シナリオ傾向:クローズド、現代、タイムスリップ
推奨人数:2人~
戦闘:なし
推定プレイ時間:2~3時間
難易度:低め
システム:クトゥルフ神話TRPG
推奨技能:基本的な探索、交渉技能、〈歴史〉、その他に〈精神分析〉〈天文学〉なども使う可能性がある
リプレイ動画を作製しました。
とある廃墟に訪れた探索者たちは、同じく廃墟を訪れていたとある人物達に出会う。
廃墟探索を楽しむ探索者達だったが、この廃墟に潜む何者かの儀式に巻き込まれてしまう。
果たして、探索者たちは無事に帰ることができるのか?
舞台は廃村となっている七志村。
七志村では古来より、神話生物を生み出し村の繁栄の礎とする儀式が伝わっていた。
この儀式は、生み出された神話生物の寿命が尽きる100年ごとに行われていた。
しかし、ある時にその儀式は半ばで中断されてしまう。
肉体も無く、自身の存在する理由すら分からぬまま現れた神話生物は七志村を滅ぼす。
そして現在も、神話生物は自身の生まれた意味や名前すら分からす、廃墟となった七志村にいる。
思念の塊であるその生物は、廃村に偶々訪れた探索者を自身の救いを求めて過去へと飛ばす。
※本シナリオでは日付の設定が曖昧だが、天体の細かい動きの検証を行っていないためなので、詳しく考えないこと。
ヨグ=ソトースの息子(MM117P)
STR35 CON35 SIZ44 INT21 POW21 DEX17 HP40 DB4d6 SANチェック1D8/3D10
武器
つかんで吸う 100% 毎ラウンド1d6、2R以降は吸血によって+1d10ダメージ
※物理的な武器からはダメージを受けない
※魔術を付与された武器からは最低値のダメージ
※本シナリオでは不可視の設定は採用しない
NPC
七志 幸成
七志村の地主兼儀式の司祭を務めていた七志 七衛門の子孫である青年。
人当たりの良い性格。心臓が弱く、常に薬を携帯している。今道 侑奈とは恋人関係にある。
今道 侑奈
七志 七衛門の嫁今道 ハルの妹、今道 マツの子孫である若い女性。
心配性な性格。七志 幸成とは恋人関係にある。
真田 雄二
七志村の自身番(交番のような物?)である真田 新吉の子孫である青年。
今道 侑奈のことが好きだが、すぐに死ぬので性格は無い。
七志 七衛門
七志村の地主兼儀式の司祭を務める30代の男性。
七志 幸成に似ている。
七志 ハル(今道 ハル)
七志 七衛門の嫁。25歳ほど。妊娠しているが、胎児は儀式によりヨグ=ソトースの息子へと変わる運命にある。
今道 侑奈に僅かに似ている。
今道 マツ
今道 ハルの妹。姉を慕っている。
今道 侑奈に似ている。
真田 新吉
七志村の自身番を務めており、何人かの部下を持っている。25歳ほどの男。
真田 新吉に似ている。今道 ハルに恋心を抱き続けている。探索者達の助けになる可能性がある。
MAP
PL用
KP用
血文字
台所1
台所2
台所3
寝室1
寝室2
書斎1
20XX年8月1日、探索者たちはオカルトスポットとして有名な山奥の廃村へ訪れることになる。
理由は個人的興味、友人に誘われてといったものを適当に用意する。
廃村について、探索者たちは以下の情報一部または全部を知っている、もしくはインターネットなどで入手できる。
・村の名前は七志村で、およそ100年前に廃村となった
・古くから宿場として大変栄えていた
・江戸時代後期から急速に活気を無くした
・村の建物はほとんどが形を残していないが、村長の屋敷のみが現存している
〈図書館〉や〈コンピュータ〉に成功した場合、以下の情報を追加で得られる。
・七志村では「ななしさま」を村の守護神として奉っていた
・「ななしさま」を呼ぶ祭りが毎年行われていた
・100年に1度、大規模な祭りが行われていたが、最後に行われたのは200年ほど前
七志村は山奥にあり、車以外で向かうことは難しい。
七志村に近づいていくにつれ木々が鬱蒼と茂っていき、辺りには影が差し始める。
入口に来ると、つい先ほど止められたらしき車が1台ある。
村の敷地内ではいたるところに、小さい紫色をした唇形の花が密集したものが咲いている。
〈知識〉の半分、〈博物学〉でカワミドリという花だと言うことが分かる。(花言葉は「最後の救い」らしいです!)
