くるくるさま - Cthulhu Scenario Storage|クトゥルフシナリオストレージ

くるくるさま

【このシナリオについて】


シナリオ傾向:クローズド、現代、脱出系
推奨人数:1人~
戦闘:場合によっては有り
推定プレイ時間:2~3時間
難易度:少し難しい
システム:クトゥルフ神話TRPG

【あらすじ、舞台設定】


近頃話題となっているチェーンメール「くるくるさま」。このメールが届いた者は、数日以内に奇妙な姿をした男を見るという。
そして、男に選ばれた者はその晩「くるくるさま」に生贄として呼ばれると言われている。
メールに記された「くるくるさま」から逃れる方法は、夢の中で死なずに「くるくるさま」に会うこと。

この事件の黒幕は、モルディギアンの神官である数名の古い食屍鬼。
もはや崇拝する者も少なくなったモルディギアンだが、彼らは非常に熱心に崇拝を続けている。
食屍鬼はモルディギアンを慰撫するため、町で目を付けた人間を魔術で夢の中に誘い込み、殺害することでモルディギアンに捧げていた。
ただし、モルディギアンは悪意ある存在ではなく、夢の中で生きたままモルディギアンに会うことのできた人間は元の世界へと返されていた。
チェーンメール「くるくるさま」はこのようにして生還した者や、生還したものの狂ってしまった者などにより何種類か作成されている。

【資料】


モルディギアン(MM249P)
食人儀式などにおいて崇拝される神。
かつては食屍鬼の神だったが、現在は数名の古い食屍鬼が支持するのみである。
STR35 CON77 SIZ~ INT20 POW25 DEX20 HP77 DB+6D6 SANチェック1D8/1D20
武器
のみ込み 75% ダメージ 死
※魔力を付与されていない武器無効
※毎ラウンドの〈回避〉に失敗した場合、幻覚と変化する姿により眼がくらむ
※目がくらんだ場合、〈幸運〉に成功し、攻撃の技能が1/4で成功しなければ攻撃できず、視覚に関する技能も使えない
※目がくらまなかった場合、攻撃の技能が1/2で成功しなければ攻撃できない
※この効果は神から離れた1D10分後に解除される

食屍鬼(基本180p)
STR17 CON13 SIZ13 INT13 POW13 DEX13 HP13 DB1D4 SANチェック0/1D6
武器
かぎ爪 30% 1D6+DB
噛みつき 30% 1D6+牙でいたぶる(1D4)
※1Rに2本の〈かぎ爪〉攻撃を行うことができる。
※〈噛みつき〉が命中した場合、1D4ダメージを与え続ける。STR対抗ロールに勝利すれば逃れられる。
装甲
火器と飛び道具はロールで出た値の半分のダメージを与える。
技能
穴掘り75% 登攀 85% 隠れる 60%
跳躍 75% 聞き耳 70% 腐臭を嗅ぎ取る 65%
忍び歩き80% 目星 50%

MAP
KP用

PL用


画像
古びた紙切れ

【導入】


探索者の元に、知り合いや家族などからメールが届く。タイトルはどれも「くるくるさま」。
〈知識〉または〈オカルト〉に成功すれば、近頃流行っているチェーンメールであることに気づく。
〈知識〉の半分で成功した場合、このメールが届いたものが行方不明になっているという噂を知っている。
〈オカルト〉に成功した場合、上記の情報に加え、メールが届いたものは数日以内に奇妙な男を見ると言うことを知っている。
どの種類のものにするかは、1D100の出目の順などで適当に決定する。以下は、1D100の出目で決定する場合の例。

1~25 正気の生還者からのメール
紫のローブを着た男に気をつけろ。奴は骸骨の仮面をつけて現れる。
奴に見られた時が、くるくると廻るあの神に目をつけられた時だ。
罠に気をつけろ。扉を開けすぎるな。神を見つけろ。嘘をつくな。決して夢の中で死ぬな。死ねば二度と戻れない。
このメールをできるだけ多くの人に回してくれ。そうすれば、あの世界で消える人を減らすことができる。

