために駒と化した医師を操り、脳の摘出手術を行い続けているのである。
病院近辺では駒と化した職員が乗る救急車が常に走り回り、適当な口実をつけて人間を連れ込んでいる。
病院内で脳の摘出が行われることもあれば、救急車内にミ=ゴが乗車しておりその場で脳の摘出がなされることもある。
脳缶と、脳を失った肉体は全て儀式のために病院の地下に造られた墓地に生贄として置かれている。
探索者たちは、この墓地を突き止め破壊するか、ミ=ゴを洗脳して生贄の脳と肉体を元に戻さなければならない。
この病院には、全部で3体のミ=ゴがいる。彼らは1体が地下におり、2体が病院内の手術室にいる。手術室の1体は救急車に乗っている場合もある。
手術室のミ=ゴに会うためには、職員たちの勧めに従い手術を受けるか、直接手術室の乗り込めばよいだろう。
地下に向かう場合、地下への入口は病院の駐車場にある。ミ=ゴが乗った救急車の後をつけるか、脳缶を持った人間の後をつけるとよいだろう。
脳缶を持った人間は、手術室から現れ地下に向かっている。彼らはミ=ゴによって脳を摘出された人間であり、自らの脳を持ち地下へと移動しているのである。
それ以外の行動をとる必要はないため、彼らの脳に収まっている機械は必要最低限の物である。彼らは会話などはできず、ただただ地下へと向かう。
病院の地上部分は一見して何の変哲もない病院である。患者が待合室におり、受付では職員が対応している。時折医師の姿も見え、病院は正常に稼働しているように見える。
ただ1つ奇妙なことは、直径30センチほどの銀色の円錐形の筒(脳缶)を持った人間の姿が時折見えることである。
探索者たちは、そのような容器に全くの心当たりがない。
ただし、病院の職員は全て脳を摘出され、ミ=ゴが取り付けた機械によって操作されている。
受け答えはどこか機械的なもので、彼らは一様に入院と手術を勧めてくる。探索者たちはしばらく会話すると違和感を抱くだろう。
地下部分がこの病院で行われている儀式の現場である。駐車場の端に扉があり、その中から入ることができるほか、病院内に設置された出入口からも向かうことができる。
地下への階段を下っていくと目に入るのは、どのような掘削技術で作られたのか想像できないほどの広大な地下空間である。このような空間は今回のコンフィレンシア・デ・カオスの会場以外に見たことがない。
その空間に、大量の墓穴と棺桶、墓石が並んでおり、その墓石を埋め尽くすかのようにバラが並べられている。
時折銀色の容器を持った人間が現れて、墓石の前に銀色の容器を置くと、近くの閉じた棺桶に土をかけ埋める。その後、自身は棺桶に入る。しばらくすると次の人間がやってきてその棺桶を埋める。
この地下空間には見回りのミ=ゴがおり、探索者たちが何か行動をとれば気付き駆け付けてくるだろう。
ミ=ゴを見た場合SANチェック0/1D6
「それはおよそ1.5mほどのピンクがかった生き物だった。
甲殻類のようなそれは膜のような翼をもっており、楕円状の頭部にはうねうねとした触手が蠢いている。
4対の腕の先端には不気味な鋭さと輝きを秘めたハサミがついており、威嚇しているかのように打ち鳴らされていた」
なお、ミ=ゴ達が不意打ちを受けず、探索者たちと向かい合った時、彼らは探索者たちを死に誘おうとどこかたどたどしくもおぞましさを感じさせる声で説得を試みる。
「すでに終わりは訪れている。安らかな死の時を受け入れるのだ!
神が我らを死から目覚めさせ、甘美なその元まで導くだろう。今はただ耽美な死後の夢を見、弔鐘を待つのだ」
全てのミ=ゴを倒した場合、紅葉阿津賀志山臼負い天火長政之煙羅片脚狂骨の肋骨の熱は小さくなる。
全ての儀式を阻止した場合、紅葉阿津賀志山臼負い天火長政之煙羅片脚狂骨の肋骨の熱は完全に失われる。
そして、その場に赤黒い大量の蝙蝠が現れ、それらがオスヴァルトを形作る。
オスヴァルトは悔しげな表情を浮かべており、探索者たちを見ると口を開く。
「ヴンダバー(素晴らしい)、ヴンダバー……。ディ・スタークスト・(ジェット・)シュバルツ達よ……。
この世は地獄とはいえ、これほどまでにわが願いの成就を妨げられるとは……。
ああ、神よ、申し訳ありません。最後のコラールは奏でられませんでした」
そこまで話すと、オスヴァルトは苦しげな表情を浮かべ蹲る。身体からは赤黒い煙が立ち上り、すさまじいまでの熱量を感じる。
それに呼応するかのように、紅葉阿津賀志山臼負い天火長政之煙羅片脚狂骨の肋骨は再び熱を発する。それは、今までで一番強い熱だ。
「ああ! 神よ! Wenn es meines Gottes Wille(それが神の御心ならば(ウェン・エス・マイネス・ゴッテス・ウィル)!