村は更に暗く、昼間であっても懐中電灯が必要なほど。崩れて苔むした建物の中には不気味な暗闇が作られている。
七志村跡地にある建物はほとんどが崩壊している。〈歴史〉で新しい物は江戸時代後期ごろに建てられたものだとわかる。
しかし、その時期に建てられたにしては建物の老朽化が激しく、災害などがあったのではないかと感じる。
※老朽化はヨグ=ソトースの息子によるもので、災害などは起きていない
村を奥まで進んでゆくと、大きな平屋の建物がある。この建物は唯一形を保っている。
この建物は寒風に晒され続けてきたことによる風化は進んでいるものの、不思議と崩れそうな気配はなくがっしりと建っている。
窓から中を見たり、〈聞き耳〉などで探ったりしても中に人の気配はない。
※ここにはこの村の子孫で構成された若者グループが偶然訪れており、ヨグ=ソトースの息子が活性化している
※思念体と化しているヨグ=ソトースの息子の力で、この屋敷は隔離されている
※外から中の音は聞こえず、逆も同じである
※外から見える屋敷内部と、足を踏み入れた屋敷内部は別のものになり、外に戻ろうとしても不可視の固い壁のような物があり出ることができない。
建物の中に入ると、先ほどまでは聞こえていなかった声や物音が物置から聞こえてくる。〈聞き耳〉で2人分の物だと言うことが分かる。
内部は風化が進んでいるが、精々10年ほど手入れされていなかった程度に見える。ただし、所々に明らかに100年以上経過したような箇所もある。
また、時計を見た場合、入った時間に関わらず20時半で止まっている。携帯の電波は入らない。外の景色も夜のものになっている。
携帯電話やデジタル時計であれば正しい時間が確認できる。経過した時間に合わせて、適当な時間を告げる事。
今後、時間の経過がおかしいことに気づいた場合はSANチェック0/1D3
※ヨグ=ソトースの息子により内部の時間の流れが歪んでいるためである
※今後の探索では時間経過によって屋敷内部の様子が変化する。部屋1つから情報を得た程度毎に以下の状況が1つ進む。
※この状況の進行するタイミングは、KPの考えによって変更する。進行を早くすれば緊迫感が生まれるだろう。全ての情報を回収させずともクリアは可能である。
※内部では探索者達が分かれたほうが効率よく探索できるが、少人数で探索するデメリット(後述)が存在する。
一.屋敷訪問時
台所、寝室、書斎の襖や戸は完全に閉じられており、開くことはできない。
探索可能なのは物置、仏間、居間、浴室、便所である。
物置
中には古びた機織り機のほか、年期を感じさせる焼き物や美術品などがいくつか置かれている。
この倉庫には特に何もないが、〈幸運〉に成功すれば探索者達が必要する道具が手に入ることにしてもよい。
その他に、20歳程に見える2名の男女がいる。誰かを探しているようで、「雄二」という名前を呼びつつ物置を見まわしている。
彼らは七志 幸成と今道 侑奈。探索者達に気づくと、真田の写真を見せつつ話しかけてくる。質問した場合、以下のことが聞ける。
・自分たちはこの村の子孫で、村に興味があったので3人で探索に来た
・この屋敷に入ったのは10分ほど前
・一緒に来た真田雄二という男とはぐれてしまった
・真田雄二は先にこの屋敷に入ったはずなのだが、見当たらない
・台所、寝室、書斎の襖は何故か開かなかった
また、話を終えた時点で七志 幸成が胸を抑えて苦しみはじめる。彼は震える手でポケットから薬を取り出し、飲む。
今道 侑奈は心配そうにしているものの、慣れている様子である。
このことについて質問すれば、七志家には心臓の持病があることを教えてもらえる。
〈目星〉に成功することで、一部の床板が他と比べ新しいことに気づく。何らかの改築を行ったようであることが分かる。(座敷牢を取り壊した跡である)
七志 幸成が薬を飲んで以降に物置で〈目星〉に成功すれば、薬が1粒落ちていることに気づく。
七志 幸成と今道 侑奈は探索者達と共に行動させてもよいし、させなくてもよい。
※七志 幸成の持つ心臓の薬はキーアイテムとなる場合があるのでイベントを忘れないこと。
※真田は精神体となっているヨグ=ソトースの息子によって別の次元にあるこの屋敷へと飛ばされ、操られている。
仏間
部屋の奥には古い閉じた仏壇があり、その隣には朽ちて判別することのできない掛け軸が掛かっている。
仏壇を調べる、または〈目星〉に成功することで、開きかけた仏壇の中に本のような物が入っていることに気づく。
それは非常に古びた手書きの本である。形を保っているページは少なく、古びていること、崩された書体で書かれていることから解読は困難である。
〈日本語〉-50、あるいは〈日本語〉と〈歴史〉(またはその他の相応しい技能)の組み合わせロールに成功した場合、一部を解読できる。
解読できる内容は以下の通り。
・タイトルは「七志儀式書」
・村に――を縛り付け、繁栄をもたらす儀式
・儀式に必要なのは――した若い――
・太陽が第五の宮に入り、 土星が三分の一対座になる時――に神を宿す
・――の偃月刀で周囲に――の円を引き――唱える
・「外なる――、今ひとたび――、我は汝に願い奉る。――にとどまりしものよ、我が――聞き入れたまえ。――よ、現れいでたまえ。汝の僕が呼びたれば。
ベナティル、カラルカウ、デドス、――、あらわれよ、あらわれいでよ。聞きたまえ、我は――を破り、――を投げ捨てたり。我が汝の――世界へと、――入りたまえ。
ダルブシ、アドゥラ、ウル、バアクル。やどりたまえ、――よ。やどりいでたまえ」
