シナリオ傾向:シティ、現代
推奨人数:2人~
戦闘:場合によっては有り
推定プレイ時間:2時間
難易度:低め
システム:クトゥルフ神話TRPG
とある地下の研究所でイスの偉大なる種族を崇拝する教団による実験が行われていた。
それは、機械の体に精神転移を行うことにより効率的な情報収集を行うというもの。
研究所の地上部分は診療所であり、彼らは患者を密かに実験対象にしている。
研究者達の多くは狂っているか、脅され協力させられている。
ある時、助けを求める研究者の1人が、監視の目を盗んでメッセージを送った。
その方法とは、患者の身体の一部を秘密裏にサイボーグ化するというものだった!
チクタクマン
ニャルラトテップの化身。この世にあらわれるためにふさわしい機械を夢や幻覚を見せて作らせる。
あるいは、既にある機械に乗り移ることもある。すべての機械を支配する能力がある。
正体に気づいた場合1/1D8のSANチェック。
サイボーグの男
知恵の輪の教団長が脳以外の全身をサイボーグに改造した姿。ただし、探索者達の前に姿を現すのはイス人が精神転移を行った後だろう。
STR50 CON11 POW16 DEX30 APP10 SIZ10 HP12 MP16
全身サイボーグ化により10点のダメージ吸収。50点の追加HP。
イスの電撃銃を探索者のサイボーグ部分目がけて発砲してくる。耐久テストのため。
イスの電撃銃はカメラのような銃であり、強い電気の塊を発射する。32発分のエネルギーパックがある。
再装填には1R。何発でも打てるが、4発を超える分の一発ごとに故障率が5%上がっていく。
一発分のダメージは1D10。命中率は30%。100mの距離ごとに命中率20%低下、ダメージ-3。
なお、電撃銃が探索者のサイボーグ部分に命中した場合、本体へのダメージは無い。
電撃銃が壊れた場合、殴りかかってくる。〈こぶし〉50、ダメージは4d6。但しサイボーグ部分を狙ってくる。
探索者達は、〈アイデア〉に成功すれば電撃銃の使い方を理解できる。
探索者達は1D4ロールを行う。1右腕、2左腕、3右足、4左足がサイボーグ化する。
探索者達は皆同じ町に住んでいる。最近テロ事件が多いこと以外は普通の街だ。
探索者たちはある日突然(仕事中や帰宅中など)、自身の一部がサイボーグ化していることに気づく。
自分が突如サイボーグ化したことによるSANチェック
1/1D4
少しの調査ののち、インターネットやチラシなどから、ミヤタという女性のメッセージを見つける。
内容は「身体がサイボーグ化している方たちへ 助けあいましょう」というもの。
ミヤタの電話番号も書いてある。
連絡すると、3日後に初の集会をやると伝えられる。
質問があった場合は、来田診療所に通院していたという情報を与える。
サイボーグ化した部分はとても硬く、未知の金属で出来ている。銀色でカッコイイ。オートメイルみたいな感じ。
部位ひとつにつき、以前より20kgほど体重が増えている。
触覚は存在する。特別に意識した場合、通常よりも大きな力を出せることに気づく。
サイボーグ化した部分は盾になるだろう。〈回避〉の二倍の値で盾にできる。20点の耐久力。
攻撃に用いる場合、DB+2d4。部位によって〈跳躍〉や〈組み付き〉の成功率に+25。
〈跳躍〉の飛距離が伸びる。〈鍵開け〉の成功率が50上がる(物理)などのボーナス。
サイボーグ部位は生体電気で動き、バッテリーの電力で迷彩効果を発揮する。
充電には専用の器具が必要。なお、バッテリーが切れると激しく爆発する。
探索者たちに装着されたものは、特別に改造されているため爆発が一か月ほど遅い。
導入後、とく何もなければ集会。3日後の朝、雑居ビルの一室を貸し切って行われる。
探索者たちを集めたのは宮田 由香という20代の女性。結構かわいい。
