偉大なる一族 - Cthulhu Scenario Storage|クトゥルフシナリオストレージ

偉大なる一族

【このシナリオについて】

シナリオ傾向:クローズド、現代、小学生探索者用
推奨人数:3人~
戦闘:有り
推定プレイ時間:2~3時間
難易度:少し難しい
システム:クトゥルフ神話TRPG
注意事項:恐怖に慣れるルールを忘れないこと
※小学生探索者向けのシナリオとして、先に「終末テスト」をプレイするとよいかもしれない

【あらすじ、舞台設定】

夏休み、探索者達は友達の知り合いである男性に付き添われ、山奥の洋館へと遊びに出かける。洋館での夏休みを楽しく過ごす小学生たちだったが、とある事件に巻き込まれてしまう。

その昔、未来を見通す道具を発明した伊須家はその力で莫大な財産を手に入れる。彼らはティンダロスの猟犬に対する対抗策として、一人の人間に狙いをそらす魔術を用いていた。しかし、ある時に魔術が失敗。彼らはティンダロスの猟犬によって全滅してしまう。彼らが残した物の多くは時の流れによって消え去り、現在は洋館だけが残っている。
須々木家は3人家族である。夫婦の関係は冷めているが、息子でニートの祐介を育てるという共通の目的でかろうじて関係を保っている。息子である祐介は、幼いころに神童ともてはやされていた。須々木家の一人息子として、父親の武晴が経営する須々木流通の跡取りと期待されていたが、中学受験に失敗し、以降引きこもり続けている。彼は親からの期待を感じてはいたが、それがプレッシャーになっており、性格が歪んでしまっている。彼はこれ以上親の期待を裏切らないため、親の殺害を考えていた。
とある日、須々木家は息子の息抜きになればと思い、山奥にある洋館を購入する。息子が幼い子供が好きなことを知っていた両親は、親戚などを通じて子供を呼び寄せた。こうして、洋館には小学生探索者達と何人かの有名人、そして須々木一家が集まる。
彼らは誤って作動させた未来視の道具により、ティンダロスの猟犬に狙われることになる。

【資料】

ティンダロスの猟犬(基本P183)
STR17 CON31 SIZ17 INT18 POW25 DEX11 HP24 DB+1d6 SANチェック1D3/1D20
武器
前脚 90% 1D6+DB+POT2D6(膿汁)
舌 90%  1Rに1D3POW吸収
※2ポイントの装甲
※1Rに4HP再生
※魔力を付与された武器および呪文のみ有効
※1D6ロールし、1から4までなら前脚。5か6の場合は舌で攻撃する
※POT2D6の毒はCONで抵抗ロールを行う。失敗すればPOT分のダメージ、成功すれば半減する。
※この毒(膿汁)は各ラウンドで同じだけのダメージを与える
※この毒(膿汁)はDEX*5に成功すればタオルでふき取ることや水で洗い流すことが可能
※舌による攻撃に成功すると、犠牲者の体に出血や痛みを伴わない深い穴ができる
※この穴が開いた犠牲者は1D3POWを永久的に失う

NPC
今回は大柄で孤立しているものからティンダロスの猟犬に狙われるため、体格の描写を一度はすること。
須々木 武晴 48歳 小柄
須々木家の主で別荘を購入した人物。妻の奈美恵との仲はあまりよくない。須々木流通の社長で、優しげで人当たりの良い性格。

須々木 奈美恵 46歳 小柄
須々木武晴の妻。息子の祐介を溺愛しており、息子のためであればなんでも行う。
しかし、普通の子供にコンプレックスを抱いていることも事実で、他人の子供には厳しい。

須々木 祐介 19歳 中肉中背
須々木家の一人息子。幼いころは優秀だったらしい。中学受験に失敗して以降引きこもっている。
好きなものは小学校の頃にしていた野球と、女児。自分に自信が無く、悲観的な性格。女児が好きな理由は、小学校でしかまともに異性と会話したことが無く、それ以上の年齢の異性が怖いため。
STR13 CON13 POW6 DEX6 SIZ12 HP13 DB+1d4
バット 60% 1d6+DB

佐伯 正行 45歳 中肉中背
須々木流通の取引先の社長。須々木家族と深い付き合いがあったわけではないが、別荘の購入を聞きどうしてもと駆けつけた。彼は別荘に眠る伊須家の秘宝を狙っている。そのこと以外に興味はないため子供には冷たい。
田中 久司 32歳 大柄
文鎮ライガースのエースで4番の超スター選手。若手の頃に須々木武晴に世話になったらしく、息子のためにどうしてもと頼まれ洋館に訪れた。明るく親切で正義感が強く子供好きである。