"ああ、神よ! アザトースよ! 疾く来たりて連れ去りたまえ! ……Dieses sei mein letztes Wort. (これが私の最後の言葉(ディーズ・サイ・マイン・レッツテス・ウォート))
」"
※儀式は失敗し、アザトースの降臨はなりませんでした
※しかし、中途半端に行われた儀式により、オスヴァルトの身体を媒介としアザトースの一部が現れようとします
なお、儀式を阻止できなかった場合はアザトースが降臨し、探索者たちが何も理解できないまま一瞬にして世界は滅びる。
オスヴァルトの肉体を媒介として、アザトースの一部が降臨する。探索者たちはこれを撃退しなければならない。
「オスヴァルトの肉体は、赤黒い、紅蓮の炎に包まれ食い尽くされてゆく。彼の最後の叫びは歓喜に打ち震えるものだ。
塵芥となった彼は、二度と動かぬ事がこの世の理として明白だった。
しかし、その塵芥を、この世の理から外れた深淵の光が包む。辺りが漆黒に包まれる中、その中心に顕現したのはそれよりもなお黒い闇を纏うオスヴァルトだった。
その体躯は周囲の漆黒を飲み込み、ひどく膨張してゆく。膨張し、手足だった4つの触肢がついた球体となった彼の顔に浮かぶのは笑み。
その目は盲いたように何も映しておらず、受ける印象は白痴そのものだったが、それは今まで感じたことのないほどに強大な波動を放っていた」
オスヴァルトを見てSANチェック1D6/1D20
アザトースの完全な化身と化したオスヴァルトとの戦闘開始。
同時に、今までにない熱量を放っていた紅葉阿津賀志山臼負い天火長政之煙羅片脚狂骨の肋骨はさらに熱を強くし、探索者たちの中に吸い込まれてゆく。
探索者たちは、自身の力が大幅に強化されたことを理解するだろう。
なお、これらの強化は戦闘が終われば消えてなくなる。
アザトースの化身と化したオスヴァルト(マレウスモンストロルムP128を参考に設定)
STR120、CON230、SIZ70、INT0、POW100、DEX10、HP150、DB+11D6
武器
巨大化した手足、60%、ダメージDB
強化された探索者たちは、オスヴァルトから受けるダメージが11D6の4分の1になる。(2D6+3程度でもよい)
加えて、気絶せず、1ターンに3ポイントの耐久力を回復する。これにより、HPが-5になり死亡しても、毎Rの回復で復活できることになる。
また、探索者たちの攻撃によるダメージロールの結果が2倍になる。
※固有の戦闘技能+マーシャルアーツを取得した人狼、吸血鬼、リビングデッドの探索者3人で3ターン掛けて倒せる計算ですが、探索者のステータスによってはバランスを調整してください
探索者たちがオスヴァルトを倒すと、彼の身体はどこかに吸い込まれるようにして消えてゆく。そして、あたりは闇に包まれる。
しかし、その闇は探索者たちには馴染みの深い、ドゥンケル・ヴェルトを思わせるものだ。
しばらくすると、その闇の中からそれぞれの長と、生存していれば紅葉阿津賀志山臼負い天火長政之煙羅片脚狂骨が現れ、探索者たちに労いの言葉をかける。
「さすがは、ディ・スタークスト・シュバルツ(もしくはディ・スタークスト・ジェット・シュバルツ)だ。その名に恥じぬ、いや、それ以上の素晴らしい活躍だった。
今回の働きから、コンフィレンシア・デ・カオスは貴公らをディ・スタークスト・ジェット・シュバルツ(もしくはディ・スタークスト・ジェット・シュバルツ・ウン・ホルト(最強の漆黒の悪魔))に命じる。
さらに、貴公らさえよければコンフィレンシア・デ・カオスの評議員にも加わってほしい。
今後とも、我らドゥンケルハイト・ブルーツフェア・ヴァンツシャフトの繁栄は続く。その道を是非貴公らと歩ませてくれ。
さて、同族の後始末もせねばならん。行こう――金色の黄昏、ラグナロクが始まる前に」
探索者たちは世界を救い、ドゥンケル・ヴェルトで最も名誉ある地位にも就くことができた。金色の黄昏、ラグナロクが始まるまで、ドゥンケルハイト・ブルーツフェア・ヴァンツシャフトの繁栄は続くだろう。
シナリオクリアで1D20の正気度回復。神話生物を全滅させていた場合、追加で1D6の回復。