私の全てをあなたへ - Cthulhu Scenario Storage|クトゥルフシナリオストレージ

私の全てをあなたへ

【このシナリオについて】

シナリオ傾向:シティ、現代、初心者向け
推奨人数:1人~
戦闘:場合によっては有り
推定プレイ時間:1~2時間
難易度:低め
システム:クトゥルフ神話TRPG
推奨技能:基本的な探索、交渉技能の他、〈オカルト〉などクトゥルフ神話TRPGの基本的な技能

※リプレイ動画を上げたので回す際の参考にしてください。

【あらすじ】

探索者達にはインターネット上の友人として「シマモリ」がいる。
ここ数か月、シマモリは殆どの時間インターネット上におり、以前の落ち着きある性格は失われている。
そんなある日、探索者達はシマモリから、彼女に監禁されていると告げられる。

【舞台設定】

津山と森嶋は恋人同士であり、とあるマンションで同棲している。
2人は大変仲睦まじく暮らしていたが、森嶋は不幸にも食屍鬼の血を引いていた。
偶然手に入れた『屍食教典儀』を読むことにより、森嶋はその血を徐々に目覚めさせていくことになる。
ある日、津山は錯乱した森嶋に肉を食いちぎられてしまう。
森嶋はすぐに気を失い、次の日には何事も無かったかのようにしていたが、津山が森嶋の異変に気づくには十分だった。
更に、津山は森嶋が定期的に人肉を食べなければ理性を失ってしまうことに気づく。
食屍鬼へ変化してゆく自覚がない森嶋を、津山は薬で眠らせ、近くの別のマンションへ監禁する。
家政婦に森嶋の食事や部屋の手入れを任せると、自身は自殺サイトを運営し定期的に人肉の料理を運んだ。
食屍鬼への変貌が進む森嶋だったが、津山は自身のすべてを捧げてでも添い遂げようと考えている。
森嶋は以前の家の部屋にいると思い込み、自身の変化にも全く気付かない。
しかし、森嶋は探索者達へと助けを求めてしまう。

【資料】

食屍鬼(基本180P)
STR17 CON13 SIZ13 INT13 POW13 DEX13 HP13 DB1D4 SANチェック0/1D6
武器
かぎ爪 30% 1D6+DB
噛みつき 30% 1D6+牙でいたぶる(1D4)
※1Rに2本の〈かぎ爪〉攻撃を行うことができる。
※〈噛みつき〉が命中した場合、1D4ダメージを与え続ける。STR対抗ロールに勝利すれば逃れられる。
装甲
火器と飛び道具はロールで出た値の半分のダメージを与える。
技能
穴掘り75% 登攀 85% 隠れる 60%
跳躍 75% 聞き耳 70% 腐臭を嗅ぎ取る 65%
忍び歩き80% 目星 50%

NPC
森嶋 誠 24歳 フリーター
津山 広美と恋人関係であり、同棲している。ハンドルネームはシマモリ。
食屍鬼との混血児であり、肉体が徐々に食屍鬼へと変化している。
変化に気づいた津山に監禁された彼は、探索者に助けを求める。

津山 広美 23歳 会社員
STR13 CON9 POW8 DEX10 APP13 SIZ11 INT15 EDU15 SAN20 幸運40 アイデア75 知識75 HP10 MP8 DBなし
武器:こぶし 50% 1d3
森嶋 誠と恋人関係であり、同棲している。
森嶋のことを深く愛しており、それは森嶋が食屍鬼へと変化する兆候を見せても変わらなかった。
彼女は、周囲に森嶋の正体が知られることや、森嶋が自身の変化に気づくことを避けようと考える。
そして、森嶋を秘密裏に別のマンションへと隔離、監禁することに成功する。

魔道書
屍食教典儀(削除修正版)(KC20P、基本106ページ)
屍食教典儀を多少一般向けにしたもの。原本と比べいくつかの情報が抜け落ちている。
フランス語で記されている。
正気度喪失1D4/1D8、〈クトゥルフ神話〉に+10%、研究理解に17週間、斜め読みに34時間。
呪文:≪黒い束縛≫、≪食屍鬼との接触≫、≪復活≫、≪萎縮≫、≪ヴールの印≫

