終末テスト - Cthulhu Scenario Storage|クトゥルフシナリオストレージ

終末テスト

【このシナリオについて】

シナリオ傾向:クローズド、現代、小学生探索者用
推奨人数:3人~
戦闘:有り
推定プレイ時間:2時間
難易度:低め
システム:クトゥルフ神話TRPG

このシナリオは小学生探索者を用いてプレイするシナリオである。小学生探索者の特性上、技能が貧弱な可能性が高いので、技能が無くともロールプレイで補えるようにする。また、図工室や理科室、保健室など目的に合った教室を使えば、技能値にボーナスを与える。

【あらすじ】

小学生の探索者達は、何故か学校の教室で目が覚める。探索者たち以外に人はおらず、学校の周りは鬱蒼とした森林になっている。そして、現れるのは殺人鬼とテスト用紙。果たして探索者達は元の世界に帰ることができるのか?

自分たちが飛行するポリプに滅ぼされることを知ったイスの偉大なる種族は、新たな精神転移先として、人類と人類の滅亡後に栄えるカブトムシのどちらかを選ぶ必要があった。彼らは、より優れた肉体を選ぶためそれぞれの種族をテストすることにする。だがしかし、人類代表として選ばれたのは数名の小学生だった……。頑張るな!小学生!

【資料】

カブトムシ
偉大なる種族が乗り移る予定のカブトムシ。職員室に群れがいるため、POW、INT
は群れの値、DEXはカブトムシ本来の値とし、能力値を変更している。
STR2 CON2 SIZ1 POW13 INT24 DEX18 HP2
武器
噛みつき 35% 1D2

NPC
竹中 恭平 犯罪者 28歳 男 190cm 80kg
20人ほどを殺害した連続殺人鬼。
非常にキレやすい性格で、小学生探索者たちにとっては脅威だろう。
STR13 CON13 POW6 DEX18 APP8 SIZ16 INT8 EDU11 HP15 MP6 SAN5 アイデア40幸運30 知識55
ナイフ90
鍵開け60 隠す30 忍び歩き31 目星35
言いくるめ60
芸術〈殺人〉80

MAP
PL用

KP用

【導入】

キャラクター作成に当たり、クトゥルフ2010の学生探索者作成ルールを用いる。小学校6年分のロールをした後、学年を自由に設定する。
朝、探索者達は母親に起こされる。おいしい朝食を食べ、学校へ向かうように促される。道中で友人に会いつつ、探索者達は学校へ向かう。今日は土曜日で、授業は昼までの3時間だ。季節は夏だ。
今日の授業は、1時間目は国語、2時間目は体育、3時間目は算数。それぞれ学年に合わせて適当な授業をする。
国語の時間では、先生に当てられる。〈日本語〉ロールを行う。国語が得意の経歴を引いていれば、その回数ロールできる。成功すると先生に褒められる。
褒められる。体育の時間では、学年合同で水泳が行われる。〈水泳〉に成功するとうまく泳ぐことができて褒められる。探索者が他の行動技能を持っていれば、授業内容を変えてもよい。算数の時間では、前回のテストの返却が行われる。INT*1D10をテストの得点とする。101以上にはならない。算数が得意の経歴を引いていた探索者は、その数だけ得点
に+10する。テストが終われば、帰宅の時間。家に帰ると母親がそうめんを用意してくれているだろう。探索者達は食事をした後自由に行動してよい。夕食にはカレーが出てきて、母親が早く寝るように促してくるだろう。
テレビではアニメやバラエティ番組などが放送されている。臨時ニュースがあり、連続殺人鬼の竹中恭平が逮捕されたというテロップが流れる。探索者達は彼が老若男女無差別に20人ほど殺害していることを知っていてもよい。
この日の出来事で、優秀な人間を探していたイス人に目をつけられる。特に目立つところが無くても何となく理由づけする。

【目覚め】

眼が覚めると、探索者達は学校の教室で机に座っている。どうやら机に突っ伏したまま寝てしまっていたようだ。
学校は自分たちが通っている学校とは少し違うもの。
見知らぬ場所で目覚めたことによるSANチェック
1/1D3
目覚めた場所は多目的室である。中には探索者とちょうど同じ数の机があり、それぞれに探索者達が座っている。
普通の教室のような感じで、前方には教卓と黒板がある。黒板には「チャイムがなるまでにすわりましょう」とチョークで書かれている。妙に整った字で人間が書いたとは思えない。窓から外を見ると運動場が見え、学校の敷地外は鬱蒼とした森林が広がっている。巨大な植物が生い茂っている。〈知識〉ロールに成功すると、現代のものではない事に気づきSANチェック。博物学などに成功すれば6億年前のものであることが分かる。
異常な植物を見てSANチェック
0/1