※『魔道書ネクロノミコン完全版 学習研究社 (2007/05)』によるヨグ=ソトース召喚の儀式を改変した物が記されているという設定。完全なものは後述する。
以上の内容を読んだ場合、〈知識〉の半分、〈オカルト〉、〈天文学〉のロールが可能。また、占星術を知る探索者も以下の情報が分かる。
成功すれば、「太陽が第五の宮に入り、 土星が三分の一対座になる時」について
・「太陽が第五の宮に入り」とは獅子座(7月23日-8月22日)の時期を指す
・「土星が三分の一対座になる時」とは太陽と土星の角度が120度(トライン)の状態を指す
ことを知ることができる。
更に〈天文学〉に成功した場合のみ、今日の20時~21時に丁度その状態を迎えることが分かる。
居間
少し古びている。中央には囲炉裏があり、この部屋が居間のような形で使われていたことが分かる。
「一.屋敷訪問時」にこの部屋に入った時、台所から何かを塗りたくるようなべちゃべちゃという音が聞こえることに気づく。
更に〈聞き耳〉に成功した場合、人間の足音と「見えない……見えない……」という男性のつぶやきが聞こえる。(真田の声である)
〈目星〉に成功するか、下の扉に近づくと、黒い絹に包まれた何かが部屋の隅にある棚に置かれていることに気づく。
それは50cmほどの長さで、平べったく、中に何があるのかは分からない。
絹を触るなどして形を確かめた場合、円月刀のようなものであることが分かる。〈幸運〉に失敗した場合は指を切り1点のダメージ。
また、絹を捲れば刀身に奇妙な文字が書かれた古びた円月刀のような物であることが分かる。
また、この刀(バルザイの神秘の偃月刀)に触れる、あるいは見た場合刀は見る見るうちに形を崩し、塵のようになってしまう。
これは布越しに触った場合も含む。
浴室、便所
特に何もない。古びた浴室や便所であることが分かる。
二.1回目の探索終了時
一定時間が経過すると、屋敷に異変が訪れる。突如屋敷の風化が進むのである。
先ほどは10年ほど放っておかれた程度のものだった屋敷が一挙に朽ちはじめる。一部が崩れ、辺りには嫌なにおいが漂う。
各部屋の中も同様に風化が進む。このような急速な風化を目撃した探索者達はSANチェック0/1。
また、台所からの音がやみ、べちゃべちゃとした足音が屋敷に響く。〈聞き耳〉に成功した場合、足音は寝室へと向かっていったことが分かる。
この段階から、台所へ入ることが可能になる。また、居間から寝室へと続く血の足跡がついているが、足跡は半分が欠けていたり、一部だけであったりと不可解な着き方をしている。
血は新しく、付着したばかりのように見える。また、寝室から何かを塗りたくるべちゃべちゃという音が聞こえる。
寝室への〈聞き耳〉に成功した場合、「俺は何者なんだ……」という男性のつぶやきが聞こえる。(真田の声である)
台所
台所への扉が崩れている。
壁には血で何かが書かれているようだが、不自然に欠けている。→画像:台所3
血はつい先ほどついたもののように見える(以下、他の血も同様とする)
〈目星〉に成功すると、黒い絹布が落ちていることに気づく。(バルザイの神秘の偃月刀が包まれていたが、真田が持ち出した)
三.2回目の探索終了時
辺りから軋むような音が鳴り始める。浴室と便所で一際大きな音が鳴ったかと思うと、その後は静寂に包まれる。
浴室と便所を見た場合、どちらの部屋があった場所にも、底なしに黒い球体のような壁があるのみである。
続けて静寂の中、寝室から書斎へと続く廊下からべちゃべちゃという音が屋敷に響く。続けて、血の足跡が現れる。
血の足跡は先ほどと比べ、多くの部分が見えるようになっている。それは居間~寝室間の足跡も同様である。
また、今道 侑奈の姿が忽然と消える。このような体験をした探索者達は1度SANチェックを行う。
足跡、浴室、便所、今道の消失のうちいずれかを見た場合
1/1D4
いずれも目撃しなかった場合
0/1D3
SANチェック後、探索者達はPOW10との対抗ロールを行う。
近く(同じ部屋など)にいる者の内誰かが対抗ロールに成功していれば、何も起こらない。(探索者達が分かれて行動していれば不利になることになる)
近くにいる者全員が失敗した場合、もっとも出目の悪かった探索者は唐突に強い孤独感や虚無感に襲われ、自殺衝動となる。
そうなった場合、辺りに頭を打ち付けたりなどして自身を傷つける。(1D3程度のダメージ?)〈精神分析〉を受けるか、他の者からのダメージを受けた場合正気に戻る。
また、ダメージを受け出血した場合、探索者は無意識のうちに壁などに血文字を書く。内容は「助けてくれ」「目が欲しい」「この無の世界から出してくれ」「腕が欲しい」「体が欲しい」「名前が欲しい」などから1つ選ぶ。
この段階から寝室に入ることが可能になっている。
書斎の中からはべちゃべちゃという音が聞こえる。〈聞き耳〉に成功した場合は「儀式を……最後まで……」という男性のつぶやきが聞こえる。(真田の声である)
また、「目を……手を……足を……体を……」という女性のつぶやきが聞こえる。(今道の声である)
七志 幸成は一連の出来事に怯えつつも、今道を探そうとする。彼は書斎の扉が開かないことを確認すると、寝室へと入ろうとする。
台所
血文字が濃くなっている。→画像:台所2
寝室
古びた畳の部屋で、奥に机が置かれている。押し入れがあり、中には朽ちた布団が入っている。壁には血で何かが書かれている。→画像:寝室2
また、机の上に本が置いてある。表紙には何も書かれていないが、中身を見ると何者かの日記であることが分かる。
100年近く前に書かれたもののようで、多くのページは古びておりよめないが、なんとか解読できる部分もある。