一ヶ月ほど前に右足がサイボーグに変化したという。全員がそろったのを見ると、説明を始める。
ミヤタは、上記サイボーグについての赤字部分以外について説明する。体重計などの小道具なども用いる。
ミヤタは明るい性格。探索者達に親切に接する。
探索者達の共通点として、来田診療所に通っていたことが分かる。
話が終わり、探索者達が帰ろうとすると宮田が円陣を組みましょうと言う。
円陣を組もうと探索者が集まると、突如サイボーグ部位が光りだす。
サイボーグ部分から、音声メッセージが聞こえる。
「このメッセージが君たちに届いていることを願う。私は来田診療所に所属する医師だ。
いや、医師だったと言うべきか。今、私は恐ろしい実験に加担させられている。
しかし、私の正気はもはや限界が近い。私が正気を保っていられる間に、君たちにこのメッセージを送る。
君たちの身体の一部が突如変化したのは、バッテリー切れによるものだ。
サイボーグの殆どの機能は生体電気により賄われるが、迷彩効果はバッテリーによるものなのだ。
通常、バッテリーが切れると……、いや、何でもない。とにかく君たちは特別にバッテリー切れから720時間の猶予がある。
研究所は診療所の地下だ。ここまで来れば充電もできる。頼む、私を助けてくれ。」
一連の出来事についてSANチェック
0/1D3
メッセージを聞いた宮田が、自身の猶予時間が24時間であることに気づく。
明日の朝には宮田の身に何か(周囲を巻き込んで爆発)が起こるだろう。
一箇所調査する毎に朝→昼、昼→夕方、夕方→夜と進行。
夜になった場合、眠って早朝に診療所に乗り込むか、今から乗り込むか、宮田を無視して調査を続けるかを選択する。
ミヤタに聞いた場合、近くに工業大学があること、診療所の様子を見に行ってみることを提案してくる。
また、サイボーグの部分は隠したほうが良いだろうとのアドバイスをする。
この街でテロ事件が多いことについて「なんであいつがテロを起こしたのかわからない」という書き込みがいくつか見つかる。
来田診療所の公式HPがある。普通の病院のように見える。営業時間9時~20時。
「ある目撃情報を手に入れた。テロリストの男は銀色の右腕を光らせ爆発したのだ!」
自分の体が爆発する恐怖でSANチェック
0/1D3
そのほかの事件について調べる
この町は10年ほど前から誘拐事件が多いこと、3年前に大きく減ったが、再び増えていることが分かる。
来田診療所について調べる。
3年前に来田医療研究所という病院があったが、何故か今は閉鎖されていること。代わりに来田診療所ができたことが分かる。
3年前の街の出来事について調べる。
来田医療研究所が閉鎖したこと、来田診療所が出来たこと、教団「知恵の輪」が設立されたことが分かる。
封鎖された病院。石の塀で囲われており、入口には警備員がいる。警備員は探索者達を見つけると「立ち入り禁止だ」と言う。
更に話しかけると「3年ほど前に事件があり、未だに危険物が多く残っているので立ち入り禁止だ」と説明する。
〈言いくるめ〉などに成功すれば入ることができる。また、塀を破壊する、塀を飛び越えるなどしても侵入可能。
中は病院のようになっており、地図が設置してある。1F~3Fには病室など。
地下に研究区画があり、関係者以外立ち入り禁止と書かれている。地上部分を探索しても何も見つからない。
地下の研究区画には怪しい場所として、後から周りをコンクリートで固めたような部屋、研究者たちの休憩所がある。
休憩所で〈目星〉に成功すると日記を見つける。
日記
XX日
今日から日記をつけることにする。といっても、覚書程度のものだ。研究を進めることが第一である。
研究は順調で、現在は頭脳部分を製作中だ。人間の脳を再現することが目標である。
XX日
研究が大きく進んだ。体はほぼ完成し、残るは脳のみである。しかし、脳を完成させてどうするのであろうか?