稲田 典子 38歳 やや小柄
田中久司の妻で元アナウンサー。野球選手とよく結婚するやつ。田中とは来月入籍予定、仲は良好。田中と同じく子供好きで、しっかりとした性格。

加賀 千佳 18歳 やや小柄
最近売り出し中のグループ、TDS48のメンバー。TDSはグループを作った中田正さんの名前から来ている らしい。幼い見た目と子供っぽい性格で、一部のファンに熱狂的な人気がある。
須々木奈美恵は息子の祐介と仲良くなってほしいと思い彼女を呼んだが、祐介は本当の女児にしか興味を持てない。

堀 文江 50歳 小柄
須々木家で働く家政婦。須々木夫妻にはとても信頼されており、別荘にも同行している。
祐介が引きこもりだした頃である7年ほど前から勤務しているため、祐介のことはあまり知らない。
少し古い考えの女性で、自分にも他人にも厳しい。小学生探索者達にも厳しく当たってしまうかもしれないが、その根底には優しさがある。

女性NPC汎用ステータス
STR8 CON8 POW8 DEX9 SIZ10 HP9 DB-

MAP


【導入】

クトゥルフ2010の学生探索者作成ルールに従い、小学生探索者を作成する。
探索者達は、同じ小学校に通う骨皮宗雄に誘われ、山奥にある別荘へ向かうことになる。
骨皮は小学3年生の男の子で普通の家庭よりも少しお金持ちな家庭で育っている。
「僕の親戚のおじさんが別荘を買ったんだ。昔はとても有名な人の別荘だったらしいよ。それで、おじさんが夏休みに一回遊びに来ないかって誘ってくれたんだ。特別に君たちも招待してあげるよ!おじさんの知り合いのすごい人達もいっぱい来るらしいよ!
もちろん君も来るよね?じゃあ、今度の土曜の朝におじさんが迎えに来てくれるから学校の前に集合だよ!」
探索者達は骨皮から洋館の情報を集めようとするかもしれない。骨皮は洋館について山奥にあることと、おじさんの須々木武晴が所有するということしか知らない。洋館に来る人物については、売れっ子のアイドルである加賀千佳とプロ野球選手の田中久司が来ることを知っている。インターネットなどでそれらの情報を調べた場合、以下のことが分かる。
須々木 武晴
須々木流通の社長で、息子がいる。写真を見る限りとても優しそうな顔をしている。
田中 久司
文鎮ライガースのエースで4番。彼の活躍で文鎮タイガースは現在1位である。2位はジャイアンズ。超スター選手で、最近美人アナウンサーと結婚したらしい。
加賀 千佳
TDS48のメンバーで、幼い見た目と子供っぽい性格が特徴。熱狂的なファンを多く持つらしい。

【洋館へ】

日曜の朝、学校前に行くと大きな車が止まっており、骨皮と須々木武晴が待っている。探索者達が多い場合は2台用意し、2台目には須々木奈美恵が乗っている。洋館までの道中、須々木武晴が洋館について話してくれる。
「今日は来てくれてありがとう。息子の祐介は子供が大好きでね。山奥で少し不便かもしれないけど、きっと楽しいよ。最近祐介は元気が無くてね。ちょっと引きこもりがちだから、みんながきて元気になってくれてもいいんだけど……」

祐介について
今年で19歳になる息子。少し引きこもりがちだが頭のいい子で、野球と子供が好きだと話す。問い詰めた場合、引きこもりだと言うこと、特に女の子供が好きだということも教えてくれる。

他に来る人は?
知り合いで社長の佐伯さんとプロ野球選手の田中選手とアナウンサーの稲田さん、アイドルの加賀さん。
彼らについて詳しく質問する場合、武晴が知っている範囲で教えてくれる。

洋館はどこにある?
隣のY県の山奥だよ。少し不便だけど、家政婦の堀さんが詳しいことはやってくれるから大丈夫だよ。橋を渡るから、ちょっと怖いかもしれないね。

何故洋館を買ったの?
祐介の気分転換になればと思ってね。もし祐介が一緒に遊びたいみたいだったら、遊んであげてくれないかな?

洋館の前の持ち主は?
100年以上前に伊須という一族が持っていたらしいけど、詳しくはわからないね。なんでもこの洋館で一族全員が……。おっと、小学生にする話じゃなかったね。
問い詰めると、一族全員が同じ日に洋館で死んだという話を教えてくれる。

探索者達が須々木と話すことが無くなってきた頃に、車が山奥のつり橋の前で止まる。つり橋は木製の簡素なもので、少し怖いと感じる探索者もいるかもしれない。つり橋の奥には洋館が見える。須々木の車の他に、田中の車が1台停まっている。
「少し怖いかもしれないけど大丈夫だよ。もし、ここが崩れちゃったら帰れなくなるけどね。あはは!嘘だよ。家の電話が繋がるからそれで助けを呼べるし、少しなら僕が修理もできるからね」
などと言いながら、須々木がつり橋を渡るように促してくる。携帯電話の電波はここあたりから入らなくなる。つり橋は特に危険もなくわたることができ、洋館に到着する。