ここはイスの偉大なる種族が生息する6億年前の地球である。

教室にはもちろん、廊下に続く扉もある。しかし、何故か開くことは無い。〈目星〉などを行った場合、廊下にカブトムシがいることに気づく。性別はオス。
全員が着席し、しばらくおとなしくしていると教室の扉が開く。扉を開いたのは30歳ほどに見える、ぼさぼさの髪と無精ひげが印象的な男。彼は探索者達に侮蔑の眼を向けながら、教卓へと歩いていく。
彼の身長はおよそ190cmに見え、小学生たちはとてもかなわないと感じるだろう。〈アイデア〉に成功すればテレビで見た連続殺人鬼の竹中恭平であることに気づく。竹中は探索者達が何もしなければ、教卓につき話を始める。探索者達が何か邪魔をした場合、最も邪魔をしたと思われる探索者一人に「おとなしくしてろクソガキ!」と言いながら〈こぶし〉(初期値)で殴りつける。

彼は現実世界で逮捕された連続殺人鬼として報道されていた竹中恭平である。イスの偉大なる種族にテストの対象として選ばれ、ここに現れた。理由はいっぱい人を殺していて強そうだったから。非常に残忍な性格で、小学生にも平気で暴力をふるう。しかし、テストを受けさせないと元の世界に帰れないことを知っているので、一応はまともにテストを進行させるし、探索者達にイラッとしない限りは暴力を振るわない。ただし、彼は非常にキレやすい。
彼を怒らせた場合、〈こぶし〉が飛んでくる。本気で殺害しようとすれば〈ナイフ〉で応戦するだろう。
この世界にいる間に現実世界では数日が経過しており、竹中は眠ったまま捕まってしまっている。

竹中が教卓につき、探索者達が話を聞く姿勢を取ると、竹中が話し始める。
「今回、お前らにはテストを受けてもらう。気づいてるやつはいないと思うが、ここはお前らが元いた地球じゃない。
元の世界に帰りたかったら、おとなしくテストを受けるんだ」
そういって、竹中は懐から1枚の紙を取り出す。
「まず、お前らに名前を聞こうか。よし、そこのお前からだ。ああ、俺の名前は竹中だ。短い間だがよろしくな。へへへ」
名前を聞いた竹中は、その名前をテスト用紙に書き込む。

【竹中を無力化する場合】

身の危険を感じ、竹中を何とかしようとする探索者達もいるだろう。竹中は、テストで指定されない限り教室を決して出ようとしない。彼を無力化、あるいは殺害したい場合はテストの指定で外に出る竹中をトラップにはめるとよいだろう。割とホームアローンっぽいノリでよいと説明すること。
彼を殺害すると、テスト用紙が手に入る。テスト用紙にはそれぞれ問題が書かれており、正解を書き込むとその部分が変化し、正解と表示される。
加えて、テスト用紙には「この問題に全て正解し、職員室で提出すれば元の世界に帰れます」と書かれている。
テスト用紙

※実際に行われた竹中殺害の例
首の高さにピアノ線を張り、怒って追いかけてきた竹中を突っこませる。
その後、理科室でガス爆発を起こし殺害。

【1時間目 音楽】

「えーと、最初のテストは……は?ショパン?誰だそれ……まあいい!この中からショパンを選べ!」
そういうと、竹中は何枚かの絵を黒板に張る。〈芸術:音楽〉などの技能がある場合、その技能+20でロールする。成功すればショパンが誰か分かる。正解はD。

正解が分からない場合
探索者達に答えが分からなかった場合、竹中はつかえねえなあ!などと言いながら教卓を蹴る。しばらくすると、よし、お前ら、答えを探しに行け!分かるまで帰ってくるな!と言い教室から出るように促す。彼はいくつかの質問に答えてくれるかもしれない。

ここはどこ?
俺も知らねえよ!お前らがテストを受けないと戻れないんだよ!

なんでテストを受けないといけないの?
受ければ元の世界に戻れるからだ!それ以外に理由がいるのか?ああ?

ここにはいつ来た?
お前らが来る前だ。お前らにテストを受けさせるのが俺の役目だ。さっさといけ!

これってカンニングじゃない?
は?ふざけたこといってんじゃねえぞ!答えが分からないと帰れないんだよ!黙っていけ!