【導入】

探索者たちはシマモリというハンドルネームを使用するインターネット上の友人がいる。
元々フリーターであり、暇な時間が多いと話していた彼はよくネットを利用していた。
しかし、ここ数ヶ月の彼はネット上で非常に精力的に活動しており、ほとんど引きこもりのような状態ではないかと感じさせる。
また、彼は明るく社交的な性格だったが、近頃は荒っぽい部分が見えるようになっている。
何かあったのではないかと感じていた探索者達だったが、ある日彼から相談があると告げられる。
彼はここ最近すまなかったと話し、相談をはじめる。相談の内容は以下の通りである。
・最近彼女の様子がおかしく、数ヶ月前から彼女に監禁されている
・顔も見せなくなり、食事は扉にあけた穴から渡される
・食事の味は以前と違い、彼女が作ったとは思えない
・もしかすると、別人になっているのかもしれない
・市内で集団死事件や失踪事件が起こっていたりと治安が悪化している
・彼女に何か起こっているのは間違いないので助けて欲しい
探索者たちが了承すると、シマモリの本名(森島誠)と、自宅の住所(豆町ビーンズハイツ302号室)を教えてもらえる。
森嶋に質問した場合、以下のように答える。

・監禁について
急な眠気に襲われ眠ったあと、気づくと家具は最低限のものしかなく、窓が塞がれ扉に鍵がかかっていた。
トイレも風呂もないし結構きつい。ボトラー。

・森嶋の仕事について
コンビニでアルバイトをしていたが、おそらく首になっているだろう。

・彼女について
名前は津山 広美。勤め先は隣町のXX株式会社。
休みは不定期だが、昼頃にも彼女の気配が多くあり、仕事や生活費がどうなっているのかは分からない 。

・料理についてや別人について
2週間に1日ほど、彼女が作った味の料理が出たり、話しかけられることもあり彼女が生きていることは確か。
最後に彼女の料理が出てきたのは2週間前。

・警察に通報しないのか
彼女のことは好きだし、できれば穏便にすませたい。

・集団死事件について
詳しくは知らないが、何度か起きている。

以上の情報は、森嶋と連絡を取ることでいつでも確認することができるだろう。
ただし、探索1日目夜以降は森嶋の食屍鬼が進み連絡が取れなくなる。
また、「今家に誰かいるか」という質問は、監禁されているマンションに家政婦がいるかどうか答えることになるため、あまり参考にならないだろう。
なお、津山は探索1日目は終日家におり、それ以降は朝仕事に出かけ、夜帰ってくる。

【ビーンズハイツ】

教えられたマンションは最近建てられたもののようで、きれいな外観をしている。
入り口にはオートロックがついており、他の住民にタイミングを合わせるか、森嶋に番号を聞けば入ることができる。
毎晩、津山はコンビニへと出かける。オートロックがあることで油断している彼女は、家の鍵を閉めない。
コンビニに出掛けている間にねり合、少し調べたところで津山が帰ってくる。
この場所で取得できる情報は以下の通りである。

・隣の住人など
森嶋や津山について尋ねた場合、「この前引っ越し業者がきて、今は女性しか住んでいない」と話す。

・郵便受け
探索2日目以降、森島らの住む部屋の郵便受けを調べると、加治サービス株式会社から届いた封筒が入っている。
中を確認した場合、家事代行サービスの領収書だということがわかる。
また、近くにあるマンションの住所(豆町パルスハイツ502号室)で契約していることもわかる。
マンションを見張っていた場合、手紙が届いた場面を目撃できてよい。

・302号室
探索1日目であれば、部屋の中には津山がいる。
チャイムを押すと津山が出てくる。森嶋について聞くと、別れたので知らないと答える。彼女はそれ以上会話しようとせず、扉を閉める。
探索者が森嶋が中にいるなどと主張して食い下がった場合、彼女は「では呼びかけてみてください」と答える。勿論、返事はない。
返事がないことを確認すると「帰らなければ警察を呼ぶ」と話す。
更に交渉技能を使用するなどして更に食い下がった場合、部屋の中を簡単に案内する。しかし、部屋の中を物色することは認めない。
部屋の中を物色しようとしたり、部屋に居座ろうとした場合は警察に通報される。また、騒ぎになれば他の住人が様子を見に来る。