【洋館到着】

洋館に到着し扉を開けると、家政婦の堀が出迎えてくれる。堀は50歳ほどの女性で、背筋がピンと伸びている。須々木は堀に探索者達を案内するように頼むと、さっさと2階へあがって行ってしまう。堀は探索者達に、倉庫は危ないので入らないようにすること、浴場は夕食の後にお湯を沸かすことを伝えると、2階の子供部屋まで案内してくれる。そこそこの広さで、探索者達全員が寝泊まりすることもできそうだ。案内を済ませた堀は、食事の時に呼びに来るのでそれまでおとなしくしておくようにと言い、下へと降りてゆく。この間、探索者達が何か変なそぶりした場合、堀に叱られる。
子供部屋に探索者達が取り残された後、骨皮宗雄が洋館を探検しようと言い出す。ついていくかは自由だが、宗雄は一人でも探検に向かっていく。それぞれの部屋には既に招待客がおり、部屋に向かえば少し会話ができるだろう。
探検する場所について、探索者達に希望があれば宗雄はそれに従う。宗雄は最初に加賀の部屋へ、
最後に倉庫に向かおうとする。

【WC】

1階左下にあるトイレはもう1つのトイレよりも横幅が若干広い。奥行きは2階のトイレと1階のトイレで同じである。

2階のトイレの奥行きが広いのは、奥にティンダロスの猟犬の狙いをそらすための儀式場があるためである。
奥の壁の前に猟犬に狙われた者が立ち呪文を唱えると、壁が消え奥に進むことができる。

【須々木夫妻の寝室】

中には須々木奈美恵がいる。奈美恵と話をする場合、祐介と遊んであげてねとお願いしてくる。祐介に関することであれば優しく接してくれる。それ以外の場合、少し厳しく当たってくる。

【書斎】

中には須々木武晴がいる。須々木武晴は何か中で面白い本を見つけたようで、あまり探索者の相手をせず部屋の中に戻ろうとする。探索者達を部屋に入れることは無い。部屋の中には机、本棚などがある。彼の死後、遺体から武晴の日記が見つかる。
本棚にはかなり古い本が多く入っているようで、前の持ち主の物かもしれない。〈目星〉に成功すると本棚から本が1冊抜かれている(伊須の日記)ことに気が付く。
彼は前の洋館の持ち主である伊須氏の残した日記を発見し解読している。

武晴の日記
血塗れており読めないページが多い。
XX日
最近、祐介がますます部屋から出てこなくなっている。小学校に通っていたころはあんなにいい子だったのに。
何故こうなってしまったのかわからない。何かできないだろうか。
XX日
取引先の佐伯さんにふと祐介のことを漏らしたところ、別荘を買ってみてはと進めてきた。確かに祐介のいい気分転換になるかもしれない。佐伯さんが勧めてきた物件は何故かとても高いので、下見に行ってから決めることにする。
XX日
別荘の下見に行った。山奥にある別荘で、正直言って古く交通の便も悪い。何故ここまで高いのか気になったので代理人に聞いたところ、何やら金持ちの一家が使っていたようだ。後で調べたところ一家は一晩のうちに全員が不審な死を遂げたらしい。
代理人が言うには、その一族の埋蔵金かその手がかりが見つかるかもと言うことだが、誰も信じないだろう。
XX日
佐伯さんにもう一度会ったが、やたらにあの別荘のことを勧められた。ここまで勧められると、もうあそこでいいのではないかと思えてくる。金に困ってるわけでもないし、祐介も宝探しを楽しむかもしれない。祐介の好きな人たちも呼べばきっといい息抜きになるだろう。
XX日
別荘で何日か過ごしたが、祐介に変化はない。今日は親戚の骨皮君とその友達、田中君と婚約者に佐伯さん、加賀さんもやってきた。彼らの誰かが祐介と仲良くしてくれればよいのだが。
そういえば、今日面白いものを見つけ
ここで日記は途切れている。

【物置】

ここにはこの洋館で使われていないもの、常に必要ではない物が多く置かれているようだ。様々なものが置かれているので、珍しい物でも〈幸運〉に成功すれば見つかるかもしれない。

【須々木 祐介】

彼は部屋の中にいるが扉には鍵がかかっており、開けてくれない。探索者達がなんとかして鍵を開けた場合、彼は必死に扉を押さえてくる。それでもなんとか突破した場合、中には少し太ったぼさぼさの髪の男がおびえた様子で立っている。しかし、しばらくすると気を取り直して、出ていけ!と叫びだす。探索者達が出ていかない場合、部屋の中にあるバットを振り回してくる。
もし、須々木夫妻が殺害された後にバットを見た場合、バットに血がついていることに気づくだろう。
女性探索者がいた場合、祐介はねちっこい視線を向けてくるかもしれない。