問題が分からないの?
分かるに決まってんだろ!舐めてんのか!死ね!と言いながら〈こぶし〉で攻撃してくる。

おじさんは誰?
は?知らないのか?後で教えてやる。へへへ。

竹中恭平さんですか?
そうだ。だからどうしたってんだクソガキ!後でまとめてぶっ殺してやるから覚悟しろよ。

逮捕された?
そんなわけねえだろ!ふざけんな!と言いながら〈こぶし〉で攻撃してくる。

カブトムシがいた
外から入ってきたんだろ。知るか。

テスト用紙を見せてほしい
見せるわけないだろ。これは俺のものだ!〈こぶし〉で攻撃してくる。

【探索】

多目的室の外に出ると、理科室の方向にカブトムシが一匹いる。探索者達が近づくと、カブトムシが襲ってくる。
マップ上の赤い点はカブトムシである。遭遇した場合、近づくと襲ってくる。青い点はカブトムシのバラバラ死体。
竹中が暇つぶしに殺害した。
学校の敷地は塀で囲まれている。外には巨大な木が生い茂る森林がある。校門から外に出られるが、無事に済むかどうかはわからない。
音楽室に行けば、それぞれの肖像画の下に名前が書いてある。ショパンの絵がどれか分かるだろう。
図書室で〈図書館〉に成功すれば、音楽家について書かれた本が見つかり、答えが分かる。図書室を使う場合、探し方によってはボーナスを与える。

【1問目 正解】

間違った答えを伝えた場合、竹中はテスト用紙に何か書きながら違うじゃねえか!と叫び間違えた探索者を〈こぶし〉で殴りつける。正解した場合、「へーこいつか。いや、知ってたけどな」などと言いつつ手元のテスト用紙に答えを書き込む。テスト用紙に何か変化があったようで、「ふーん、なるほどな」などと呟くかもしれない。
少し機嫌のよくなった竹中は、続いて第2問目を出題する。

【2時間目 理科】

「いいぞ、次の問題は……は?難しいな……10gほどのカブトムシが持ち運べる物の重さは何か答えろ!」
探索者は〈知識〉ロールに成功すればこのことを知っていてもよい。ただし、この問題では現代のカブトムシを対象としていないため、正解は200gではなく2kgである。竹中は探索者達にカブトムシを捕まえて調べるように言うだろう。
カブトムシを捕獲するには、DEXを半分にした状態でDEX対抗に勝つ必要がある。素手での捕獲は非常に難しいが、虫取り網や罠などを組み合わせれば大幅なボーナスを与える。砂糖水などを使ったトラップが有効かもしれない。
カブトムシはマップ上の赤い点部分にいる。職員室には近づかないほうがいいだろう。中に入るとおそらく死亡する。
職員室にいる群れを見た場合、1/1D4のSANチェック。
カブトムシを捕まえ、実験を行った場合、カブトムシは2kgまでの物を運ぶ。すごい。

【2問目 正解】

正解は2kgであることを竹中に伝えると「へえ……カブトムシって結構すげえんだな。お前らより使えるかもな。(カブトムシを持っている場合は)あ、そのカブトムシは置いて行けよ」などと話し、第3問目を教えてくれる。
探索者達が次に教室を訪れたとき、バラバラになったカブトムシを発見できるだろう。

【3時間目 図工】

「よしお前ら!あと4問だぞ!気合入れていけ!全部解けたら殺してやるからな!次の問題は……うーん。そう来たか。……図工だ!フィリピンヒゲイノシシを作ってこい!一個でいいぞ!」
問題は、フィリピンヒゲイノシシの特徴は?というもの。小学生にバカにされたくないのでこのような出題方法にした。
フィリピンヒゲイノシシの特徴は、小型であることと、頭から腰にかけて生えている長いたてがみがあること。
この条件にあった像のようなものを作ればよい。材料は図工室などにあるだろう。フィリピンヒゲイノシシを知っているかどうかは、〈博物学〉で判定を行う。図鑑などが図書室にあるだろう。〈図書館〉が必要だが、探し方によっては大幅にボーナスを与えてもよいし、自動成功でもよい。

【3問目 正解】

フィリピンヒゲイノシシの像を渡すと、「へえ、こういう特徴があるのか……よし!いいぞ!その調子だ!早く帰りたいよな?昼休みは無しだ。次に行くぞクズども!」などと話しながら第4問を出題する。
小型で、頭から腰にかけて生えている長いたてがみがあるイノシシの像なら正解。それ以外だとナイフで切りつけられる。