・リビング
テレビや机、食器棚などが置かれている。食器や冷蔵庫などを見る限り、住人は1人であると感じる。
時間に余裕がないのか、リビングは散らかっており、たたまれていない衣服が散らばっている。
机の上を調べるか、〈目星〉に成功すると、加治サービス株式会社から届いた封筒を発見する。
中を確認した場合、家事代行サービスの領収書だということがわかる。
また、近くにあるマンションの住所(豆町パルスハイツ502号室)で契約していることもわかる。

・森嶋の部屋
机、布団など古びた家具が僅かに残されている。
津山に聞いた場合「古い物や新居に入らない物は置いて行った」と答える。
机を調べるか、〈目星〉に成功することで引き出しの中身から日記帳と鍵を発見できる。
鍵はこのマンションの鍵である。

森嶋の日記帳
XX日
今日、大学を卒業した。あっという間の4年間だったが最高だったし、漫画家になるという夢もできた。
皆が就活している間に、漫画家になるため資料を集めたが、数か月かけた甲斐あって凄い資料を見つけることができた!
夢が叶うまでは、広美に協力してもらう。絶対楽させてやるから待っててくれ!
あと、この日記も出版する予定!印税で新婚旅行だ!

XX日
しばらく日記をつけていなかったが問題ない。漫画家になる予定は無くなったからだ。
資料は訳が分からないし、実際に絵をかいてみたら向いていないと分かった。カラオケには自信があるしミュージシャンを目指す。
広美!待っててくれ!

XX日
最近は少し落ち着いてきた。今までの目標は現実的じゃなかった。
今のバイト先で頑張って、社員登用を目指す。
広美には迷惑をかけてしまったが、あと少し待っててくれ!

XX日
朝目を覚ますと広美の肩と腕あたりに包帯が巻かれていた。
広美は転んだ傷だというが、そうじゃないように思う。ずっと苦労を掛けてしまった。早く楽にしてやりたい。
ついに社員登用の試験が近づいてきた。最近は睡眠時間を削って勉強している。
今迄みたいに甘い見通しは立てていない。絶対に合格してみせる。

津山の部屋
リビングと同じく散らかっている。ノートPCが置かれている机と布団の周りだけが片付いており、そこだけしか利用していないのではないかと感じる。
ノートPCを調べた場合、履歴などから自殺サイトを利用していることが分かる。〈コンピュータ〉に成功した場合、自殺サイトを運営していることが分かる。
ノートPCを調べるか、〈目星〉に成功すると、近くにこの町の地図が落ちていることに気づく。地図には何ヶ所か印がついている。
自殺サイトと地図を両方見た場合、自殺サイトで指定されている場所と、それに加えて何ヶ所かに印がついていることが分かる。
※自殺させる場所の候補に印がついています
※これらの場所に向かった場合、集団死事件の現場であったり、人気のない場所であったりします
※自殺サイトについては後述の「自殺サイト」の部分も参照してください
布団を調べるか、〈目星〉に成功すると、枕元に古びた不気味な本が置かれていることに気づく。
〈フランス語〉を持っているか、〈知識〉に成功すれば本がフランス語で記されていることが分かる。
また、〈フランス語〉に成功すれば、本のタイトルを読み取ることができる。タイトルは「屍食教典儀」。
〈オカルト〉に成功した場合も、タイトルを知っていてよい。
本の内容は複雑で、短時間で理解することは不可能であると感じる。
ページを開いた場合、中ほどに印がつけられ、熱心に解読が試みられていることが分かる。
おそらく何らかの儀式ではないかと感じるが、詳細は時間を掛けなければ分からない。
※呪文≪食屍鬼との接触≫の部分です
本をしばらく眺めていると、体がぞわぞわとするような、不気味な感覚がする。