26~50 狂った生還者からのメール
銀の頭蓋骨に出会ったときが、あなたの救いの時。
あなたはその晩、古き暗黒の神と出会うことでしょう。真実を話せば、神はあなたの脳をくるわせてくれる。この世界から解放してくれる。
神と出会うまで、決して死なずに全ての扉を開けなさい。あの世界は試練に満ち溢れている。
このメールを思いつく限りの人に送りなさい。全ての人に救いの手を。

51~75 一般的なチェーンメール
このメールか、他の「くるくるさま」のメールを受け取った人は気を付けてください。
あなたは三日以内に猫背の骸骨男を目撃します。そして、その男にあなたが選ばれてしまった時。
その日の晩に、「くるくるさま」がくるでしょう。その時、あなたは死んでしまいます。
もし、あなたが死にたくない場合はこのメールを1時間以内に5人に送ってください。

76~100 失踪者の知り合いからのメール
最近、「くるくるさま」というメールが広まっています。
メールを受け取った私の友人は、次の日に失踪しました。「くるくるさま」のメールを誰にも送らなかったからです。
「くるくるさま」のメールをみんなに送った私は何にも出会っていません。
「くるくるさま」に出会って帰ってきたという友人は、くるひもくるひもメールを送り続けています。
このメールを読んだ皆さんは、死にたくなければこのメールと「くるくるさま」のメールを毎日5人に送ってください。あなたのためです。

インターネットなどで「くるくるさま」について調べる場合、〈図書館〉か〈コンピュータ〉で判定する。
失敗した場合、上記の一般的なチェーンメールを発見する。また、神隠しのような失踪事件が確かに起こっていることも分かる。
成功した場合、加えて上記のチェーンメールのうちいずれか一つを発見できる。探索者達に提示できなかった物(特に生還者からのメール)があればそれを提示すればよいだろう。

【神官との接触】


モルディギアンの神官である古い食屍鬼は日本に数名存在する。探索者達は、偶然にも同じ日に神官を目撃することになる。
その日の夜、外出している場合は、人気のない場所。外出していない場合は家の窓やカーテンの隙間など。
探索者はふと、頭巾の着いた豪華な深い紫色のローブと、銀の頭蓋骨のような仮面を身に着けた小柄な何者かがこちらを見ていることに気づく。
おそらくは男性だと思われるその者は、探索者が何らかの行動を取ろうとしたタイミングで背を向けその場から去ってゆく。
〈追跡〉を試みて成功した場合、その男の痕跡は近くの墓地で忽然と消えていることが分かる。
※食屍鬼は猫背であるため、ローブを着ていることも相まって小柄に見えています。〈目星〉などを行った場合、小柄なのではなく猫背なのだと気づけてもよいでしょう

【古い食屍鬼の遺跡へ】


探索者達はその晩、夢を介してモルディギアンを崇める古い食屍鬼達の遺跡へと呼び出される。
もし、眠ろうとしない探索者がいた場合、ふと瞬きをして目を開けると景色が変わっていたということにすればよいだろう。
探索者達が目を開けると、先ほどまでいた場所と全く違う景色が眼の前に広がっている。
それは古代の遺跡のような石造りの部屋である。広さは5m四方で、明かりは無いものの何故か探索者達は辺りをぼんやりと把握できる。(視覚を使う技能に-10%程度の補正)
探索者達は部屋の中央にいくつかある人1人が丁度乗るテーブルに乗せられている。また、部屋には大きな鉄製の扉が一つ存在する。
探索者達の服装や持ち物は寝間着などではなく、普段外出するときの物になっている。ただし、時計や電子機器などは身に着けていない。
見知らぬ場所で目覚めSANチェック
0/1D3
〈考古学〉〈人類学〉〈歴史〉などに成功した場合、この遺跡が有史以来の遺跡いずれにも似ていないことが分かる。

探索者達が目覚める部屋はAかBのどちらかとする。できるだけ人数を分散させる。
探索者達は古代の食屍鬼遺跡に入ることによって、その体を食屍鬼へと変貌させつつある。
下記の食屍鬼化表により、段階的に変貌するものとする。また、食屍鬼化の段階により、入ることのできる部屋が増えてゆく。