〈日本語〉の半分か〈日本語〉と〈歴史〉の組み合わせロールに成功すれば、さらに詳しく解読できる。
何者かの日記(〈日本語〉の半分か〈日本語〉と〈歴史〉の組み合わせロールに成功した場合)
XX日
今日からこの屋敷に住む。寂れた村であるが、隠居生活には丁度よいだろう。
然し、昔に聞いた状況と比べ寂れすぎているような気もする。
江戸の頃には大変に栄えていたようだったのだが。
XX日
村の者はこの土地を愛しているようで、私にもよくしてくれる。
気になるのは、全員が陰鬱な雰囲気であることと、皆口をそろえて「ななしさま」がいれば……と言うことだ。
聞くところによると、「ななしさま」が村を繁栄させていたらしい。
XX日
物置を片付けて見たところ、奥に座敷牢のようなものがあり驚かされた。
更に、中には干からびた醜悪な化け物としか言えないものがいたのだ。
村の者に聞いたところ、先代の「ななしさま」だと言われた。
私の住む屋敷は「ななしさま」を呼ぶ儀式の司祭を務める者の屋敷で、「ななしさま」を村にとどめる役目も果たしていたらしい。
然し、その七志 七衛門なる者は儀式の半ばに倒れ、今代の「ななしさま」も現れなかったらしい。
「ななしさま」の真の正体は司祭のみが知っているもので、村人たちは知らないようである。
XX日
この村の陰鬱さはおかしい。昨日いたはずの者がいつの間にかいなくなっており、聞けば死んだと教えられる。
恐ろしい速さで村が衰退しているのだ。この陰鬱な気分を転換するためにも、座敷牢を壊すことを決めた。
理由は分からないが、閉じ込められ続けた存在への供養にもなるだろう。
XX日
座敷牢は無くし、中にいた「ななしさま」とやらの供養も行った。
然し、依然として私の陰鬱とした気分は晴れない。
頭の中には、「助けてくれ」「体が欲しい」「ここには何もいない」といった声が響くようになった。
何者かの日記(〈日本語〉の半分か〈日本語〉と〈歴史〉の組み合わせロールに失敗した場合)
XX日
今日からこの屋敷に住む。寂れた村であるが、隠居生活には丁度よいだろう。
然し、昔に聞いた状況と比べ寂れすぎているような気もする。
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XX日
村の者はこの土地を愛しているようで、私にもよくしてくれる。
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聞くところによると、「ななしさま」が村を繁栄させていたらしい。
XX日
物置を片付けて見たところ、奥に座敷牢のようなものがあり驚かされた。
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私の住む屋敷は「ななしさま」を呼ぶ儀式の司祭を務める者の屋敷で、「ななしさま」を村にとどめる役目も果たしていたらしい。
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「ななしさま」の真の正体は司祭のみが知っているもので、村人たちは知らないようである。
XX日
この村の陰鬱さはおかしい。昨日いたはずの者がいつの間にかいなくなっており、聞けば死んだと教えられる。
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理由は分からないが、閉じ込められ続けた存在への供養にもなるだろう。
XX日
座敷牢は無くし、中にいた「ななしさま」とやらの供養も行った。
然し、依然として私の陰鬱とした気分は晴れない。
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四.3回目の探索終了時
屋敷に響いていたべちゃべちゃという音が消える。外の景色が目まぐるしく夜から朝へ、朝から夜へと変化してゆく。
太陽は逆向きに動き、村の様子が徐々に巻き戻りつつあるように感じる。
七志 幸成は異変に気づき、「侑奈!」と声を上げながら書斎の扉に手を掛けるが、胸を抑え苦しみだす。
彼はポケットから薬が入った瓶を取り出した時点で消えてしまい、その場には持ち主を失った薬が入った瓶が転がる。
※探索者達が書斎の近くにいなかった場合、侑奈!という七志 幸成の声と、彼が倒れる音が聞こえる。その場に行くと薬の瓶が転がっている。
また、血の足跡や血文字が完全に浮かび上がる。
SANチェック
1/1D4
SANチェック後、探索者達はPOW10との対抗ロールを行う。
近く(同じ部屋など)にいる者の内誰かが対抗ロールに成功していれば、何も起こらない。(探索者達が分かれて行動していれば不利になることになる)
近くにいる者全員が失敗した場合、もっとも出目の悪かった探索者は唐突に強い孤独感や虚無感に襲われ、自殺衝動となる。
そうなった場合、辺りに頭を打ち付けたりなどして自身を傷つける。(1D3程度のダメージ?)〈精神分析〉を受けるか、他の者からのダメージを受けた場合正気に戻る。
また、ダメージを受け出血した場合、探索者は無意識のうちに壁などに血文字を書く。内容は「助けてくれ」「目が欲しい」「この無の世界から出してくれ」「腕が欲しい」「体が欲しい」「名前が欲しい」などから1つ選ぶ。
その後、相変わらず外の異変は続いているものの、屋敷の中は不自然なほどに静かになる。ただし、浴室と便所にあった底なしに黒い球体のような壁が屋敷の所々に現れている。
台所
血文字が完全に浮かび上がっている。→画像:台所1
寝室