人工知能を制作するという話は全く聞いていない。
XX日
実験が行き詰った。人間の脳を機械で再現するというのは非常に困難である。また、目的もわからない。
XX日
素晴らしい!本部の人間だという科学者が訪問してきたが、すさまじいまでの知識だった。研究が一歩進んだ。
少し、気難しいというか、おかしな反応をする人ではあったが、そんなことは関係ないだろう。
XX日
研究は順調だ。脳を作るのだから、実際の脳を使い実験しなければ進まなくて当たり前だったのだ。
XX日
完成は近い。明日、組み立てに入る。予想以上に小型化でき、従来のPCとの互換性さえ持たせることができそうだ。
XX日
なんということだ!PCに組み込んだところ、機械の脳に何かが宿ったのだ!上司は「違うものが宿った」と騒いでいたが
私には関係のないことだ。素晴らしい!我々は素晴らしいものを作ったのだ!
XX日
上司が何やら機械と交渉している。はやく、あの機械を調べたい。
XX日
ひどい結果に終わった。上司の交渉は失敗したのだろう。あの忌々しい機械によってすべての研究結果が破壊された。
我々はすべての接続を切断することによって、あの機械に宿るものを閉じ込めることに成功した。
この研究所は閉鎖する。小規模にはなるが、移転し、新たに研究をやり直すそうだ。
恐ろしい研究の存在を知りSANチェック
0/1D3
コンクリートの部屋
コンクリートで覆われた部屋。サイボーグによる〈鍵開け〉(物理)ロールで侵入可能。成功率50、その他、合計30点のダメージを与えても侵入できる。
部屋の中には破壊された機械と、その中心に破壊されていない機械。無事な内部におぞましい雰囲気の異質なCPUがある。
探索者達が近づくと、サイボーグが異質なCPUに引き寄せられるように動く。
異質なCPUによる恐怖でSANチェック
0/1D3
この町にある工業大学。まあまあ立派な構えで、有名な教授がいるらしい。
探索者達が向かうと、丁度研究室にいると伝えられる。
教授は50歳くらいの男性。探索者達を歓迎しないが、サイボーグを見ると目の色が変わる。
調べた結果、全くわからないことが分かる。
「君たちのそれはまるで過去と未来と現在の技術をごちゃまぜにしたような、非常に複雑な構造だ。
分解してみればもう少しわかるかも知れないが……。非常に硬く、どこから分解してよいのかもわからない。
おそらく、銃弾にも耐えるだろうね。力になれずすまない。ただ、この型番のようなものには心当たりがあるね」
型番はKMI-2+探索者のサイボーグ化した部分の数字。1右腕2左腕3右足4左足。右腕の場合はKMI-21など。
KMIとは何か聞くと、来田医療研究所の事ではないかという。三年前に閉鎖され、研究成果については出回っていないとのこと。
来田医療研究所の情報入手。
診察時間に行く場合は、特に何もない。普通の診療所といった感じで、受付も何も知らない様子。
仮にサイボーグを見せたとしても信じないだろう。診療所を出ると、研究者風の男とぶつかる。
探索者達の姿を見ると「バカな!何故生きて……」と言って口をつぐむ。脅すなり言いくるめるなりで、話を聞ける。
男はサイボーグの研究にかかわっていたことを話す。また、そろそろバッテリーが切れて爆発するのではないかと言う。
切れていることに気づくと逃げようとする。それ以外のことについては頑として話そうとしない。命がかかっているらしい。
捨て台詞のように、そんなに助けてほしければ「知恵の輪」にでも言ってみるんだな!と教えてくれる。知恵の輪の情報入手。
3年前にできた教団。診療所のすぐ近くにあり、大きく、立派である。
近づくと、教団の信者らしい男性がにこやかにはなしかけてくる。「はじめまして、入団希望の方ですか?」
実態はイスの偉大なる種族を崇拝する教団であり、知識のあるものを見繕っては偉大なる種族に報告している。
来田診療所と同じ組織が裏にいる。
男の話によると、入団しなければ中に入ることはできないという。今日入団を希望するのであれば、教団幹部の方が面接を行う
ので、入団を検討するなら今日!とのこと。
面接は、教団幹部を名乗る40台の優しげな男と、付き人の30歳ほどの無愛想な男が行う。
幹部の男は杉田と名乗る。〈アイデア〉に成功すれば、この声に聞き覚えがあることに気がつく。
面接だが、終始教団幹部が自身の教団について話すだけである。
「我々の教団はね、カルト教団なんか言われてるが、そうじゃないんです。
決まった神もいないんですよ。しいて言うなら、我々の神は知識なんです。ほら、3人いれば文殊の知恵っていうでしょう?