食屍鬼化表
1段階目:初期の状態。僅かな変化だが、爪が鋭く伸び、夜目が効くようになり、眼が赤くなる。
2段階目:大きな変化は現れない。背筋が曲がりだし、歯が犬のように鋭くなる。暗闇を完全に見通せるようになる。APPに-1。
3段階目:我慢できる範囲だが、食人願望が表れ始める。皮膚がゴムのような弾力を帯び始め、口からは腐臭が漂い始める。1点の装甲を獲得する。五感が鋭くなり、〈目星〉〈聞き耳〉に+10%。
4段階目:顔に犬のような特徴が表れ口が突きだし始める、背筋が大きく曲がる。力が強くなり、STRに+2。APPに更に-2。(0にはならない)
強い食人願望が芽生え、人肉を見て〈POW×5〉に失敗した場合は食人を行ってしまう。また、手先が思うように動かせなくなり、指先を使う技能が半減する。
5段階目:完全な食屍鬼となる。元に戻ることはできず、シナリオ終了時点でロストとなる。

【探索中の注意】


※食屍鬼化が進むのは扉を開いた場合だが、時間経過によっても進みそうだと伝えてみてもよい。実際に時間制限を設けてもよいかもしれない(2時間ほど?)
※扉を開いた際、「獣のような匂いが遺跡に充満し、嫌悪感を覚えるとともに体の疼きを感じた」などと描写し、扉を開け続ける危険性を伝える
※シナリオ上、遺跡内の多くの部屋には食屍鬼達による罠が仕掛けられているが、あくまでもPL達に危機感を抱かせるためであり、簡単に殺すためではない
※回避が難しい罠は低ダメージ、回避が簡単な罠は高ダメージといったように調整してあるが、KPの判断で威力を調整すること
※この遺跡で死亡した場合、死体がモルディギアンに捧げられる。1Fの食屍鬼を倒した際の描写などを参考にすること
※各部屋の扉には隙間が存在し、中を僅かに除くことができる。〈目星〉に成功するか隙間を探すと宣言すれば発見できる。一度隙間を見つければ他の扉でも即座に発見できるものとする
※扉の開閉状態は重要な部分なので、ヒントの意味も込めてしっかりと確認すること。
※ヒントとして、扉を開閉した場合カチカチと音が鳴ると伝えてもよい。加えて〈アイデア〉などで何らかの仕掛けを作動させるためのものだと気付かせてもよいだろう

【古い食屍鬼の遺跡内部】


A~Dの部屋は第1段階から。E~Gの部屋は第2段階から。H~Jの部屋は第3段階から扉を開くことができる。
Kの部屋は後述の「Kの部屋」に書かれた条件を満たした場合のみ入ることができる。
食屍鬼化は、C~Jの部屋を2部屋開く毎に1段階進む。探索者達が分散して探索していた場合、一気に段階が進んでしまう可能性もある。
なお、初期の段階ではE~Gの扉からは熱気を、H~Jの扉からは更に強い熱気を感じる。触れても開くことはできず、1ポイントのダメージ。
部屋に入ることのできる段階まで進めば熱気を感じなくなる。
3F
中央には下りの階段があり、左右には鉄の扉がついた部屋が1部屋ずつ存在する。
遺跡内に明かりは無いが、探索者達は不思議と暗闇を見渡すことができる。
階段の反対側には大きな石造りの扉がある。扉については「Kの部屋」を参照。
〈目星〉に成功するか、A(1)の扉に近づくことで次のことが分かる。
・A(1)の部屋の扉前に矢が落ちており、扉が矢によって傷ついている
※E(2)の部屋には矢の罠が仕掛けられているため

2F
上り階段と下り階段があり、その両側に2部屋ずつ部屋が存在する。〈目星〉に成功するか、B(4)の扉に近づくことで次のことが分かる。
・B(4)の部屋の扉には焼け焦げた形跡がある
※F(3)の部屋には火炎放射の罠が仕掛けられているため