【図書館】


豆町の図書館では、集団死事件や行方不明事件について調べることができる。聞き込みの方法によっては、同様の情報を入手できてもよいだろう。
・集団死事件について
この町の近隣で数か月前から集団死事件が何度か発生している。
現場の様子から、警察は集団自殺であるとみて捜査を進めている。
また、事件現場と自殺サイトとの関連性も見受けられており、合わせて捜査されている。

・行方不明事件について
集団死事件と時を同じくして、行方不明事件が発生している。
行方不明者に共通点は無いが、被害者の知り合いは被害者が死にたいと話していたと証言している。

【自殺サイト】

自殺サイトについての情報を得た後、インターネット上を調べる発見することができる。
掲示板タイプのサイトで、自殺したい人間が書き込むと、管理人が場所を指定する書き込みをしている。
管理人の書き込みによると、自殺のための道具も指定された場所に置いてあることが分かる。
これらの指定された場所は集団死事件の現場と一致しているが、人数は一致していないことがある。
最後に自殺が起きたのは2週間前で、およそ2週間周期で自殺者が出ているようである。
※被害者が複数の場合は集団死、1人の場合は行方不明事件になっています
※これは、津山が死体を1体までしか持ち帰れないためです

シナリオの終盤では、自殺サイトに書き込みが無く、死体を用意できなかった津山が自らを森嶋へ捧げることになる。
ただし、探索者達が犯人を誘い出す目的でサイトに書き込んだ場合、津山は書き込まれてすぐに、その日の夜、自殺場所に来るように返信する。
指定された場所(練炭が用意された廃倉庫など)に、指定時間から暫く後大きなキャリーバッグを持った津山が車で現れる。
彼女は探索者達に自殺する気が無い場合は立ち去ろうとするが、問い詰められた場合は「もうこれしかないの!」などと話し襲い掛かってくる。
無力化したり、探索者達の交渉がうまくいけば彼女はぽつぽつと真相を語り始める。その際は「津山を白状させる」も参照するとよいだろう。
彼女の持ち物は、ビーンズハイツの鍵、パルスハイツの鍵、車の鍵、森嶋を監禁している部屋の鍵である。

【津山の勤め先】

2日目以降は、津山は朝から夜まで自らの勤め先にいる。
津山から聞ける話は変わりないが、津山の同僚か話を聞きた場合、次のことがわかる。
・津山は長時間の残業や休日出勤なども頻繁に行い、仕事熱心であるが、それはお金のためだと感じる
・彼氏とは大変仲がよかったが、最近はあまりその話をしない
・家族の容態が悪いらしく、時折看病のため休暇をとっている

【豆町パルスハイツ502号室】

家事代行サービスが契約されている住所に向かうと、津山の住むものとよく似た外見のマンションが存在する。
恐らく同時期に建てられたもので、作りが似通っているのだろうと感じる。
ただし、こちらにはオートロックは存在しない。
朝や夜に向かった場合、南京錠のかかった郵便受けの中に部屋の鍵が入っている。それ以外の場合、鍵は家事代行サービスの人間が持っている。
昼や夕方に調べた場合、南京錠は開かれており鍵の番号を知ることができる。
昼や夕方に部屋に向かうと、中には家事代行サービスの中年女性がいる。噂好きで口の軽い彼女からはいくつか話を聞くことができるだろう。
彼女は部屋に入ることは認めないが、後を着ければ郵便受けに鍵を入れている姿を目撃できるし、もっともらしい理由を話して交渉技能に成功すれば中に入ることができる。
※森嶋が理性を保っているうちに家に辿りつくことは想定していないため、ここにたどり着くまでに時間を夜まで進めてください

・中年女性の話
数か月前からこの部屋の家事を行っている。
急な連絡でキャンセルされるとき以外は、毎日加治サービス株式会社の同僚などが部屋に来て家事を行っている。
キャンセルされるのは2週間に1度程度。
食事、洗濯、掃除など全ての家事を任されている。
中には恐らく男性が一人いて、部屋から出てこない。その部屋以外の家事をしている。
扉につけられた食事口から洗濯物や食事のやり取りをしている。その際は会話しないよう依頼されている。
時折、広美か?などと話しかけられるが、依頼されているので返事はしていない。