【佐伯 正行】

彼は自室で伊須一族の資料を整理している。探索者達が彼の部屋を訪れた場合、非常に冷たい態度で失せろクソガキどもといった様な言葉を投げかけてくる。もし、何らかの方法で彼の整理していた資料を見た場合、それは新聞記事であることが分かる。
いくつかの切り抜かれた記事があり、それぞれに伊須という苗字の人間が登場している。その内容は、埋蔵金を見つけた、油田を見つけた、反体制派の企みを阻止したといったもので、最後の記事には彼らはまるで未来を知っているようだと書かれている。
新聞は切り抜かれたもので、何年前の物かは詳しくわからない。技能や推理などで百年ほど前の物だと分かるかもしれない。
彼はこれらに加えていくつかの資料から、伊須家が未来を読む方法を持っていると考えている。
武晴の死後、伊須の日記を回収した彼は自室で解読を始める。彼の死後、日記を読むことができるだろう。

伊須有舞の日記
日記と言うよりメモ書きに近い。あまり日記をつけない人物だったようで、何年に記された物かも分からない。
XX日
ついに完成した。これで未来が分かる、金も名誉も手に入れることができる!
XX日
とある副作用に気づいた。あの忌々しい角に潜む生き物め。私の一族にも道具を使わせて様子を見よう。数が集まれば何か分
かるはずだ。あの青い膿が気になる。
XX日
何人か死んだが、奴の性質はわかった。奴は時間を超えるものを襲うのだ。装置を使った者のみが襲われたのだ。
XX日
完璧だ。奴の狙いから外れる儀式を完成させた。儀式に参加するものが生贄と共に魔法陣の上に集まり、呪文を唱える。
奴の狙いは、魔法陣上にいる者の中で呪文を唱えなかった哀れな生贄に移ると言うわけだ。
この術は我が一族の秘伝としよう。私の死後も儀式を行えるよう、予備の魔法陣の場所と呪文を巻物に記しておく。
少し仰仰しく書いてみたが、あまりうまく書けなかった。しかし、便所で呪文を唱えるというのは面白いだろう。
XX日
体が痩せ細ってゆく。私は死ぬのか?こんな未来は無かったはずだ。

日記と佐伯の集めた資料を合わせてみると、伊須有舞が何かを完成した後から伊須一族が新聞に登場するようになっていること、伊須有舞の死後はそれらの記事が無いことに気が付く。

伊須有舞は最初にティンダロスの猟犬に狙われた際、何とか撃退したものの膿汁の毒を受け、それが原因となり後に死亡する。
伊須有舞の死後、伊須一族は予備の儀式を行う場所が分からず、ティンダロスの猟犬によって全滅させられてしまう。
ティンダロスの猟犬が原因で変化した未来は見ることができないためこのような結果になった。

【田中 久司】

彼は自室で婚約者の稲田と頭を悩ませている。探索者達が彼らを訪ねた場合、快く迎え入れてくれる。彼らは須々木武晴から祐介を外に連れ出してくれないかと頼まれたが、どうすればいいかわからないと困ったように話す。探索者達にも同じ子供としてどう思うかと聞いてくるだろう。彼はこの屋敷の情報をほとんど持っていないが、探索者達にはとても優しく接してくれる。
祐介を連れ出すことは非常に難しい。何らかの方法で連れ出しても、祐介はすぐに部屋に帰ってゆく。女性探索者が祐介を誘った場合、彼は釣られてしまうかもしれないが、危険な試みだろう。

【稲田 典子】

彼女は田中の部屋におり、この部屋には誰もいない。

【加賀 千佳】

彼女は自室にいる。子供っぽい雰囲気で、小学生が楽しめることなら彼女はとても楽しむことができる。探索者達が探検している事を知ると、是非同行させてくれと頼んでくる。とりあえずでっかい小学生みたいな感じでRPする。
何故ここに来たのかと聞くと、プロデューサーに頼まれたと答える。奈美恵さんに祐介くんと仲良くしてねと頼まれたけど、どうしていいか分からないとも答える。彼女と祐介が対面した場合、祐介はあまり興味を示さず、彼女は少し気持ち悪がる。

【一階】

一階で騒ぐと使用人室で料理の準備をしていた堀に見つかる。彼女は探索者達に厳しく注意するが、暇なのは分かるので一階にいてもいいが、怪我するかもしれないので大人しくするようにと話す。大人が同行していた場合、同行していた大人は厳しく叱られる。