血文字が完全に浮かび上がっている。→画像:寝室1
書斎
棚と書き物机がある。棚にはたくさんの本が並んでいたようだが、ほとんどは酷く朽ちていて読むことができない。
壁一面にはっきりとした血文字が描かれている。→画像:書斎1
棚を〈目星〉又は〈図書館〉で調べた場合、日記のようなものを発見する。
日記はかなり古いものであることが分かる。寝室にあった日記を見ている場合、それよりもさらに古いことが分かる。
〈歴史〉や〈考古学〉でおよそ200年前のものであることが分かる。
ほとんどが朽ちているため、内容を読み解くことは難しい。〈日本語〉-50か、〈日本語〉と〈歴史〉の組み合わせロールに成功すれば以下の文章のみ解読することができる。
「――虚空の闇に住まいしものよ、――大地にあらわれることを、――時空の彼方――、――嘆願を――門にして道なるもの――――
――、――、――、――、――。――汝の縛め――、印を――。――強力な印を結ぶ――、関門を抜けて――。
――、――、――、――。――、――――。――。」
※魔道書ネクロノミコン完全版によるヨグ=ソトース召喚の儀式を改変した物が記されているという設定。完全なものは後述する。
五.4回目の探索終了時
屋敷が軋むような音が響きはじめ、所々に現れていた底なしに黒い球体のような壁がいたるところに現れ始める。外の景色は見えず、ただ黒のみが広がっている。
屋敷内には浴室や便所が消えたときと同じ大きな音が鳴り響き、部屋が次々に飲み込まれ始める。
※情報の取得具合によっては、もう1部屋を探索する余裕を持たせてもよい。
部屋は居間や台所から飲み込まれ始め、仏間、寝室、書斎へと続いてゆく。即座に行動すれば判定無しで逃れることができる。
即座に逃げなかった場合、〈DEX×5〉で判定する。失敗した場合、探索者はどこかに飲み込まれる。探索者達は玄関か物置に追い詰められるだろう。
屋敷を飲み込む黒い球体は、探索者達が玄関や物置に移った後も衰える気配を見せず、屋敷を飲み込み続けていく。
黒い球体が目前に迫りつつある中、探索者達は3重に重なった声を聞く。(真田、今道、七志のもの)
その内容は「助けてくれ」「目が欲しい」「この無の世界から出してくれ」「腕が欲しい」「体が欲しい」「名前が欲しい」というもの。
そういった声を聞きながら、探索者はついに玄関や物置に現れた黒い球体に飲み込まれる。
球体に触れたとき、探索者達は自身の体が無くなったかのように五感が喪失する感覚のほか、深い孤独感や虚無感を味わう。
探索者達は目を覚ますと、見たこともない木造の建物に寝ていたことに気づく。持ち物はそのまま残っている。
粗末な寝床に寝かされていたせいか、あのような体験をしたせいか、探索者達の体はずいぶん重い。
外は夜のようである。時間を示すものは種類を問わず、正しい時間を指してはいないだろう(タイムスリップのため)。
辺りを見渡すと、部屋の中でこちらを見ている男がいることに気づく。彼は真田 新吉である。〈アイデア〉に成功すれば、写真で見た真田 雄二に似ていることに気づく。
彼は以下の話をする。探索者達は、言葉遣いが古いことに気づくだろう。
タイムスリップに気づきSANチェック
1/1D4
・探索者達は七志家の前に倒れていた
・自身番(交番のような物?)を務める真田の自宅兼詰所に運んだ
・疲れたせいか、随分と眠っていた
・奇妙な服装や倒れた理由などが気になるが、すぐに祭りが始まるのでついてこい
また、質問にも答えてくれる。祭りまでに時間が無いためあまり長くは会話しないだろう。
今は何年?
文政X年8月1日。
〈歴史〉に成功すれば文政とは1818年~1830年だということが分かる。失敗した場合でも、3倍までの値であれば恐らく1800年代前半であることが分かる。
※「七志儀式書」で〈天文学〉に成功し情報を得ていた場合は、今日の20時~21時半の間が「太陽が第五の宮に入り、 土星が三分の一対座になる時」であることが分かる。
ここはどこ?
七志村。
祭りとは何か?
「ななしさま」を呼ぶ祭り。今年は100年に1度の大掛かりなもので、村人全員が参加する。
探索者達もこの場にいる以上は必ず参加するべきである。
具体的に何をする祭りか?
村長である七志 七衛門様が妻である七志 ハル(今道 ハル)にななしさまを降ろす儀式を行う。
詳しいことは見ればわかるだろう。
※この話をする時、真田は複雑そうな顔をする。ハルに長年恋心を抱いているためである。
儀式に危険はあるのか?
七衛門様は無いと言っている。最後に行われたのは200年前で、俺には分からない。
ななしさまとは?
村の繁栄を約束してくださる神さま。
その他、村の人間関係などについて資料内のNPCに書かれている範囲で答えてくれる。
ある程度会話したところで、時間だと言い探索者達を村の中央へと連れてゆく。従わない場合、部下の村人を呼び無理やりにでも連れてゆく。
村の中央には村人が1000人以上集まっている。村には様々な建物(家屋、商店、たくさんの宿)があり、大変栄えていることが分かる。
季節は夏。村には至る所にカワミドリが咲いている。真田 新吉は探索者達の傍にいるので、質問すれば分かる範囲で答えてくれる。
中央には舞台のような物が作られており、舞台中央には今道 侑奈に少し似た妊娠中の女性(七志(今道) ハル)がいる。
その隣には烏帽子をかぶり礼装をした七志 幸成に似た男性(七志 七衛門)がおり、空を眺めている。
〈目星〉に成功した場合、舞台の近くに心配そうな顔をした今道 侑奈にそっくりの女性(今道 マツ)がいることに気づく。