それで、知恵の輪!単純でいいと思いませんか?何をしてるかっていうと、助け合いの組織なんです。
困っている人がいれば、みんなで知恵を出し合って助ける。自分が困ったときは助けてもらう。この教団の皆は仲間なんですよ。
だから、怪しい教団だって思われるのは心外でね。なぜか協力者の方が教団という形にしたがるからこうなっているのだが……」
と、延々と話し続けようとするが、付き人に止められると残念そうに話をやめる。
「ああ、そうだ。入団する決意が決まらないなら、今度親睦会をやるのでそれに参加してみるといいですよ。え、君、知らなかった?
おかしいな、今、チラシが1枚しかないからこの方たちに渡してしまうけど、後で渡すよ。もちろん、参加するよね?」
チラシを受け取ると、付き人の男が退出を促してくる。
チラシ
この幹部は診療所の研究者であり、探索者に助けを求めた人物である。付き人の男は監視役。探索者達がサイボーグ
を見せると、まずい!という反応で付き人の男を始末しようとする。探索者達が協力すればなんとかなるだろう。
この場合、チラシに研究所への侵入方法が書かれていることを話し、倒れている男を見て焦った様子で今は帰るように言う。
チラシに従い侵入する、または夜に診療所に侵入し、探索を進め怪しい鍵付き扉の先の階段を発見すると入ることができる。
教団からのエレベーターの隣に、診療所からの階段があるイメージ。
地下は大きな一室の研究所であり、奥に扉がある。〈目星〉に成功すると、何やら大型のコンピュータが見える。
また、扉の近くには充電器がある。持ち運べるサイズである。
奥へ進もうとすると、全身サイボーグ化された男が現れる。これ以上先へは進ませないと言う。引き返さない場合、または
サイボーグを発見された場合は戦闘開始。戦闘が始まると宮田は「奥に行ってください!ここは私が何とかします!」と話す。
サイボーグの男を見たSANチェック
1/1D4
共に残る場合、探索者の数にかかわらず、探索者が一人でもサイボーグ部位を破壊されれば危険を察した宮田は相手もろとも自爆。
自爆した場合、サイボーグの男は各部位の装甲を失い、残りHP10になる。
探索者を奥の部屋に送り、2RかけてCPUを取り付ければ研究所が崩壊、サイボーグの男は瓦礫にのまれる。
CPUがない場合、サイボーグの男を殺し、機械を破壊する必要がある。
宮田の自爆を見た場合、SANチェック
1/1D4
奥に行く場合、異質なCPUを持っていれば謎のイメージを受信し、コンピュータに取り付けることができる。
宮田を一人にした場合、中に入ると大きな爆発が起こる。(宮田の自爆)この場合、扉を出ると瀕死のサイボーグ男がいる。
CPUを取り付けた場合
コンピュータが壊れ始める。研究所で大きな爆発が続けて起こり、脱出することになる。脱出に成功すると、崩壊する診療所が見える。
そして、銀色に輝く機械の化け物を見る、化け物は満足そうに崩壊していく。
チクタクマンを見てSANチェック
1/1D8
生存していれば、宮田は探索者にお礼を言う。いいきっかけなのでアイドルはあきらめて、もう一つの夢である看護師を目指すらしい。
サイボーグ部分を充電したところ、迷彩効果が発揮され、なんとか元の生活に戻れそうである。
救出を依頼した教団幹部の男は、診療所の崩壊後、教団長が死亡したため跡を継ぐ。
探索者を呼び寄せると、みなで社会福祉に貢献していくよと話す。
シナリオクリアで1D6、宮田生存で1D6の正気度回復。