【ラウンジ】

ラウンジは趣味のよいソファや机などが並んでおり、来客が寛げるようになっている。

【食堂】

食堂には一つの長机があり、その周りに椅子が置かれている。きれいに掃除された暖炉があるが、中に火は入っていない。
机の中央には花瓶が置かれてあり、骨皮が花瓶に興味を示す。(過敏に笑)探索者達が彼の行動を止めない場合、骨皮はそのまま花瓶を落とし割ってしまう。直ちに堀が現れ骨皮を厳しく叱るが、彼はあまりこたえていないように見える。

【使用人室】

使用人室には堀がいる。彼女は中で夕食の準備をしているようだ。探索者達が訪れると、子ども部屋は退屈だったろうからしょうがないが、あまり暴れないようにと注意してくる。探索者達が料理について触れた場合、嫌いなものはない?と質問してくる。
どのような答えを返しても、彼女は頑張って食べなさいと答えるだろう。また、倉庫に入らないようにと言う注意を再度してくる。

【浴場】

それなりの広さの浴場がある。中には水は張られていない。

【倉庫】

倉庫でのイベントは、できるだけ多くの探索者達に参加させたほうがよい。但し、どうしても参加したくない探索者がいる場合は参加させなくともよい。猟犬に狙われずとも、須々木祐介という脅威がいる。

倉庫の中にはもともと伊須一族が利用していたであろう家具やその他様々なものが無理やり押し込まれている。〈目星〉に成功する、あるいは本棚を探すなどと指定したうえで丁寧に中を探索すれば伊須一族の遺した巻物のようなものが見つかる。
巻物
穢れが集い浄化される場所で壱の呪文を唱え、真理への道を開け。不浄の煙に見初められた者は陣に立ち弐の呪文を唱えよ。
不浄の煙は呪文を唱えた者を許し、呪文を唱えぬ者に狙いを定めるだろう。伊須家当主 伊須 雨舞
壱の呪文 あばかむ
弐の呪文 そわか

ただし、初回の探索時は、以上の情報を得る前に骨皮がイベントを起こす。
倉庫に入ってしばらくすると、何か固い物が床に落ちたような音が鳴り、骨皮がウワー!と悲鳴を上げる。骨皮は何か大型のカメラの様なものを落としてしまったようだ。悲鳴と音を聞きつけ、祐介以外の人間が倉庫に集まる。全員が集まったところで、カメラのような物のレンズから宙に映像が浮かび上がる。
「空に巨大なオレンジ色の星のみが輝く夜。無数の触手の化け物が全てを破壊しつくしている。辺りからは金属の軋るような歌声と、何かを称えるかのようにも聞こえる呪詛が流れている。ふと、それらが静まったかと思うと、天から巨大な蛸の化け物が現れた。徐々に映像は歪み、消え始める。最後に見ることができたのは、巨大な蛸の化け物が腕を一振りし町を消し去った姿だ」
いつかの未来、とある神により起こされるかもしれない世界の終わりを映している。
SANチェック
1/1D6
これらの光景を見て、NPC達は全員青い顔をしている。探索者達が落ち着くころに、NPC達も気を取り直すだろう。最初に気を取り直すのは堀で、彼女はとりあえず食事まで食堂でおとなしくしておきましょうと言い探索者達を食堂へ連れてゆく。
但し、骨皮は堀に連れられ使用人室へ行く。こっぴどく叱られるのだろう。佐伯は、あの話は本当だったのかと呟き、須々木武晴はあわてた様子で2階の書斎へと上がってゆく。田中と稲田は少し気分が悪くなったようで、自室へ戻ってゆく。加賀は酷く怯えた様子で、探索者達と一緒に食堂に入り顔をうつむかせている。食事は30分ほどすると運ばれてくる。探索者達が外に出ようとする場合、加賀が止めてくるだろう。それでも無理やり出た場合、骨皮を連れた堀と遭遇する。骨皮は酷く落ち込んだ様子で、探索者達が食堂の外に出ているのを見ると、おとなしく中にいようと注意してくる。
大人しく食堂で待っている場合、しばらくすると骨皮が、続いて食事が運ばれてくる。
ここで特に行動を記されていないNPCは、自室で休んでいる。
須々木武晴は伊須家の日記が正しいことに気づき解読を続けるため書斎へ行く。そして、解読に夢中になって食事を忘れている間に、須々木祐介に殺害される。そのため、食事の時間中は探索者達を外に出さないほうがよいだろう。
床ドンが起こるまでは武晴は生きているため、書斎で解読に夢中になっている武晴と会わせてもよい。彼は5分したら行くと話す。