ただし、人があまりにも多く、また真田 新吉とその部下が見張っているため舞台に近づくことはできない。
しばらくすると、空を眺めていた七志 七衛門が懐から右腕で本(七志儀式書)を取り出し開き、舞台の上を左回りに円を描きながら歩きはじめる。
3周したところで七志 七衛門は止まり、呪文を唱え始める。
「外なる虚空の闇に住まいしものよ、今ひとたび大地にあらわれることを、我は汝に願い奉る。時空の彼方にとどまりしものよ、我が嘆願を聞き入れたまえ。
門にして道なるものよ、現れいでたまえ。汝の僕が呼びたれば。 」
七志 七衛門は左手の中指と親指を立て、印のような物を結び詠唱を続ける。
「ベナティル、カラルカウ、デドス、……」
ここまで唱えたところで、七志 七衛門は胸を抑え蹲る。村人がざわめく中、七志 七衛門は倒れ動かなくなる。(心臓の病により死亡する)
すると、辺りの空間が歪みはじめる。黒く、玉虫色に光る球体が村の上空にいくつか現れる。
舞台上にいた七志 ハルは酷く苦しみはじめ、その腹がしぼんでゆく。舞台の近くから今道 侑奈にそっくりの女性(今道 マツ)が舞台に上がり、七志 ハルを支える。
しかし、そのまま七志 ハルはどんどんとしぼんでゆき、干からびてしまう。
この光景を見て、その場にいる人達は恐慌状態となり、逃げだす者、その場で蹲るものなどが出る。
上空に合った玉虫色に光る球体が何人かの人間を飲み込む中、探索者達の視界は暗転し始める。
暗転する視界の中、探索者達は何者の物とも取れない声を聞く。「もう1度だけ機会を……救ってくれ……体を与えてくれ……ここには何もいない……何も見えない……」というもの。
探索者達は再び、自身の体が無くなったかのように五感が喪失する感覚のほか、深い孤独感や虚無感を味わう。
一連の出来事にSANチェック
1/1D6
※このSANチェックで発狂した探索者は、次に目覚めたときに発狂していることとする。
探索者達は七志の屋敷の前で意識を取り戻す。辺りにはいくつもの建物が立ち並び、和服を着た人間が行きかっている。
いたるところにカワミドリの花が咲いており、村内は活気に満ち溢れている。時刻は夕方頃。
※探索者達は再び文政XX年8月1日にタイムスリップしている。
探索者達を覗き込むようにして、今道 マツが立っている。
「よかった……目が覚めたのですか。急にこの場にあなた達が現れて、目も覚まさないのでどうしようかと思っていたのです。
真田さんを呼ぼうかと思っていたのですが……大丈夫のようなので、私はこれで行きますね。姉さんについていたいのです」
探索者達が呼び止め、質問した場合、今道 マツは質問に答えてくれる。真田 新吉が知っている内容に加え、以下のことを知っている。
七志(今道) ハルについて
七志 七衛門の許嫁として育った。少し前に懐妊した。
しかし、懐妊した若い女性で、村に古くから住む血を持つものがハルしかいなかったため、ななしさまの儀式に参加することになった。
七志 七衛門について
この村の村長。妻であるハルとは幼いころからの付き合いで、妹であるマツとも親交がある。
七衛門は情に厚く、ハルのことも大切にしている。ただし、村のことを第一に考えており、ハルを儀式に参加させることに決めた。
七志家は大体心臓が弱く、多くの物が心臓の病で倒れている。
真田 新吉について
町で古くから自身番を任されている家系の男。
姉のハルのことを昔から好きだったようだが、七衛門という存在の手前そのことは隠しているようだった。
祭り、儀式について
腹に宿っている胎児に神を宿す儀式だと七衛門が話していた。
母体に危険はないらしいが、とても心配。
ななしさまについて
儀式の結果生まれる存在。ななしさまは七志の屋敷にいて、村の繁栄を支えている。
七志家の当主しかその姿を見ることができず、あまりのおぞましさから名前を付けることも憚られていると七衛門が話していた。
話が終わると、今道 マツは七志家へと入ってゆく。探索者が同行を申し出る場合、何らかの交渉技能が必要だろう。
儀式を控える手前、怪しい探索者達を七志家へ上げることをマツは考えていない。
残っている探索可能な場所は、七志家のみである。儀式までの時間は少なく、探索者達は情報を集め準備を行う必要がある。
探索者達が他に向かおうとする場合は、さりげなく誘導すること。
七志家には当主である七志 七衛門、妻である七志(今道) ハルの他、何人かの従者がいる。
探索者達が屋敷に向かった場合、中に入るためには従者を説得するか、忍び込む必要がある。
今道 マツを何らかの交渉技能によって納得させている場合は、彼女が従者を説得し、中へと案内してくれる。
その後は、探索者達が説得した内容に合わせて屋敷内を見せてくれるだろう。ただし、物置には決して立ち入らせてくれない。
屋敷内部の様子は以下の通りである。屋敷内部には常に何人かの従者がいる。彼らは物置の入口を見張っていたり、台所にいたりするだろう。
物置
座敷牢があり、中には蛸の顔を持ち、無数の触手で構成された胴体に玉虫色に光る無数の泡がついた生物の死体がある。
謎の死体を見てSANチェック
1D3/1D8
仏間
部屋の奥に閉じた仏壇があり。その隣には無数の泡のようなもので構成された何かが描かれた掛け軸がある。探索者達はこの掛け軸に本能的な嫌悪感を覚える。
仏壇を調べる、または〈目星〉に成功することで、開きかけた仏壇の中に本のような物が入っていることに気づく。
それは手書きの本で、崩された書体で書かれていることから解読は困難である。未来でこの本を調べていた探索者は、同一の物であることに気づく。