・部屋の様子
部屋は毎日手入れされているのか清潔に保たれている。部屋の数は少なく、キッチンや水回り、リビングの他は鍵のかかった部屋のみである。
〈目星〉に成功した場合、隠れた場所に血痕を発見する。
〈医学〉に成功すれば人間のものだとわかる。〈医学〉に成功するか、人の血であると推測できる情報を持っていればSANチェック。
血痕を発見してSANチェック 0/1
※人間を調理した際にこぼれてしまったものなどです

・鍵のかかった部屋
中には食屍鬼化が進む森嶋がいる。〈聞き耳〉などで部屋の中でせわしなく動き回っていることが分かる。
鍵は一見普通に見えるが、よく調べるとかなり頑丈な扉であることが分かる。とはいえ、専門の道具を用いた〈鍵開け〉や〈機械修理〉、10点以上のダメージを与えることで開くことができる。
探索者達が到着するころには、森嶋は理性を失っている。扉越しに話しかけてもうなり声のような返事をするのみである。
扉の下部についている食事口から覗いた場合、せわしなく歩いている男の姿が見えるが、角度の問題で顔は見えない。
食事口から覗きこんで声を掛けたり、扉を開けると森嶋の姿を確認することができる。
「彼の姿は面影を残しているものの明らかに人間と違っていた。眼は赤く爛々と輝き、犬のように突き出した口からは鋭い牙が生えている。
(食事口から覗きこんでいた場合は)人とかけ離れていきつつあるその血走った顔が、あなたの目前に迫り、牙を打ち鳴らす。
彼は低いうなり声をあげると、あなた達へどこか残虐な目を向け、濁った声でつぶやいた。なんだぁ、やっど食事があ、と」
半食屍鬼化した友人を見てSANチェック 0/1D6、食事口越しに顔が接近した場合は1/1D6

半食屍鬼化した森嶋は、扉が無ければ探索者達へと襲い掛かってくる。扉がある場合は、食事口から顔をのぞかせ牙をガチガチと鳴らし続ける。
彼は人肉を口にするか、気絶しない限り止まることはない。人肉を口にした場合、理性を取り戻す。戦闘になった場合、森嶋のステータスは食屍鬼のものを使用する。
ただし、装甲は無く、攻撃は噛みつく 30% ダメージ1D6+牙でいたぶる(1D4)のみで、合計3点以上のダメージを与えた場合、人肉を口にしたことになり理性を取り戻す。
理性を取り戻した場合、彼は自分が人肉を食べたことを覚えていない。周りの状況や、探索者達の説明でそのことを理解した場合、彼は頭を抱えて蹲り、津山と話したいと話す。

【津山を白状させる】

シナリオが進行すれば、探索者たちは津山の行いに気づき問い詰めるだろう。
ただパルスハイツに森島を監禁していることのみを指摘しても、津山は白状しない。
津山を白状させるには、警察に通報することを仄めかすことが有効である。
彼女は現在の森嶋が1人で生きていけるとは考えていない。そのため、彼と引き裂かれるようなことはなんとしても避けたいと考えている。
その他には、事件の真相を暴き彼女に突きつけることである。
全てがバレていると感じた彼女は隠すことを諦める。
具体的には、自殺サイトを利用して森嶋の食糧を用意していることを指摘すればよいだろう。
探索3日目夜には食糧を調達できなかった津山が自らを食糧として差し出すため、その現場に遭遇しても彼女は真相を話す。
その他にも、探索者のロールプレイや交渉技能がうまくいけば白状する可能性がある。

全てを白状した彼女は、探索者たちに頼み事があると以下のことを話す。
・自殺者を集め彼の食料とする方法は、どうせ死ぬ人間なのだから問題ないと考えている
・しかし、彼の変容はどんどんと進んでおり、今の生活はいずれ維持できなくなる
・最後には私の体を食べさせてゆくつもりなので、そっとしておいてほしい