【食事】

食事の時間の少し前になると田中と稲田が、更に少しすると奈美恵が食堂に現れる。堀が食事を席に運ぶのを骨皮が手伝い、食事が食卓に並んだ頃に佐伯が現れる。祐介と武晴が現れないが、奈美恵が祐介はいつもこうなので後で食事を持っていくし、武晴はおそらく気分が悪くて休んでいるのだろうから先に食事をしていようと言う。皆も特に異論が無いようで、そのまま食事が始まる。夕食はカレーとサラダ。あのような光景を見てしまったためか、皆の口は重く話そうとする人物は佐伯を除いていない。
彼は奈美恵にこの家を買ったのはいつか、何か前の持ち主の遺したものは無いかなどとしつこく聞いてくる。奈美恵は少し疲れた様子で、家を買ったのはほんの1か月ほど前で、元からあったものの多くは倉庫に入れてあると話す。探索者達が会話に割りこんだ場合、佐伯は少しイラついた様子でこれは大人の話だ!と探索者達を一喝する。
そのような会話が続く中、突然2階でドン!という音が鳴る。皆が驚く顔をしているが、堀と奈美恵はまたかといった顔をしている。
音は2階、建物の右側のあたりから聞こえる。
〈聞き耳〉に成功した探索者は、この音が2階の書斎あたりでした音だということに気が付く。
奈美恵は、祐介がごはんを欲しくなったみたいだから運んで行くわと言い、カレーを持ち2階へ上がってゆく。
しばらくすると奈美恵が降りてくる。彼女は堀にありがとう、祐介も喜んでいたわなどと声をかけるだろう。佐伯は少し気をそがれたようで、奈美恵に質問することは無い。探索者達が特に何もしない場合、食事は重苦しい雰囲気のまま終わる。最初に佐伯が、次に田中と稲田、最後に加賀が2階へと帰ってゆく。佐伯以外は堀においしかったですと声をかける。探索者達はどのタイミングで帰っても構わない。

【武晴殺害】

探索者達が自室に戻ってしばらくすると、何かが割れるような音がする。先に探索者達が書斎を覗けば、中に須々木武晴の死体を発見できる。その場合、骨皮が悲鳴を上げる。音を聞きつけて祐介を除くNPC達も駆けつけてくる。
「血のにおいが漂う部屋の中央に須々木武晴の姿があった。彼はうつ伏せに倒れており、頭は何かに叩き潰されたようにひしゃげている。その姿は明らかに生者のものではなかった」
死体を見てSANチェック
1/1D4
堀は武晴に食事を運んできたようで、彼女の足元には割れてカレーがこぼれた器が落ちている。祐介以外の人間全員が集まっている。奈美恵は口を押え言葉を失っているが、あまりショックは受けていないようだ。佐伯は机(探索者達が机を調べた場合は武晴の遺体、本棚など)を調べると、気分が悪くなったので部屋に戻ると言い急いで戻っていく。田中は武晴の遺体に駆け寄り声をかけている。稲田は扉近くで茫然としており、加賀はその場に座り込んでしまう。
遺体は鈍器のようなもので頭を叩き潰されており、おそらく皆が食事を取っ手いた時間前後に殺害されたものと思われることが〈医学〉などで分かる。
武晴は祐介によって殺害された。凶器はバットで、これは祐介の部屋から見つかる。
佐伯は伊須の日記を回収し、自室へと戻っている。
彼の死体を調べると、手に日記を持っていることが分かる。日記は血塗れており読めないページが多い。→書斎

しばらくして皆が落ち着くと、堀が警察に通報しますと言い書斎の置き電話を使う。しばらくすると電話が終わったようで、警察は明日の朝に来るので、それまでは大人しくしていてくださいと言われたと伝えてくる。加賀、田中、稲田は部屋に戻ってゆく。
奈美恵も祐介になんて言おうかしらなどと呟きながら部屋を出ていく。堀はこんなことになってごめんなさいねと謝りながら、探索者達を子供部屋に連れてゆく。もし、部屋に行くまでに探索者達が他の行動をとろうとすれば、堀に注意される。骨皮は、堀さんは
悪くないよなどと言いつつ堀に連れられ子供部屋に入っていく。探索者達を子供部屋まで案内すると、堀は下へと降りてゆく。

この後は自由行動とする。探索者達がある程度行動すれば次の事件を起こす。佐伯の死まで新たな情報は得られないため少し探索した程度で次の事件を起こせばよいと思われる。

探索者達が吊り橋から逃げ出そうとした場合、つり橋の真ん中にティンダロスの猟犬が現れる。猟犬は探索者を舌で攻撃する
だろう。猟犬は探索者から一度精神を吸収すれば消えるが、猟犬の膿汁により吊り橋の何かが溶けたのか、橋が崩れ始める
橋の向こう側に行くことは不可能だろう。