〈日本語〉-50、あるいは〈日本語〉と〈歴史〉(またはその他の相応しい技能)の組み合わせロールに成功した場合、一部を解読できる。
解読できる内容は以下の通り。また、未来において解読に成功していた場合ロールは必要ない。
・タイトルは「七志儀式書」
・村に神を縛り付け、繁栄をもたらす儀式
・儀式に必要なのは妊娠した若い女性
・太陽が第五の宮に入り、 土星が三分の一対座になる時母体に神を宿す
・バルザイの神秘の偃月刀で周囲に招喚の円を引き以下の呪文を一定の調子で唱える
・「外なる虚空の闇に住まいしものよ、今ひとたび大地にあらわれることを、我は汝に願い奉る。時空の彼方にとどまりしものよ、我が嘆願を聞き入れたまえ。
門にして道なるものよ、現れいでたまえ。汝の僕が呼びたれば。ベナティル、カラルカウ、デドス、ヨグ=ソトース、あらわれよ、あらわれいでよ。聞きたまえ、我は汝の縛め(いましめ)を破り、印を投げ捨てたり。
我が汝の強力な印を結ぶ世界へと、関門を抜けて入りたまえ。 ダルブシ、アドゥラ、ウル、バアクル。やどりたまえ、ヨグ=ソトースよ。やどりいでたまえ」
※『魔道書ネクロノミコン完全版 学習研究社 (2007/05)』によるヨグ=ソトース召喚の儀式を改変した物が記されているという設定。
寝室
七志 七衛門と七志(今道) ハルの寝室である。二人の服などが置かれている他は、特に何もない。
居間
七志 七衛門と七志(今道) ハルがいる。棚に黒い絹布で包まれた2本の奇妙な文様が刻まれた円月刀(バルザイの神秘の偃月刀)が置かれている。
書斎
書き物机と本棚がある。〈目星〉又は〈図書館〉に成功するか、未来においてどちらかの技能に成功していた場合は七志 七衛門の日記を発見できる。
〈日本語〉-50か、〈日本語〉と〈歴史〉の組み合わせロールに成功すれば一部の内容を読むことができる。
七志 七衛門の日記
XX日
本日より七志家当主となった。
初めて「ななしさま」と対面したが、形容しがたき存在であった。
言葉を話し、外の様子などを聞いてくるが、私が感じたのはただただ恐ろしさのみだ。
あのような存在に名前などあってはならない。
XX日
ハルと結婚した。定められた縁であったものの、よい縁であったと思う。
村と同様に大切にしていきたい。
XX日
ななしさまが死んだ。最後までおぞましい存在であったが、村の繁栄に役立っていた以上感謝せねばなるまい。
村の繁栄を保つため、新たなななしさまを作る必要がある。
XX日
ななしさまの儀式に適した女性を調べさせたが、ハルしかいないことが分かった。
時間は無い。やむを得ないが、村のためである。ハルを儀式に使うこととする。
XX日
儀式が明日に迫っている。万が一のことを考え、呪文を書き写しておく。
「外なる虚空の闇に住まいしものよ、今ひとたび大地にあらわれることを、我は汝に願い奉る。時空の彼方にとどまりしものよ、我が嘆願を聞き入れたまえ。
門にして道なるものよ、現れいでたまえ。汝の僕が呼びたれば。ベナティル、カラルカウ、デドス、ヨグ=ソトース、あらわれよ、あらわれいでよ。聞きたまえ、我は汝の縛め(いましめ)を破り、印を投げ捨てたり。
我が汝の強力な印を結ぶ世界へと、関門を抜けて入りたまえ。 ダルブシ、アドゥラ、ウル、バアクル。やどりたまえ、ヨグ=ソトースよ。やどりいでたまえ」
浴室、台所、便所
特に何も無い。
探索者達が十分に行動した後、時刻を20時半、つまり儀式の時間へと進める。村は色めき立ち、七志 七衛門と七志 ハルを含めた村人全員が村の中央へと向かう。
本シナリオが終了する条件は以下の3つであると考えられるが、PLの行動によってはさらに増える可能性がある。
シナリオ作成段階で想定されているのは、1.儀式の失敗、2.儀式の中止、3.儀式の完遂である。
なお、どの場合でも再び儀式が行われることはない。その理由は、儀式を知るものの死や、ななしさまのおぞましい姿を見た村人の反発などである。
もし、探索者が再び儀式を行わせないよう儀式書や日記を持ち去った場合、そのおかげであると子孫に証言させてもよいだろう。
全エンド共通して、儀式を目撃した場合はクトゥルフ神話技能に+5%。〈歴史〉の成長ロール。
また、過去での記憶を失うことは無い。
1.儀式の失敗
探索者達の講じた何らかの対処がうまくいかず、再び儀式が失敗した場合である。
辺りには再び玉虫色に輝く黒い球体が無数に現れ、人々を飲み込んでゆく。
逃げる場合は、STR10との対抗ロールで人ごみをかき分け逃げるか、DEX10との対抗ロールで人の間を縫って逃げるかを選択する。
失敗した場合、あるいは自ら望んだ場合黒い球体に飲み込まれる。
飲み込まれた探索者は〈幸運〉で判定する。成功した場合、探索者は現代の廃墟となった七志家の前で目を覚ます。
屋敷は完全に崩れ去っており、辺りと比べてより一層暗くなっている。屋敷周辺に居つづけた場合、強い自殺衝動に駆られるだろう。
探索者の心には、何者かの強い孤独感と虚無感が色濃く刻まれている。
SANチェック
1D6/1D20
〈幸運〉に失敗した場合、探索者は1D20をロールする。出目×100の値の西暦に転移する。場所に関しては人里とする。
探索者の心には、何者かの強い孤独感と虚無感が色濃く刻まれている。
SANチェック
1D6/1D20
逃げ切れた場合、この時代で生活してゆくことになる。自身が二度と元の時代に帰れないことに気づき、探索者は深い絶望を味わう。
SANチェック
1D3/1D10
2.儀式の中止
七志 七衛門や七志(今道) ハルを説得することにより、儀式を中止させることができる。