1F
上り階段と、その先には石造りの扉があり、階段の両側に鉄製の扉の部屋が2部屋ずつ存在する。
I(9)の部屋前には血まみれの何者かが顔を伏せて座り込んでいる。話しかけたり、近づいたりすると早口の泣くような声で「あともう少しで……」と言いながら立ち上がる。
「あなた達を向いた顔は明らかに人間の物ではなかった。どことなく犬のような特徴を持ったその顔には、黄ばんだ牙が生えていた。
前かがみになった血みどろの体にはかぎ爪のついた手とロバのような蹄の足が繋がっている。
既に瀕死であろうその生物は濁った赤い眼をあなたに向け、足を引きずりながら牙を突きだした」
食屍鬼を見てSANチェック
0/1D6
食屍鬼との戦闘。ただし、この食屍鬼のHPは2、DEXは6とする。
※この食屍鬼はI(9)の部屋にある罠に掛かり瀕死になった人間のなれの果てである。完全な食屍鬼ではなく、最後の一押しとして人間の肉を食べようとしている
食屍鬼を倒した場合、その死体がモルディギアンに捧げられる。
「倒れ伏した体が、突如として持ち上がる。それはまるで、透明の何者かに丸呑みにされてしまったかのような持ち上がり方だ。
続けて、何かが咀嚼され吸収される音が響く。あなた達に襲い掛かった何者かの体が飲み込まれるかのようにして消えていった。
残された衣服が床に落ちる。付着していた血液すら消えたその衣服は、まさしく生命をしゃぶりつくされた結果であった」
死体が消えたことにSANチェック
1/1D4
残された衣服を調べた場合、ポケットから手帳と筆記用具を発見する。手帳には震えた字で以下のことが書かれている。

犠牲者の手帳
私の正気を確認するため、ここに記録を残す。
目が覚めると、見知らぬ遺跡にいた。

何人か同じ境遇の人間がいたが、皆死んだ。真ん中の階にあった炎の罠は酷いものだった。
未だに罠が動くと言うことは、何らかの思惑で遺跡を管理するものがいると言うことだ。

やられた。何者かの視線を感じたかと思うと、体を切り裂かれていた。
その者の姿は、私の変異の先にある姿だったように見えた。
今思えば、その姿になることこそが唯一の逃げ道だったのかもしれない。
もはや体は動かない。あのおぞましい気配のする本を開いていれば、たとえ元の姿でなくともここから逃れられていたのかもしれない。

この遺跡はまるで棺だ。


石造りの扉である。この扉を調べようと近づいた場合、IとDの部屋(9と10の部屋)の少し先あたりで急激に体の力が抜けていくことを感じる。
更に近づこうとした場合、完全に倒れてしまい動いたり話したりすることができなくなる。
PLが全員倒れるなどして詰みの状況になってしまいそうな場合、かろうじて這って離れる程度のことはできることにする。
〈目星〉に成功すれば、扉の中央に石でできたひび割れたエンブレムがあることが分かる。エンブレムには奇妙な文様が施されている。
扉は出口になっている。
※このエンブレムは「バルザイの印」である
※「バルザイの印」はPOW21以下の人間の動きを封じるもので、破壊されない限り効果が持続する
※探索者が飛び道具などで破壊を試みる場合、力が抜けるせいで射程距離まで近づけないと伝える

A、Bの部屋(1、4の部屋)
探索者達はこの部屋で目を覚ますことになる。
石造りの部屋で、広さは5m四方で。1人が丁度乗るテーブルがいくつか置かれている。
〈目星〉で人の足跡を発見できる。A、Bどちらの足跡も外へと続いている。
〈追跡〉に成功すれば、A(1)の部屋の足跡はC(5)の部屋に、B(4)の部屋の足跡は1階へと続いていることが分かる。
埃などの積もり具合から、足跡は数時間前のものだと分かる。

Cの部屋(5の部屋)
この部屋の中央には、穴の開いた長袖長ズボンの丈夫そうな衣服とリュック、同じく穴の開いたヘルメットが落ちている。
また、天井には衣服に開いている穴よりもやや大きい直径5cmほどの穴がいくつも開いている。
〈目星〉に成功するか、注意深く床を観察すれば、タイルのようになっている床のうち、半分ほどが僅かに盛り上がっていることに気づく。

この部屋には床にあるスイッチを踏むと天井から槍が突きだす罠が仕掛けられている。
罠に気づいたうえでスイッチを回避し部屋の中に入ろうとする場合、行きと帰りでそれぞれ〈DEX×5〉や〈回避〉の判定を行う。〈目星〉に成功していた場合は+10%の補正。
成功した場合、罠を作動させずに移動することができる。失敗した場合、天井から槍が飛び出し1D10のダメージ。
1度作動すれば槍が突きだしたままになるので、部屋に物を投げて罠を作動させるとよいだろう。