この事件の後、須々木祐介は須々木奈美恵をどのタイミングで殺害してもよい。最も殺害に適したタイミングは、田中の死亡に探索者達が気を取られた時など建物2階右側に人がいない時だろう。彼は奈美恵を殺害すると、速やかに部屋へと戻ってゆく。
田中の死亡時に事件を起こせなかった場合は、佐伯の死亡時や稲田が襲撃を受けたタイミングなどがよいだろう。
ドン!と言う音を聞き現場に行くと、うつむきに倒れ、頭のひしゃげた奈美恵を発見する。武晴と同じ死に方であると分かる。
死体を見てSANチェック
1/1D4

【田中の死】

武晴の殺害からしばらくした後、田中の部屋からドン!と言う音が何度か響く。
探索者達が駆け付けると同時に、堀、加賀も様子を見に来る。稲田を佐伯の姿は無い。扉の中には田中と稲田がいる。
「部屋には血の匂いと酷い刺激臭が充満しており、倒れた田中と座り込み目の焦点が合わない稲田がいる。
田中はあお向けに大の字になって倒れていて、青みを帯びた粘液が彼の潰れた頭部に付着している。手にはバットが握られており、彼の頭部から流れる血がバットを赤く染めていた」
凄惨な死体を見てSANチェック
1/1D6
田中の死体についている青い粘液はティンダロスの猟犬の膿汁である。彼は稲田と部屋で過ごしていたところ、部屋に突如現れたティンダロスの猟犬との戦闘の末死亡した。膿汁に触れた場合、1ポイントのダメージを受ける。
稲田は壁にへたり込んでいる。彼女に何か質問した場合「角から怪物が出て……田中さんを……」と呟き続ける。
〈精神分析〉に成功するか、時間が経てば正気を取り戻し、何が起きたかを話すだろう。ティンダロスの猟犬については、強い刺激臭がしたかと思うと、角から出てきた煙が4本足の化け物の形になって襲ってきたと話す。
しばらく稲田の様子を見たところで、次のイベントへ。稲田は〈精神分析〉の成功失敗に関わらず、佐伯の死亡イベントが起きるまでは疲れたのか部屋から動こうとしない。彼女を一人にするか、NPCか探索者を見張りに着けるか、無理やり連れて行くかは自由である。
田中の死以降、一人で行動することは非常に危険である。ティンダロスの猟犬は大柄の者、孤立している者を優先して狙う。

【佐伯の死】

佐伯の部屋から何かドタドタという音が聞こえる。〈聞き耳〉に成功すれば、中に生き物が2匹いることに気づくだろう。
部屋の中に入ると、伊須一族に関する資料と伊須有舞の日記が床に落ちており、壁際には佐伯が倒れている。
「佐伯が部屋の片隅に崩れ落ちている。彼の体には、深く暗い穴が蜂の巣のようにあいていた。頭は潰れ、血と青い脳漿のような物に濡れている。青い脳漿の様なものは彼の下半身に大量に付着している。それは生きているかのように蠢き、彼の下半身を溶かしていた」
凄惨な死体を見てSANチェック
1/1D6
しばらくすると、膿汁の動きは止まる。しかし、膿汁にまみれた彼の体を調べるのは困難だろう。
佐伯の死体をある程度調べると、次のイベントへ。

【稲田への襲撃】

佐伯の死からしばらくすると、ティンダロスの猟犬が襲撃してくる。襲撃の対象は田中の部屋にいる稲田だが、稲田を同行させていたり稲田と共に誰かがいたりする場合は、人数が少なく大人がいるグループの大人を対象として襲ってくる。稲田は襲撃の兆候があった時点で悲鳴を上げるため、駆け付けた探索者達はティンダロスの猟犬を登場から余すことなく見ることができるぞ!
「佐伯の部屋で嗅いだ強い刺激臭が部屋を覆っている。(稲田の悲鳴が響く中)、部屋の角から青黒い煙が噴出する。その煙はゆらゆらと形を変えながら、一体の生物の姿へと変化していく。それは、太く曲がりくねって鋭く伸びた注射針のような舌を持ち青い脳漿の様なものを全身から滴らせる四足の化け物の姿だ。そのこの世ならざる不浄の怪物は、まるで獲物を見定め舌なめずりをする狩人のようにあなた達を見据えていた」
ティンダロスの猟犬によるSANチェック
1D3/1D20
ティンダロスの猟犬は誰かの精神を1度吸うか、前脚による攻撃で誰かを殺害すれば満足して消えてゆく。基本的には稲田や他の大人を狙うが、探索者達が猟犬の邪魔をするのであればその限りではない。探索者達がNPCを守ろうとした場合、探索者には舌による攻撃を飛ばせばよいだろう。稲田はしばらくすると正気を取り戻すが、ひどく疲れている。

この襲撃後、危険を察した堀は稲田と加賀、探索者達にラウンジで集まって明日を待たないかと話しかけてくる。彼女は今までの事件から猟犬は孤立している者を優先して狙っているのではと考えている。加賀と稲田はこのことを了承し、堀は二人と探索者を連れて祐介を誘いに行く。しかし、祐介は部屋から出ないと言い、両親の死を知らされた場合は返事をしない。
しばらくすると堀も諦めたようで、ラウンジにいますからと声をかけ下へと降りてゆく。彼女ら3人は非常に疲れていたようで、ラウンジにつくとうつむいて座り込んでしまい、探索者達がどこに行っても気にしない。探索者達が何とかするしかないな!