【4時間目 国語】

「次の問題は……まあ、お前らなら大丈夫だろ。次の文章の穴を埋めろ!簡単な穴埋めだ!すぐにわかる!国語だぞ!」そういうと、問題を黒板に書きはじめる。
代表的な酸のひとつで塩化水素(化学式HCl)の水溶液であるHydrochloric Acidを日本語で言うと、○○である。
〈化学〉に成功すると答えが分かる。わからない場合、図書室での〈図書館〉や、理科室でHydrochloric Acidと書かれたボトルを探せば、和訳が分かるだろう。
問題は、英語の問題。英語の問題が分からないと思われると恥ずかしいので国語の問題だと発表した。

【4問目 正解】

「よし……あと少しだな。お前ら、いい調子だぞ!ただ少し答えるのが遅いぞ、もうちょっと頑張れ。楽に殺してやらないぞ?」

【5時間目 体育】

「次は体育ってやつだ!準備が出来たらいくぞ!クソガキども!」
探索者達が、体操服や運動靴が必要だと言えば竹中はおとなしく待つ。それらは体育館横の倉庫にあるだろう。
などと話しつつ、探索者達を運動場へ案内する。運動場に着くと、50m走で竹中と競争することになる。
竹中のDEX18と対抗ロール。竹中より早かった探索者は〈こぶし〉で殴られる。
竹中は、50m走の結果をテスト用紙に書き込む。ふーん、これでいいのかなどと呟きつつ、次の問題を出すだろう。
問題は、全員がカブトムシと競争し、その結果を書けと言うもの。竹中はカブトムシと引き分けたので、自分との勝敗でもいいだろうと考えた。竹中を殺害した場合は、カブトムシと競争する必要がある。カブトムシをレーンに置いた場合、カブトムシはかなり乗り気で勝負してくれる。彼らもテストを受けているのかもしれない。

【6時間目 社会】

「よし、お前らもういいぞ。最後の問題は社会だ。今から俺がお前らを殺す、30分やるから頑張って逃げろ。社会に出るとこんな危険ばっかりだからな」
最後の問題は存在しない。竹中が小学生たちを殺したいだけである。
そのため、竹中を既に何とかしている場合はこの問題は発生しない。
竹中を殺害、あるいは無力化する必要がある。その後、テスト用紙を入手した探索者達は職員室に向かうだろう。

【職員室】

中からは蟲の飛び回る羽音が聞こえ、窓などから覗くと大量のカブトムシがいることが分かる。職員室中に蠢くそれは探索者達に強い嫌悪感を抱かせるだろう。
カブトムシの群れを見てSANチェック
1/1D4
探索者達はカブトムシを何とかする必要がある。カブトムシを無力化する方法としては、小学校の道具を使って燃やすことを一番初めに思いつくかもしれない。なんであれ、カブトムシを全滅or無力化させることができればよい。できるだけ小学生の行動を受け入れよう。
カブトムシをなんとかし、教室に入ることができれば、中央に扉と投票箱のようなものを見つけることができる。
これら二つはどのような方法で教室を制圧していても、まるで何事もなかったようにその場にある。
投票箱には「ここにテストを提出してください」と書いてある。テストを提出するまで扉は開かない。テストを提出すれば、扉が自然と開く。扉からは白い光が見えており、その先はよくわからない。扉をくぐり、中に進んでいけばシナリオエンドへ。

【エンド】

1.テストを提出し、扉をくぐった場合
光の中をしばらく進むと、あなたの意識はどこかに吸い込まれるように消えてゆく。薄れゆく意識の中、奇妙な円錐状の化け物の声を聞く。その声は日本語ではなかったが、あなた達は不思議と理解できた。
「テストへのご協力に感謝します。見事全問正解でしたが、あなた達は野蛮すぎました。共にテストを受けていたカブトムシの虐殺やあなた達同士の仲間割れなど、とても知性ある生き物の行動とは思えません。私たちはカブトムシを選ぶことにします。彼らは非常に優秀で、テスト終了後もあの世界に残り、我々の精神転移への対抗策を考えていました。但し、あの場にいた者は○○してしまいましたが……。とにかく、我々の次の体はカブトムシに決定しました。
今回のテストのことは忘れて、もう少し理性的になって暮らしてください。」
なお、この部分は描写しなくてもよいかもしれない。描写する場合、○○の部分を探索者の行いに合わせて変更する。
あなた達が目を覚ますと、両親の顔が見える。急に意識を失って3日ほど眠っていたという話を聞かされる。あの不思議な出来事の記憶は探索者達の中に残っている。もしかすると、探索者達はよくわからないうちに人類を救ったのかもしれない。
1D6のSAN回復

2.死亡した場合
あなた達が目を覚ますと、両親の顔が見える。急に意識を失って3日ほど眠っていたという話を聞かされる。あなたは奇妙な夢を見た気がするが、よく思い出せない。