何らかの方法で衣服を入手できた場合、持ち主は地質の調査などを行っていたのか、そういった道具をいくつか持っていることが分かる。
多くの道具は破損し使い物にならないものの、以下の道具は無事である。
・カッターナイフ
・ロープ
・伸縮式の杖(ダメージ:1D6+DB 耐久:8)
・折り畳み式の鏡
・タガネ
・小型のハンマー(ダメージ:1D2+DB 耐久:10)
・懐中電灯

Dの部屋(10の部屋)
この部屋には3つの石棺が置かれている。石棺には彫刻が施されている。石棺の中には何も入っていない。
彫刻は仰向けになり目を閉じた人間の物で、腕を胸の上で交差させている。
ただし、奇妙なことに右手が無く、左手は親指・人差し指・小指のみが開かれ、中指・薬指は閉じられている。
〈知識〉の半分や〈考古学〉〈人類学〉〈歴史〉などに成功すれば、棺にこのような彫刻を掘る文明は有史に無いことが分かる。
※古来、食屍鬼達はこの棺に遺体を入れモルディギアンに捧げていた
※棺に彫刻された「中指・薬指が閉じられた左手」はヴールの印であり、旧支配者の象徴である。
※開かれている、閉じられているという表現はヒントになるので忘れず伝えること

Eの部屋(2の部屋)
D(2)の部屋と同じく、彫刻が施された3つの石棺が置かれているが、この部屋には矢の罠が仕掛けられている。
扉の隙間に穴があり、扉を開くと1本の矢が飛んでくる。扉の正面にいた場合1D6のダメージ。(ワイヤーによる仕掛け?)
隙間からの〈目星〉に成功すれば穴に気づくことができる。
〈目星〉に成功するか、石棺を詳しく調べることで、真ん中の石棺に開かれた痕跡があることを発見する。
真ん中の石棺を開くと、衣服が風化したのか、ぼろきれをまとったミイラのような死体が入っている。
死体の腕は胸の上で交差しており、左手の親指と小指が閉じられている。
死体を調べると、古びた紙切れを入手できる。
※この死体は探索者と同じ境遇だった何者かのもので、左手で旧き印(旧支配者の力を抑える印)を結んでいるため、モルディギアンの生贄になっていない
※死体に触れると、左手の印が崩れてしまう
※左手の印が崩れた場合、死体はモルディギアンに捧げられ、目撃した場合は1/1D4のSANチェック(1Fの描写を参照)
※開かれている、閉じられているという表現はヒントになるので忘れず伝えること
古びた紙切れ→資料「古びた紙切れ」の画像を提示する。
※左からヴールの印、キシュの印、コスの印、エルダーサイン
※本シナリオで使用する可能性があるのはヴールの印とエルダーサイン
※エルダーサインを食屍鬼化途中の探索者が使用した場合、苦しさを覚える

Fの部屋(3の部屋)
この部屋には火炎放射の罠のみが仕掛けられており、近づくと油のにおいがする。
また、四方の壁に穴が開いており、辺りには焼け焦げた跡がある。
〈目星〉に成功するか、床を調べることで壁から1mほど離れた部分全てが僅かに盛り上がっていることに気づく。
罠を作動させた場合、部屋の中にいる者は2D6のダメージ。扉の延長線上にいた者は1D6のダメージ。
更に、〈幸運〉に失敗すると衣服などに火が燃え移る。1Rごとに1D6のダメージを受ける。〈幸運〉か〈応急手当〉で鎮火できる。

Gの部屋(8の部屋)
この部屋では床から大量の槍が生えている。間を縫えばなんとか移動できる。
槍には何着かの衣服が突き刺さっている。探索者達に欲しいものがある場合、〈幸運〉に成功すればそれらの衣服と共にあることにしてもよい。
部屋に入るか、入口からの〈目星〉に成功することで天井の中央に割れ目があることに気づく。
※この部屋の上、H(6)の部屋には落とし穴の罠が仕掛けられており、落ちた先がこの部屋になる