この時の会話が切っ掛けになったのか、時間の経過がそうさせたのか、祐介の狂気はここで1段階進む。彼は両親の殺害だけでなく、自分に失望した(少なくとも彼はそう考えている)この屋敷にいる者達全員を殺害しようと考え始める。探索者達が祐介
にティンダロスの猟犬の狙いを移すことを考え始めた時点で、彼を動かせばよいだろう。祐介は武器としてバットを持っている。

【猟犬の襲撃】

ティンダロスの猟犬は、今のところは3人ほどで固まっている人間は襲わない。探索者の数によっては2人でもよい。ただし、それはあくまでも猟犬の気まぐれによるもので、時間が経過するにつれて狙われる可能性は上がってゆく。探索者達が情報を集めきったところで、一度ティンダロスの猟犬に襲撃させてもよいだろう。猟犬に精神を吸われた者がいる場合、猟犬はそちらを優先して襲う。襲われたものがいない場合や分散している場合は、探索者達に〈幸運〉ロールを振らせて失敗すれば探索者のほうに、成功すればラウンジにいるNPC達を襲撃させる。猟犬は1度精神を吸収するか誰かを殺害すれば満足して帰ってゆく。
探索者達がティンダロスの猟犬を警戒し、生き残った人間全員で動くのであれば、幸運にも襲撃は起きないかもしれない。
ティンダロスの猟犬によるSANチェック
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【トイレ奥の部屋】

2階トイレの奥で壱の呪文を唱えると、壁が消え部屋が現れる。その部屋の床には魔法陣の様なものが描かれており、探索者達が魔法陣の上に乗ると青く光り出す。部屋の広さはそこそこあり、人が暴れまわれるくらいの余裕がある。
探索者達はここに須々木祐介と生き残ったNPCを連れてきて、弐の呪文を適切に唱える必要があるだろう。

【祐介の襲撃】

このイベントは探索者達が情報を集め終え、いよいよ祐介か他のNPCに猟犬の狙いを移そうと考え始めたところで起こす。
探索者達全員が同じ場所にいる時に起こすことが望ましい。しかし、探索者達が祐介をおびきだす作戦を考えているようであれば、襲撃を遅らせてもよい。もし、色仕掛けをするのなら、大好きな女児に誘惑された祐介は犯してから殺害しようと考える。
探索者達は恐らくトイレ奥の部屋に逃げ込もうとするだろう。祐介から逃れトイレ奥の部屋に辿りつくためには、DEX対抗ロールが必要だろう。探索者が失敗した場合は、生き残っているNPCが囮になり逃がしてくれる。

【儀式】

トイレ奥の部屋の魔法陣に辿りつき、魔法陣上で祐介以外が弐の呪文を唱えた場合、猟犬のターゲットは祐介のみになる。
NPCに唱えされるのを探索者達が忘れた場合、NPCが猟犬のターゲットから外れることは無い。
トイレ奥の部屋に探索者達と祐介を含むNPC全員が集まると、トイレの角から刺激臭がし、青黒い煙が立ち上る。
煙は長い舌を持つ4つ脚の怪物の姿を形作る。猟犬は儀式を阻止するため、魔法陣の上にいるものを攻撃するだろう。戦闘開始だが、呪文を唱えた時点で猟犬には狙われなくなる。呪文は1Rで唱えることができる。祐介も戦闘に参加するが、猟犬には狙われない。
ティンダロスの猟犬によるSANチェック
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【エンド】

探索者達が呪文を唱え終わると(NPCに指示していた場合はNPCも含む)、4つ脚の化け物はその狙いを、呪文を唱えなかった者に移す。
化け物に圧し掛かられた哀れな犠牲者は、化け物の体から滴る膿汁により全身を解かされ、舌から何かを吸われる。残るのは体の大部分が溶けた死体だ。
翌朝には警察がやってきて、探索者達を保護するだろう。警察は小学生探索者を疑うことは無く、殆どの場合は祐介の犯行だということで片が付くだろう。

1D10のSAN回復。加えて、生き残ったNPCの数だけ1D10のSAN回復。