七衛門は村の繁栄のため必ず儀式を行うべきだと考えているため、一応の理由を説明しない限り〈説得〉は行えない。
儀式が失敗することや、ハルが死亡すること、村が未来において滅ぶことなどを説明できた場合は〈説得〉にボーナス。
その他、倫理的に優れた内容の場合もボーナスを与える。未来の屋敷から持ち出した日記の他、未来の道具を見せることも効果があるだろう。
例:携帯電話などで儀式の様子を録画していた場合、〈説得〉に大幅なボーナスなど。
他の手段として、儀式書と日記を七志家から持ちだす事でも儀式を中止できる。これは呪文を唱えられなくなるためである。
どちらか片方しか持ち出さなかった場合は、もう一方を用いて儀式が行われる。
また、儀式の内容を完全に理解しているのは七志 七衛門だけであり、ななしさまを呼ぶ憑代となり得るのは七志(今道) ハルのみである。
彼ら2人の内どちらかを無力化する場合も儀式は中止されるだろう。
儀式の中止に関しては、真田 新吉の協力を得られる場合がる。彼は七志(今道) ハルに恋心を抱き続けているので、そこを突くとよいだろう。
儀式が中止され、その日の21時を過ぎたとき、探索者達の体は突如玉虫色に輝く黒い球体に飲み込まれる。
探索者達の頭の中には、何者のものとも言えない声が響く。「やっと消えることができる……ありがとう……」と言うもの。
儀式を中止した場合、七志 七衛門は心臓の病で死亡しない。
しばらくすると、探索者達は布団の中で目覚める。目覚めると、徐々に記憶が浮かび上がってくる。
その内容は、自分たちは自然を楽しむため七志村に宿泊にきたことと、カワミドリが辺りに咲いた七志村の自然あふれる光景である。
また、探索者達の止まる民宿は七志 幸成と七志(今道) 侑奈の夫婦で経営されている。村の交番には、駐在として真田 雄二がいる。(彼らの先祖を殺害していない限りは)
彼らに話を聞けば、七志村は数百年前からの歴史ある宿場であること、過去に比べれば規模は小さくなったが、依然として活気ある村であることが分かる。
1D10の正気度回復、円満な中止方法だった場合は更に1D6の正気度回復
3.儀式の完遂
ななしさまを呼ぶ儀式を完遂させる方法である。
七志 七衛門に七志 幸成の持っていた心臓病の薬を渡しておく。又は呪文の途切れたタイミングで探索者が呪文を引き継ぐことで儀式の完遂が可能。
儀式が完遂されると、玉虫色に光る大きな球体が舞台の上に現れ、七志(今道) ハルの腹部へと吸い込まれてゆく。
その後、腹の中から抜け出すかのようにして、一体の生物が現れ始める。七志(今道) ハルの腹部に傷は無く、七志 七衛門(生きている場合)は「そんな……ここまで早いとは……」と呟いている。
「それは、醜悪な化け物としか言い表せない姿をしていた。数人分はあろうかという大きな顔が無数の手足で構成された巨大な胴体にアンバランスに乗っており、傾いている。
それぞれの手足は不規則に泡立ち、自壊を繰り返している。体のバランスを取ることができないのか、その生物は地面に這いつくばっていた。
辺りの物が腐り落ち、強い嘔吐感を催す腐敗臭が立ち込める。全てのパーツが吊り上り、いくつもの口のような割れ目を持つ顔をしたその生物は、笑みを浮かべているように見えた」
ヨグ=ソトースの息子を見てSANチェック
1D6/2D10
※人間に近い存在であるため、怪物の状態によるSANチェックから軽減している。軽減しない場合は1D8/3D10
しばらくすると、目の前の生物は口を開く。その声は、耳と脳内から探索者に伝わる。脳内に響く声は聞き覚えのある「何者のものとも言えない声」である。
「救ってくれて……ありがとう……。俺はようやく精神世界から解き放たれ、この世に生まれることができた……。
この世の何と素晴らしい事だろう。想像していたよりも遥かに美しい命がこの世界には満ちている。
俺には全ての物が輝いているように見える。そして、自分に何故名前が、体が無かったのか、今はよく分かる。
俺はあまりにも醜く、世界は美しすぎる。俺はいてはならない存在だったのだ。父さん、母さん、そして未来の人たちよ、生み出してくれてありがとう。
もはや悔いはない。これでお別れだ。ああ……最後に花を見られて良かった……生命とは本当に、本当に美しく、尊いものだ……」
言葉が終わると、その生物の体が無数の玉虫色に光る黒い球体に削り取られ始める。
その生物は徐々に体を小さくしてゆき、消えてゆく。
※消滅を阻止するルートは想定されていないため、消滅を阻止したい場合はシナリオを加筆修正する必要がある。
探索者達も同じく、玉虫色に光る黒い球体に飲み込まれる。
以前のように孤独感や虚無感を感じることは無く、暖かく、心地の良い気持ちになるだろう。
しばらくすると、探索者達は布団の中で目覚める。目覚めると、徐々に記憶が浮かび上がってくる。
その内容は、自分たちは自然を楽しむため七志村に宿泊にきたことと、一面にカワミドリが辺りに咲いた七志村の自然あふれる光景である。
また、探索者達の止まる民宿は七志 幸成と七志(今道) 侑奈の夫婦で経営されている。村の交番には、駐在として真田 雄二がいる。(彼らの先祖を殺害していない限りは)
彼らに話を聞けば、七志村は数百年前からの歴史ある宿場であること、ある時から季節を問わずカワミドリが地面を覆い尽くすほどに咲くようになったことを教えてもらえる。
現在はカワミドリを見に来る観光客が頻繁に訪れるようになり、非常に栄えているようだ。
1D10+1D20の正気度回復、七志 七衛門が生存した場合は追加で1D6の正気度回復