森嶋が理性を取り戻し話を聞いていた場合、そんなことは耐えられない、自殺したいと話す。

【エンディング】

探索者たちが津山と森嶋をどうしたかによって、このシナリオはいくつかの結末に分岐するだろう。
本シナリオで想定しているのは下記のとおりだが、シナリオの展開によっては新たなエンディングが必要な場合もあるだろう。
森嶋が自殺したいと考えていた場合、彼を思いとどばらせなければ自殺し、B.後追いのエンドとなる。

A.引き裂かれた2人
警察に通報したり、説得などによって、津山や森嶋が逮捕・隔離された際のエンディング。
・津山を通報した場合
森嶋を無力化するなどしていなかった場合、森嶋は警察官の手によって射殺される。
森嶋を無力化していた場合、森嶋は捕えられ入院するが、正気に戻ることはない。
病院はいずれ食屍鬼達に襲撃され、森嶋の姿も消える。
逮捕された津山は、森嶋が死亡していれば獄中で命を絶つ。

・森嶋を隔離した場合
森嶋を無力化し入院させるなどの処置を取った場合、津山は見舞いができる状況なら見舞いを続ける。
しかし、森嶋が正気に戻ることはない。病院はいずれ食屍鬼達に襲撃され、森嶋の姿も消える。
それと同時に津山も行方不明となる。

B.後追い
津山か森島のどちらかが死亡し、その事をもう片方が知った場合、彼らは自殺を試みる。
探索者が津山や森島を殺害していれば、警察へ通報され逮捕される可能性もあるだろう。
自殺を思いとどまらせるためには、探索者が彼らを説得する必要がある。
うまい内容を思いつけば、彼らに1人でいきていく決心をつけさせられるだろう。

C.残された時間
津山のそっとしておいてほしいという願いを聞き入れた場合のエンディング。
探索者達が津山の部屋にある魔導書をどうしたかによって、結末が変化する。
ただし、どちらの場合も、森嶋が真相を知っていれば探索者が自殺を思いとどまらせない限り2人は心中してしまう。
・津山の手元に魔導書がなかった場合
食糧が足りない際は津山自身の肉を与え、2人はしばらくの間過ごす。
最終的に、森嶋は津山を食べ尽した後、すべてを察して自ら命を絶つ。
家事代行の女性が死体を発見し、探索者の耳にもニュースが入るだろう。

・魔導書が津山の手元にあった場合
津山は魔導書の研究を進め、最終的には《屍食鬼との接触》を習得する。
魔導書の影響により、研究の過程で屍食鬼へと変貌していた彼女は、呪文を使用して接触した屍食鬼に導かれ、森島とともに姿を消す。
ただし、自殺者を食糧とすることを止めていなかった場合、津山は逮捕され、森島は射殺される。
※津山が屍食鬼化したことにより、食料が足りなくなり事件が発覚します
探索者が本の研究を手伝った場合は逮捕される前に研究が終了するが、探索者も僅かに屍食鬼化しAPP-1、STR+1、〈クトゥルフ神話〉に+5%、1D3の正気度喪失。
※津山単独で研究した場合、彼女の手が食料としてなくなったあたりで研究が終わります

探索者達が研究終了後呪文を唱える津山と共にいた場合、変貌した津山や森嶋より更に化け物に近い、猫背でどこか犬のような顔をした、腐臭を放つ食屍鬼が現れる。
鳥のさえずるような食屍鬼のみの言語で会話した後、津山は「彼らの住処に行く」とはなし、探索者にお礼を言って去ってゆく。

D.私のすべてをあなたに
探索3日目の夜、津山は自らの肉体を森島へ差し出す。凶暴化した森嶋に津山は食べつくされてしまう。
その後、探索者が到着すれば津山の死体を貪る森嶋の姿を見ることになる。(0/1D6のSANチェック)
翌日、家事代行の中年女性も森嶋の犠牲になったところで通報が入り、森嶋は射殺される。
このニュースは探索者の耳にも入るだろう。

D以外のエンディングの場合1D6の正気度回復。