Hの部屋(6の部屋)
この部屋には落とし穴の罠が仕掛けられている。部屋をしばらく進んだところにあるワイヤーに引っかかると、床が開き下の部屋に落ちる。
隙間から覗いた場合、空の部屋であるように見える。隙間から〈目星〉に成功した場合は床に細い直線状の亀裂が中央を通るようにして走っていることに気づく。
扉を開けて中を見た場合、床に細い直線状の亀裂が中央を通るようにして走っていることに気づく。
〈目星〉に成功した場合、入口からしばらく進んだところにワイヤーが張られていることに気づく。
落とし穴に落ちた場合、下の部屋の槍が刺さり1D10+自身のダメージボーナス分耐久力を減らす。

Iの部屋(7の部屋)
この部屋には食屍鬼の神官が潜んでいる。
隙間から覗いた場合、壁を見ながら左手の親指・人差し指・小指を立て(ヴールの印)呪文(P290 幽体の剃刀)を唱えている頭巾の着いた豪華な深い紫色のローブと、銀の頭蓋骨のような仮面を身に着けた人物が目に入る。
この呪文は扉に〈聞き耳〉をすることで気づくことができる。
〈隠れる〉や〈忍び歩き〉を使わず扉を除いた場合、食屍鬼の神官に気づかれてしまう。
扉の向こうにいる食屍鬼の神官がこちらを向き、仮面から覗く赤い目が探索者を捕える。見られた探索者は見えない剃刀に切り付けられ1D6のダメージ。

この部屋にはJ(9)の部屋へののぞき穴がある。食屍鬼はJ(9)の部屋に置いてある本を守っている。
部屋の中に入り食屍鬼と戦闘する場合、食屍鬼の武器に幽体の剃刀による攻撃(1D6ダメージ、命中80%)を加える。
食屍鬼を倒した場合、他の死体と同じくモルディギアンに捧げられてゆく。その場には食屍鬼の神官の衣装が残る。

Jの部屋(9の部屋)
この部屋には石造りの小さな祭壇があり、その上に『屍食鬼写本』が置かれている。
部屋に入った場合、〈アイデア〉〈目星〉〈聞き耳〉のいずれかに成功すれば、のぞき穴とそこから覗く食屍鬼の存在に気づくことができる。
直ちに≪幽体の剃刀≫による見えない刃が襲い掛かるが、存在に気づいた場合は〈回避〉が可能。ダメージは1D6。
中にある本を取り、無理やり脱出しよとする場合、〈回避〉か〈DEX×5〉で判定する。〈回避〉に成功した場合は1回、〈DEX×5〉に成功した場合は2回、成功しなかった場合は3回のダメージロール。
覗き穴をふさぐことも有効だが、物によっては≪幽体の剃刀≫で破壊される可能性がある。

『食屍鬼写本』
なめされた何かの革で装丁された本。〈医学〉〈生物学〉で人間の皮だと気付きSANチェック0/1
表紙には遺跡の図面のような物が記されており、隣には遺跡にある石棺の彫刻と同じ図が記されている。
不思議なことに、図面では部屋が非常に小さく書かれている。(隣の彫刻の図の指ほどのサイズ)
革のベルトで止められているが、それさえ外せば中を開くことができるだろう。
この本を手にした探索者は、今までに感じたことのない邪悪な衝動が湧きあがり、爪や牙が鋭くなったような感覚がする。
本を開いた場合、食屍鬼化が1段階進んでしまう。(この本を開くと完全な食屍鬼になる可能性が大きいので、開く際はそれとなく確認をとること)
内容は日本語で、食屍鬼とモルディギアンについて書かれているが、この場で読むには時間が足りないだろう。
研究期間12時間/2週間 正気度喪失1D2/1D8 〈クトゥルフ〉神話に+2% 呪文:≪モルディギアンの招来/退散≫≪食屍鬼との接触≫≪幽体の剃刀≫

Kの部屋(11の部屋)
この部屋は大きな石造りの扉で閉ざされている。扉には未知の言語で何か書かれているが、探索者達は不思議とその内容が分かる。
内容は「入りたくば、神を称える印を作れ」というもの。この扉は何らかの仕掛け扉であるように見える。
部屋の内容は後述の「モルディギアンとの接触」を参照。

【謎解き】


シナリオのクリア条件は、元の体に戻り1Fの扉をくぐることである。1つの方法を除いて、扉をくぐるためにはK(11)の部屋に入る必要がある。
K(11)の部屋に入る方法は3つ存在するほか、遺跡を崩壊させ脱出するための手段が1つ存在する。
1.遺跡を使いヴールの印を結ぶ
この遺跡を棺(体)に、部屋を指に見立て左手でヴールの印を結ぶ方法。つまり、A、F、J(1、3、9)の扉のみを開き、それ以外を閉じる方法。
これにより「神を称える」ことになりK(11)の部屋の扉が自動的に開く。

2.完全な食屍鬼になる
完全な食屍鬼になり、左手でヴールの印を結ぶことにより、モルディギアンを称えていることになりK(11)の部屋の扉が開く。
ただし、完全な食屍鬼になることは探索者のロストを意味する。シナリオ中は食人衝動を抑えられるものの、クリア後の長い期間ではそうはいかない。

3.神官の姿をとる
神官の衣装を身に纏った状態で左手でヴールの印を結べば、モルディギアンを称えているとことになりK(11)の部屋の扉が開く。
ただし、モルディギアンに神官と認識されるため人間としての生還は難しいかもしれない。

4.遺跡を使いエルダーサインを結ぶ
この遺跡を棺(体)に、部屋を指に見立て左手でエルダーサインを結ぶ方法。つまり、F、C、I(3、5、7)の扉のみを開き、それ以外を閉じる方法。
エルダーサインを結んだ場合、旧支配者に対する絶大な効果が発揮され、遺跡の崩壊が始まる。
この崩壊により入口を封じていたエンブレムが破壊され、探索者達は脱出することが可能になる。
探索者達が2F、1Fにいた場合は特にロールは必要ないが、3Fにいた場合は〈DEX×5〉か〈回避〉のロールを行う。失敗した場合は落石に当たり1D6のダメージ。
なお、モルディギアンに姿を元に戻されないまま脱出した場合、探索者達の姿が元に戻ることは無い。

【モルディギアンとの接触】


Kの部屋の中に入ると、モルディギアンと接触することになる。
「その場にある光の源全てが力を失う。そこには、暗闇を見通すようになったあなた達の目を以てしてなお、認識することのできない闇が広がっていた。
死の臭気と寒気を伴うそれは、ぼんやりとした暗闇の塊であるのにも関わらず、奇妙なまぶしさであなた達の目をくらませる。
その塊は、まるで暗黒の永劫に渦巻くエネルギーで生きているかのように、渦巻き、回転し、刻一刻と変化した。
しばらくの後、それは眼の無い頭部と四肢の無い体の魔物の巨人に類似した姿をとり、あなた達を見据えた」
モルディギアンを見てSANチェック
1D8/1D20
モルディギアンは探索者に話しかけてくる。それは、探索者達の頭の中に響く声だ。
「汝らは我が信徒か?」(探索者達の質問は受け付けず、無視する)
完全な食屍鬼となった探索者には「汝は新たな我が信徒だな」と響く。元に戻ることは難しいだろう。
「はい」と答えた者がいる場合、「汝の姿を完全なものにしてやろう」などと言い、その者の姿を完全な食屍鬼へと変貌させる。
探索者がふざけて答えたようである場合は、「その言葉、真か?」などと確認を取るとよいだろう。
なお、食屍鬼の神官の姿をした者は自動的に「はい」と答えた物だと認識される。
食屍鬼になりたくない場合は、「汝の姿を完全なものにしてやろう」と言われた時になんとか言い訳すること。交渉技能を使用する場合は〈説得〉とする。
「いいえ」と答えた場合、「では、去るが良い。我が望むのは死者と信徒のみ。その姿もいらぬだろう」などと答え、探索者達を元の姿に戻したうえ、出口の封印を解く。

扉をくぐり、元の世界に戻った時点でシナリオクリア。手に入れた物品などは失われており、探索者達は夢の世界に入る以前の状態で目を覚ます。
ただし、『食屍鬼写本』に触れた探索者がいる場合、最も触れた時間が長かった探索者の元に本が現れる。

元の姿に戻り帰還した場合、2D10の正気度回復。食屍鬼に変化しかけている状態で帰還した場合、1D10の正気度回復。完全な食屍鬼として帰還した場合はロスト。
遺跡を使いエルダーサインを結ぶことで遺跡を崩壊させた場合、追加で1D10の正気度回復。

ヴールの印を結んだ場合は、呪文≪ヴールの印≫を習得できる。